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税金(2014年11月号) 賃貸住宅のリフォームと
相続税の節税事例

  • 遺産相続

税理士 稲場 広宣

このコラムの内容は、2014年(平成26年)11月現在のものです。

  • パナホーム株式会社は、2018年4月1日にパナソニック ホームズ
    株式会社に社名変更いたしました。
  • 掲載内容につきましては当時のままで表記されています。

最近、「賃貸住宅のリフォームは相続税対策になりますか?」とのご質問を多くいただきます。
家屋(建物)の相続税評価額は、相続開始時の固定資産税評価額をもとに計算します。
したがって、大規模リフォームなどで家屋の固定資産税評価額が増加すると、相続税評価額も連動して上がり、相続税は増えます。
では、実際に賃貸住宅のリフォームをすると、相続税はどうなるのでしょうか?
首都圏で賃貸経営をされている、あるオーナーさんの事例をもとに解説します。

リフォームと家屋の相続税評価額

自宅や賃貸住宅などの家屋の相続税評価額は、次のように相続開始時の固定資産税評価額をもとに計算します。

賃貸住宅の場合、相続開始時に賃貸割合が100%であれば、固定資産税評価額の70%が相続税評価額になります。したがって、固定資産税評価額が増加すれば、相続税評価額も上がるというわけです。

では、実際にリフォームをした場合、固定資産税評価額の取り扱いはどうなるのでしょうか?
一般的には、家屋の床面積が増加する増築や、基礎と柱だけを残してほとんど新築並みの大規模な改築工事を行なった場合には、通常、評価額が増加します。

家屋の相続税評価額の計算式

家屋の相続税評価額の計算式

自宅
固定資産税評価額 × 1.0
貸家
固定資産税評価額 ×(1-0.3(※1)×100%(※2))

※1 借家権割合:全国一律30%
※2 賃貸割合:一括借上げや満室の場合は100%

しかし例えば、通常の維持管理のためのクロスや床の補修、屋根や外壁の塗装などの修繕工事、キッチンやバスなどの設備の一部入れ替え程度の家屋の部分的な改修工事では、基本的に評価額は増加しない取り扱いのようです。
家屋の固定資産税評価額が増加しないのであれば、固定資産税や相続税は基本的に増加しないことになります。

大規模リフォームによる
相続税の節税事例

首都圏のオーナーAさんが3年前、建築後20年くらい経過した軽量鉄骨の賃貸住宅2棟について、約2,000万円をかけて、屋根と外壁の塗り替えリフォーム工事を実施されました。

工事代金の支払いで相続財産(現金預金)は2,000万円減少しましたが、固定資産税評価額は前述のとおり増加せず、下表のとおり相続税が800万円減少する結果となりました。

大規模リフォームの2年後、Aさんの相続が発生しましたが、生前に思い切ってリフォームを行ったことで、きれいに修繕された賃貸住宅を評価額は増加させずに子ども達に残すことができ、結果として相続税の節税もできたのです。

このように、生前のタイムリーな大規模リフォームは、資産の価値を維持・向上させるだけでなく、相続税対策にも大きな効果をもたらす場合があります

なお、相続税の税務調査時には、相続開始前に大規模リフォームを行なった家屋の相続税評価について議論になることがあります。工事見積書など、工事の明細が分かる資料を保管することに加え、相続税の申告にあたっては税理士に相談するなど、事前に慎重に検討してください。

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Aさんの相続税の計算

相続財産評価額:3億円
法定相続人:子2人(基礎控除7,000万円)

リフォーム前の相続税

  1. 課税遺産総額 2億円 - 7,000万円 = 2億3,000万円
  2. 相続税の総額 (2億3,000万 × 1/2 × 40% - 1,700万円)
    ×2人分 = 5,800万円

リフォーム(工事代金2,000万円)後の相続税

  1. 課税遺産総額 2億8,000万円 - 7,000万円 = 2億1,000万円
  2. 相続税の総額(2億1,000万円 × 1/2 × 40% - 1,700万円)
    × 2人分 = 5,000万円

現行の相続税の速算表

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% - 円
1,000万円超 3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超 5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超 1億円以下 30% 700万円
1億円超 3億円以下 40% 1,700万円
3億円超 50% 4,700万万円

※基礎控除・税率は、現行の相続税による計算。
2015年1月1日以後は、改正となります。

リフォーム工事費は
所得税の取り扱いにも注意

リフォームの工事費は、所得税の不動産所得の計算上、修繕費として一時に必要経費にできる場合と、資本的支出として資産計上し、減価償却で徐々に必要経費にする場合があります。

固定資産税評価額が増加しない修繕改修工事のケースでも、工事の内容によっては資本的支出になります。

例えば、高額な設備の交換などの場合は注意が必要です。一方で、屋根や外壁の塗装工事、クロスや床の補修工事は、通常の維持管理のための修繕費として、一時に必要経費に算入できます。

税理士 稲場 広宣いなば ひろのぶ

税理士 稲場 広宣 いなば ひろのぶ

税理士法人・四谷会計事務所 パートナー税理士。1985年、東洋信託銀行(現 三菱UFJ信託銀行)に入行。多忙な銀行業務の中、6年間で税理士試験に合格。金融資産運用・ローン・遺言信託などのコンサルティング、銀行経理・税務の担当など幅広い業務を経験後退職。現在、四谷会計事務所パートナーとして税務全般の業務を担当。特に不動産税務を中心とした資産税に豊富な経験実績があり、自らもアパートオーナーとして地主・オーナーと同じ視点で考える不動産の有効活用、賃貸経営の法人化、所得税・相続税の節税対策などに定評がある。パナソニック ホームズの各種セミナー、研修会等の担当講師としても活躍。

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