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おうちでできる「秘密基地づくり」

写真:まずは材料・道具をそろえよう

まずは材料・道具をそろえよう

ダンボール基地づくりの材料や道具には、特別なものはありません。ハサミやのり、色紙やシール、クレヨン、紙皿、ガムテ―プなど、普段からお家にあるもので十分。またクッション材のプチプチ、古新聞ほか、一見不要なアイテムも立派な工作材料になります。また、「100円均一ショップ」で手軽に揃えられるのも魅力。もちろんダンボールも、宅急便などで出る空箱でOK。

※撮影時は、ダンボール、色紙、色ペン、シール、クレヨン、紙皿、紙コップ、ストロー、ガムテ―プ、マスキングテープ、アルミホイル、綿、カラーセロファンをそろえました。

小笠原先生のワンポイントアドバイス

「うちの子はまだハサミが使えない」「色ペンではなくクレヨンで描いているから」など、子どもに合わせて親が道具や材料を選びすぎるのはNG。いろいろな道具や材料を置いておくと、子どもたちは意外と上手に使えたり、大人が考えつかないような方法で遊んだりします。ただし危険がありそうな場合は、子どもの意思を尊重しつつ手助けしてあげてくださいね。

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写真:設計図を描いてみよう

設計図を描いてみよう

「ノープランで作り始めるのも楽しいけれど、お絵かきができるお子さんなら、はじめる前に設計図を描いてみてもらってみては」と小笠原先生。設計図を描くことで好奇心が刺激され、想像力やワクワク感も高まります。また「本物のお家やお店を作るときにも、こうやって設計図を作るんだよ」とひと声かけてあげれば、それが学びに。もちろん、作っている間に全く違うアイディアが湧いてきて、設計図と違う仕上がりになったとしても、全然OK!お絵かきができない年齢や、苦手な子どもには「どんなのをつくる?」と聞いてあげましょう。

写真:あとは心のおもむくままに…!

あとは心のおもむくままに…!

材料をそろえたら、あとは親はなるべく口出し、手出しをしないこと。「どれでも使っていいから、秘密基地をつくってみて」とだけ言って、まずは心のおもむくままにやってもらいましょう!すると、ダンボールをガムテ―プでくっつけて、家やロケットの形にしたり。紙コップのドアノブや、セロファンの窓。リボンやマスキングテープで飾りつけしたり、壁にお絵かきしたり…。子どもたちは、大人が考えつかないような、自由なアイディアでつくり始めます。

秘密基地を作っている様子

危険なシーンや困っているときはさりげなくお手伝いや問いかけを

「ダンボールをカッターで切る」など、ちょっと危ないかな?と思うシーンがあった場合は、「どこをどれくらい切るの?」など声をかけ、さりげなくお手伝いを。また、手が止まって考えこんでいるときは、「どうしたいの?」と問いかけて、「こう考えてみたら?」と、その実現のためのヒントを出してあげましょう。さらに、「新聞を切り抜いて広告の写真をコラージュする」なんて、新しい視点を示してあげるのもオススメ。子どもの横で新聞を切っているだけで、子どもたちは好奇心いっぱいの目でのぞきにきてくれます。

  • お手伝いはさりげなくしましょう。
  • 「どこをどれくらい切るの?」
小笠原先生のワンポイントアドバイス

子どもに指示を出すのではなく、まずはなんでもやらせてみること。そして、問いかけたり、方向性を示してどれかを選ばせてみることは、日常にもぜひ取り入れてみてください。そうすることで、いわゆる「指示待ち人間」にならず、「自分で考えて物事を進める」力が養われます。また子どもからの問いかけに対して「こうしたい」という答えを摘み取らず尊重してあげると、子どもの意欲や成長にぐんぐんつながりますよ。

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写真:遊んでいる子どもの姿をみつめよう

遊んでいる子どもの姿を見つめよう

一生懸命つくっている子どもの姿には、様々な情報が詰まっています。それを見ること=親がその子の成長や性格を知ることができるチャンス!例えば、道具の使い方ひとつで、手先の器用さや成長の尺度が伝わり、「これからどういう力をつける必要があるか」が分かります。また、ある子はダンボールをカラフルに飾り付けるのが好きだったり、ある子はダンボールの家の頑丈さにこだわったりと、性格の違いも見えてきます。さらに、「短いテープで留めたら外れたから、次はテープを長くカットする」など、遊びのなかで成長する姿が見られることも。ぜひそれらを意識して、普段の接し方や遊び方に取り入れてあげてください。

小笠原先生のワンポイントアドバイス

子どもを見つめる、と言っても、ずっとそばにいるのではお母さんお父さんも大変ですよね。子どもたちがつくることに熱中している間は、お家の方もどうぞ自分の時間を過ごしてください。そして時々のぞいて様子を観察したり、困っていたら声をかけたり、出来栄えをほめてあげたりしましょう。

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写真:完成後にもたくさんの学び&遊びが

完成後にもたくさんの学び&遊びが

秘密基地は子どもたちが自分で作り上げたもの。とても愛着が湧き、完成後も子どもたちの大好きな遊び場所となります。それをお父さんお母さんも大切にしてあげると、「物を大切にする」心が自然と伝わり、友達や家族のものを大切にする姿勢へとつながります。また秘密基地づくりの感想や、基地へのこだわりを子どもたちに聞いて、コミュニケーションをとることも大切。できあがるまでの苦労を聞いて「家も大工さんが苦労して建ててくれたんだよ」なんて話してあげるだけで、様々な仕事を知るきっかけになったり、人への感謝につながります。

完成した秘密基地で子どもたちが楽しそうに遊んでいます。
小笠原先生のワンポイントアドバイス

秘密基地づくりは、大人も子どもも、おじいちゃんおばあちゃんだって、どんな年齢でも夢中になって楽しめる遊びです。ぜひコミュニケーションをとりながら、いろんな形で楽しんでくださいね。ポイントは、大人が「きれいに」「完璧に」と思ってしまうスイッチを外すこと。ただ、大人が見て「すごく汚い」と思ってしまうものができると、その気持ちが子どもに伝わってしまうので、「テープは雑に貼ってもかわいい、柄の入ったマスキングテープを用意する」など、あらかじめ準備の際に大人が配慮してあげましょう。

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今回、秘密基地づくりに挑戦してもらったご兄妹。集中して、とっても素敵な基地を作ってくれました!
・ 琉生(るい)くん/8歳・ 寧音(ねね)ちゃん/4歳

\小笠原先生にインタビュー!/「子どもが楽しい住まいのつくり方」とは!?

子どもたちにとって一番いい住まいとは。

第一に安心・安全だと思います。「ここは安心していていい環境なんだよ」「大事にされているんだよ」と子どもたちに伝わる環境であるということです。そのためには、物理的にも、そして人間関係においても、子どもたちと対話しやすく、「子どもが安心してなんでも話せる」環境を整えてあげることが重要だと思います。例えば、どれだけ家がきれいでも、ちょっと汚したら怒られる家では子どもはびくびくしてしまいます。また、子どもがなにか言っても聞いてもらえなかったり、それに対して怒られたり、無視されたりしたら、子どもは何も意見を言えなくなってしまいますよね。そんな環境は心身の成長を妨げてしまいます。

インタビューの様子

毎日一緒に暮らしていると、怒ってしまう日もあります。

もちろん、毎日家族全員が笑顔でいるなんてできません(笑)。きつく怒りすぎてしまったと思ったら、「昨日ママ言いすぎちゃった。ごめんね」など、きちんとあやまればいいんです。親子でも別の人格ですから、友人関係などと同じで、相手を尊重してコミュニケーションをとることを心がけるのが大切なんです。 そして、子どもの言い分も聞いてあげて、それを尊重し、間違っていることは「なぜ間違っているか」を納得するまで伝えてあげましょう。もちろん、親が間違っているときは、それをきちんとあやまる。そうして、ともに成長し、信頼関係を築いていくのが理想の家族だと思います。

子どもが幸せな間取りや住環境の整え方とは。

秘密基地づくりの中でもお伝えしましたが、まずは「今その子がどんな状態で、どんなことができて、どんなことができないか」を観察することです。子どもはひとりひとり、性格やできることが違うので、年齢や学年で決めつけるのはよくありません。子どもは日々成長していくので、そこに寄り添ってよく見てあげてください。そして、例えば「そろそろ一人で寝かせてみてもいいのでは」と思えたら、子どもに選択肢を出して、「ママと寝るのと一人で寝るの、どっちがいい?」など、選ばせてあげてください。またリフォームや新しく家を購入される際は、「どんな色の部屋がいい?」「ここに何を置きたい?」など、子どもの声もなるべく聞いて取り入れてあげるのがいいと思います。例えばご家族の好みもあって、お部屋の壁紙の選択肢が数個しかない場合でも、そのどれかを子どもに選ばせてあげるんです。すると「自分が選んだ部屋」「自分が選んだ環境」という意識が生まれ、そこに愛着と安心が生まれます。

パナソニック ホームズの『KodoMotto(こどもっと)』のような取り組みをどう思われますか。

成長に合わせて家の仕組みや環境を変化できるというのは、とてもいい取り組みだと思います。そもそも「家」という環境をどうつくるかが、子どもの育ちや学びにとても影響があるということを、多くの人がまだよく考えていないのではないでしょうか。そういう啓蒙にもなって、このような考え方が広がっていくといいなと思います。子どもに必要な環境は成長によって異なり、特に幼児期と小学生では変化が大きいですよね。幼児期は、子ども自身も自分が何が好きか、どんな環境が心地いいかも分かりにくいものです。それが分かってきたときに、どんどん好みや意見を聞いて取り入れてあげて欲しいですね。すると、子どもの成長に伴って家も一緒に、「子どもにとって理想の住まい」に成長していけるのではないでしょうか。

写真:小笠原 舞 先生

小笠原 舞 先生

保育士起業家 / 合同会社こどもみらい探求社 共同代表 / asobi基地代表。

幼少期に、ハンデを持った友人と出会ったことから福祉の道へ。大学時代に、ボランティアで出会った子どもたちの持つ力と創り出す世界感に魅了される。20歳で独学にて保育士国家資格を取得し、社会経験ののち保育現場へ。子どもたちの声を大切にできる社会を目指して、既存の枠にとらわれない、新しい仕掛けを生み出し続けている。

著書

「いい親よりも大切なこと 〜こどものために”しなくていいこと”こんなにあった!」(2016年12月・新潮社)
「70cmの目線」(2017年1月・小学館集英社プロダクション)

<合同会社こどもみらい探求社>

こどもの世界と、大人の社会の架け橋に。
「こども × ○○」を軸に、様々な企業・地域・分野を越えて、 コラボレーションを展開している。 時代の変化に合わせたモノ・コト・ヒトを形にしながら、 こどもがよりよく育つための環境づくりを行っている。