住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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コロナ禍で変化した、人々の住まいへの向き合い方。
従来とは異なる観点で住まいと暮らしを見直す人が増えてきました。
なかでも注目を集めているのが戸建賃貸住宅です。
その背景と魅力について考えてみましょう。
昨年度の新設住宅着工統計によると、貸家の新設着工戸数は総数で34万5,000戸余り。
面積帯別の内訳を見ると70㎡未満のものが9割以上を占めており、71〜100㎡の面積帯はおよそ2万4,000戸と極端に少なくなっています〈図1〉。しかし在宅ワークや居住時間の増加に直面し、十分な広さと部屋数が確保された住まいを求める需要が顕在化。都心部から郊外への移動が起こりました。突出した転入超過傾向が続いていた東京都において、2020−2021年度には一気に転出超過に傾いたことはその表れのひとつと言えます。
子育て世帯や、よりゆとりある暮らしを求める入居者層にとって、理想のスペースをもった賃貸住宅が都市をはじめ、市場に十分には供給されていない現状があるのです。
都市部の大企業を中心に在宅ワークが定着してきたことで、狭さ故の不自由さに気づくきっかけとなりました。実際に広い住宅を求めての住み替えが増えるとともに〈図2〉、暮らしの場を柔軟に考える人が増えてきました。ワーケーションや二地域居住なども、現実味を帯びた選択肢となってきています〈図3〉。特に子育て世帯において、ゆとりある自然環境の中でのびのびと子どもを育てたい、という声が高まってきました。併せて注目したいのは、積極的に賃貸住宅生活を選ぶ層が増加傾向であること。5年ごとに行われる住生活総合調査ではすでに、持ち家志向の低下が顕著に表れています〈図4〉。不安定な雇用環境や収入の伸びが期待しにくい社会的な背景からも、すぐに戸建住宅の購入へと動くことは考えにくく、そうした面からも、都市近郊での戸建貸家の潜在需要は小さくないと考えられます。
入居者にとって戸建賃貸住宅に暮らすメリットは、広さや部屋数だけの話ではありません。賃貸の集合住宅に起こりがちな、騒音や隣室トラブル等の悩みから解放され、ペットを飼ったり独立した家族の暮らしの満足度を高めます。庭のある暮らしはガーデニング・家庭菜園を楽しむなど、情緒や潤いにあふれた毎日に。愛車をすぐそばに置いておける安心感をあげる人もいるでしょう。
大きなローン負担を背負うことなく、気軽な賃貸スタイルのままで戸建生活を満喫できるとしたら、ぜひ住み替えを検討したい…。そうした考えを持つ入居者のニーズを満たす戸建賃貸住宅が望まれてきていると言えそうです。
一般的には賃貸住宅経営には不向きとされる立地条件であっても、ある程度の広さがある土地を活用したいオーナーさまにとって、戸建賃貸住宅はメリットがあります。立地の利便性にこだわらず、ゆったりとした住環境をアピールできることをはじめ、通信環境やIoT設備などの先進機器を充実させ、賃貸住宅だからこそ楽しめる暮らしを提供することで差別化が図れます。また『建てやすく分けやすい』こともポイントです。広い敷地に戸建賃貸住宅を複数棟建築し、相続人各々が継承することで、資産の分割がスムーズに。また一部売却で相続税納付の対応もしやすくなります。
コロナ禍の生活スタイルの変化により、時間や場所に縛られない働き方の多様化が浸透しました。今回考察してきたように、都心部から郊外への住み替えを検討する層が顕在化する一方、都心部の賃貸住宅需要は底堅く活発で、地価もまた上昇傾向にあります。貸家建設市場では、すでに床面積の大型化の流れが見られるようになっており、将来的なニーズを考えると、ゆとりを持ったプラン展開が望まれます。この先も少子・高齢化の大きな流れは変わりませんが、入居者がそこで暮らしたいと望む魅力を持った賃貸住宅が、求め続けられることはいつの時代も変わりません。地域の特性、土地の個性やポテンシャル、そして何よりもオーナーさまの思いを受け止める土地活用策として、戸建賃貸住宅も選択肢のひとつとなるのではないでしょうか。