住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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お役立ちコラム
【目次】
ケース1
自己資金なし、多額の借入金で経営困難に……。
以前からアパート経営に興味を持っていたAさん。自己資金なし、すべての費用を金融機関などからの借り入れでまかなう「フルローン」で土地と建物を取得し、アパート経営を開始しました。しかし、過剰な借入金の返済は当初から厳しく、加えて入居者が思うように集まらない空室問題や、建物の経年劣化に対する修繕費、リフォーム代もかさんでいき、10年ほどで資金繰りに窮してしまいました。
ケース2
空室や家賃滞納で、思うように収益が上がらない。
中古のアパートを購入し、リフォームをしてアパート経営を始めたBさん。しかし、リフォームのデザインが入居希望者のニーズに合わなかったのか、思うように空室が埋まらず、想定していた収益が上がりません。加えて、家賃を度々滞納する入居者がおり、金融機関へのローン返済が月を追うごとに厳しくなってしまいました。
ケース3
思わぬ災害で大規模リフォームが必要になったが保険に未加入だったことが発覚!
アパート経営を始めて15年のCさん。これまでは順調な経営を続けてきましたが、大規模地震でアパートが被災。建物本体だけでなく駐車場なども大きな被害を受け、その修復のために多額の費用が必要となってしまいました。これまでのアパート経営は順調でしたが、地震保険に未加入だったことが発覚し、復旧に充当する資金が足りず、その結果、毎月のローン返済もこれまで以上に大きな負担になってしまいました。
ケース4
環境の変化と経年劣化で、アパートの資産価値が下落してしまった。
最寄り駅からバスで10分ほどの立地にあるアパートを経営してきたDさん。ところが、地域全体の人口減少の影響か、駅へのバス路線の廃止が決定し、さらに近隣にあったスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどが次々と閉店。建物そのものの老朽化もあり、アパートの資産価値が低下してしまいました。その結果、空室が増えるようになって収益は悪化。収入と支出のバランスが崩れてしまい、ローンの返済が重くのしかかっています。
ケース5
安易な追加投資で借入が過剰になり、アパート経営そのものが破綻してしまった。
10年以上にわたってアパート経営をしてきたEさん。しかし、建物の老朽化や周辺の環境変化のせいか、最近、空室が目立つようになり、ローンの返済金額が家賃収入よりも多くなってしまいました。そこで赤字経営を好転させるために、新たにアパートを追加購入し、経営の打開を図ります。しかし、これがかえって経営をさらに圧迫。結果としてローン返済が不可能となり、アパート経営そのものが破綻してしまいました。
不動産を購入するためのローンは、「住宅ローン」と「アパートローン」の2つに大別できます。住宅ローンは、借り入れる本人とその家族が住むための、土地や建物などの不動産を購入する資金を融資するものです。一方でアパートローンは、アパートやマンションなど、自分や家族の居住用ではなく、投資用不動産を購入・建築するために受けられる融資で、リフォーム費用やローンの借り換えとしても使うことができます。
基本的に住宅ローンは、投資用不動産に使うことはできません。ただし、自分たちが居住するスペースのほかに、他人に貸し出すための賃貸用スペースがある「賃貸併用住宅」については、条件を満たせば住宅ローンを利用することができます。また、賃貸併用住宅の条件が満たせない場合でも、自分たちが住む居住用スペースと、賃貸用スペースを区分登記して、居住用の建物と土地にだけ住宅ローンを適用するという方法もあります。
住宅ローンに比べると、アパートローンは返済期間が短く、金利も高く設定されているのが一般的です。多くの場合、住宅ローンの借入期間は27~35年前後ですが、アパートローンの借入期間は建物構造にもよりますが25~35年で組むことが多くなっています。また金利について変動金利を例に説明すると、住宅ローンは0.3~1.5%前後ですが、アパートローンだと1.2~4.5%程度となっています。
アパートローンの金利には、固定金利と変動金利があります。固定金利とは、契約時から完済するまで、借入期間中の金利が固定されるものです。金利に変動がないため、返済計画が立てやすいのがメリットですが、契約後に物価の変動に合わせて金利が低下しても、固定されたローンの金利が変わらないのがデメリットです。
変動金利は、金融情勢の変化により返済の途中でも金利が変動します。このため、金利が下がるとローンで支払う最終的な支払いの合計額は減りますが、逆に金利が上がると支払いの合計額は増加します。
一般的に、アパートローンを利用する際には、購入あるいは建築する建物の規模や資産状況にもよりますが、ローン全額に対して自己資金は1~3割が目安といわれます。
アパート経営では、できるだけ自己資金比率を上げられれば、毎月の返済額を抑えられるので経営への負担が軽減され、返済額が減少する分、毎月の収入からリフォームなどが必要になった時に備えて貯蓄することができます。また、全体の借入金額が大きすぎてしまうと、その後のアパート経営が思わしくなかった時の対応として、売却による損切りがしにくくなることも、念頭に置いておくべきでしょう。
あわせて、ローンの返済比率(年間の収入に占める年間の返済額の割合)については、50%以内に抑えると経営的に考えると安心感があります。
これらのポイントを押さえたうえで、現実的で無理のない借入と返済計画を立てることが、健全なアパート経営を続けるためのコツになります。
【まとめ】
アパート経営を始めるにあたり、ローンを組むことは一般的です。しかし、紹介した失敗例などを参考に経営面でのリスクを最小限にとどめ、ローンの仕組みを十分に理解したうえで、無理のない着実な返済計画に基づいた経営を行うことが大切です。