住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
アパート経営における「初期費用」とは、賃貸住宅を取得あるいは建設して、実際に入居者を受け入れ、最初の家賃収入を得るまでに必要な、すべての経費を指します。それらは建物の建築や購入に必要な経費を中心とした「取得時に必要な費用」と、「その他の費用」の2つに分類できます。
取得時に必要な費用の中心となるのが、アパートの取得費用です。この金額については、建設する新築の賃貸住宅あるいは取得する中古アパートの規模をはじめ、構造によっても大きく異なります。
新築の場合、アパートの建築費(本体工事費用)は「坪単価×延床面積」でおおよその額を計算することができます。また坪当たりの単価は建物の構造によって異なり、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリートの順で高額になっていきます。なお、鉄筋コンクリートは主に高層建築に用いられるもので、一般的な賃貸住宅は木造か鉄骨造がメインです。
中古のアパートを賃貸用として購入する場合も、その取得費用は住宅の規模や状態によってさまざまですが、購入にあたっては数千万円ほどの費用がかかることが多いと考えられます。
またアパートを建築した場合は門やフェンス、植栽、駐車場などを整備するための外構工事費も必要となります。こうした建物本体以外の工事費は、一般的に本体工事費用の10~20%ほどが目安となります。
アパートを建築した場合や賃貸用として中古アパートを購入した場合も支払わなければならないのが不動産取得税です。その金額は、「固定資産税評価額×標準税率」で計算することができます。なお標準税率は原則4%ですが、令和6年3月31日までは、軽減措置により3%となります。このほかにアパート新築のための請負契約や不動産売買の契約のために、印紙の代金である印紙税がかかります。
不動産取引には登記が必要なため、初期費用として登記費用も必要です。登記の手続きや必要書類の作成は、オーナーさまがご自分で行うこともできますが、多くの場合、司法書士に代行してもらうケースが多いでしょう。この場合の司法書士への報酬は、10万円前後が一般的といわれています。
前述に加えて、その他の費用として火災保険や地震保険などの各種保険料、不動産仲介業者への仲介手数料、弁護士や税理士などへの相談料といった外注費などが、初期費用として必要になることも考えておきましょう。
アパートを新築あるいは取得して実際にアパート経営を始めた後も、さまざまな費用や経費がかかります。これらの「維持経費」については、「定期的に必要な費用」と「随時必要な費用」の2つに分けて考えるとよいでしょう。
定期的に必要な費用の代表が光熱費です。これはアパートの共有部分で使用される電気代や水道代で、金額そのものはそれほど大きくはありませんが、毎月必ず発生する維持費用となります。
アパートの運営管理を賃貸管理会社に任せる場合には、管理費を支払わなければなりません。一般的に管理費は毎月の家賃の5%前後が相場といわれていますが、管理してもらう内容などによって金額も変わってきます。また、火災保険料や地震保険料などの損害保険料も、毎月の支払が必要な維持費用となります。
随時必要な費用として、入居者が退去した後に発生する可能性が高いのが、水回りの整備や壁紙・カーペットの張替えといったリフォーム費です。また、地震や台風などの災害、あるいは経年劣化で破損した部分や設備の修理にかかる修繕費も、必ず考慮しておくべきでしょう。
賃貸管理会社や仲介会社、不動産業者に入居者を探し賃貸契約を結ぶ「客付け」を依頼している場合は、新しい入居者が入居するごとに、仲介手数料を支払う必要があります。
アパート経営を始めるにあたっては、アパートの取得費用を中心とした初期費用に加えて、その後、家賃収入による経営が軌道にのるまでの維持費用も考えた資金調達をすることが重要です。そのため、アパート経営を始める時点で、できるだけ自己資本比率を上げておけると安心です。一般的にアパート経営における自己資本比率は10~30%が必要といわれます。自己資本比率が高ければ、毎月のローン支払額もより安く設定することが可能なため、維持費用などの負担も楽になります。
アパートの建築費用は、オーナーさまが建設会社などに直接交渉したとしても、簡単に下げてもらうのは困難です。このため建築費の負担を少しでも下げるために、複数の業者に同じ内容での見積もりを依頼する「相見積もり」をとることで、現実的な費用感がわかり、交渉の際の裏付けとしても使用できます。
アパート建築の際、屋上に太陽光発電システムを設置することで、共用部分の光熱費を節約することができます。この場合、太陽光発電システムの設置コストや予想される発電量、月々の光熱費を総合的に考え、設置することで利益につながるか検討するとよいでしょう。
アパートの管理について、オーナーさまが自主管理をするか、賃貸管理会社に委託するか、それぞれのメリットとデメリットを検討し、より適切な方法を選ぶことも、コスト削減につながります。自主管理なら管理費用はかかりませんが、すべての管理業務をオーナーさまご自身が行うことになり、手間と負担がかかります。一方で賃貸管理会社に委託をする場合は、管理費が発生しますが、オーナーさまの負担が大きく軽減します。
【まとめ】
アパート経営のコストを考えるには、初期費用と維持費用の双方を、できるだけ具体的にイメージすることが重要です。そのうえで、利回りを意識しながら自己資金と借入額のバランスを検討して経営を始め、その後もコスト削減に努めることが、アパート経営成功の秘訣といえるでしょう。