住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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お役立ちコラム
【目次】
日本の社会問題である少子高齢化と、新型コロナウイルスのパンデミックは賃貸市場にどのような影響をもたらしているのでしょうか。アパート経営を始める前に、世の中の現状と課題を把握しておきましょう。
日本の総人口は減少に転じており、2050年頃には1億人を割り込むと予測されています。その変化を年齢別に見てみると、若年人口と生産年齢人口が減少し、反対に高齢者は増加するのが特徴です。これまで人口が増加傾向で推移してきた東京都においても、全国的な人口減少に伴い、都内へ転入してくる若い世代が少なくなることから、2025年以降は緩やかに人口が減少に転じると予測されています。
この人口減少により懸念されているのが、「空室リスク」の高まりです。人口が集中する都市部においても、今後はエリア内での市場競争が徐々に加速し、いかに「選ばれる住宅」を提供するかが大きな課題となるでしょう。そのため、早い段階で変化を見抜き、オーナーさま自ら知恵を絞って優位性の高い住宅を計画することが重要になります。
賃貸住宅の供給過多が問題視される一方で、高齢者用の住宅は不足することが予想されます。健康なアクティブシニアもいずれは介護が必要になる可能性がありますから、そのような方々をどう受け入れるかは、アパート経営の大きな課題となるでしょう。ただし、これは別の側面から見ると、社会課題を不動産運営で解決する糸口でもあります。容易に住まいを見つけられない高齢者が増えることを念頭に置き、「高齢者向けサービス付き住宅(サ高住)」の経営を選択肢に入れるのもひとつの方法です。
コロナ禍は人々の価値観を大きく変化させ、昨今の賃貸市場にもそれが新たな潮流として現れています。テレワークが浸透したことで、出社と在宅のハイブリッド型の働き方がスタンダードになりつつあり、「仕事と暮らしを両立できる住宅への住み替え」を検討する人が増加傾向にあります。今後は、仕事(ワーク)を人生(ライフ)の一部と考える「ワーク・イン・ライフ」という価値観も広がっていくと考えられ、どのように住まいも具現化できるかが、大切なテーマになりそうです。
アパート経営を取り巻く現状と課題、そして今後のアパート経営に欠かせない新たな視点を整理します。ここでは、アパート経営の最大の問題点「空室リスク」をどのような対策で乗り越えていけばよいか、ステップごとに解説します。
アパート経営の要諦となるのが、詳細な市場調査です。現状の賃料相場を把握するだけでなく、単身者とファミリーの割合や、駅前の商業施設の様子、さらには大型商業施設や大学・企業に通う人々の属性など、広範囲な視点から情報をキャッチします。それにより、新たな発見や気づきがあり、潜在的なニーズを発掘することもできます。
住み慣れた街であったとしても、時代のニーズを取り込むさまざまな変化が存在するため、直に足を運び、興味を持って見聞きする必要があります。そうして、立地におけるマイナス条件があった場合、プラスに転換させるアイデアへとつなげていきましょう。
賃貸住宅の建築プランを考える際に大切なのが、ターゲット層を絞り込み、住宅のコンセプトを明確にすることです。明確なコンセプトがあることで、建築時に「こだわる箇所とそうでない箇所」のメリハリをつけることができ、入居者の途切れないアパート経営につながります。アパート経営における空室対策はいわば企業のマーケティグ施策と同じ。アイデアとセンスで魅力を最大化させたいものです。
具体的な建築プランとしては、ファミリー向けの「家庭菜園付き住居」や共働き世帯向けの「IoT住居」、アウトドア派のための「駐車場付き住居」、ペット愛好家のための「ペット共生型住居」などが挙げられます。今後は、テレワーク時の快適な環境を実現する「防音性・遮音性に優れた住居」、さらには、地球にもやさしい「太陽光発電付き住居」のニーズも高まると考えられます。
大切なのは、コンセプトに応じていかに無駄を省き、メリハリをつけて投資できるか。そのうえで、少しの工夫で「あったら便利!」な機能を付加しておくことも空室対策には欠かせないポイントになります。
入居者の暮らしと豊かな社会生活に思いを馳せたアパート経営も、継続的に収益を上げられなくては意味がありません。ここでは、アパート経営の利益最大化を実現するために知っておくべき「収支計画」と「資金計画」の基本について解説します。
アパート経営は長期的なビジネスであり、その目的は、事業の利益を最大化することにあります。そのため、建築時には修繕費や家賃動向も見込んだ収支計画を立てることが大切になります。外壁や屋根などメンテナンス費用のかかる部分は、建築費が多少割高になったとしても、耐久性に優れた素材や造りにしておくのもおすすめです。
収支シミュレーションには、築年数経過に伴う「家賃下落」や「減価償却」のほか、「定期的な小修繕」や「大規模修繕(防水工事、外壁塗装など)」を織り込んでおきましょう。計画的にメンテナンスができれば、建物の印象を保てるとともに建物の寿命を伸ばすことができるため、結果的に高稼働・高収益を維持することができます。
アパート経営において、建物価格に対する自己資金は、初期投資費(建物購入・建築価格、外構工事費、税金、登記費用など)の10~30%程度あるのが望ましいとされています。ただし、さまざまな状況や事情もあるため、あくまで目安の割合と考えましょう。自己資金で借入金を抑えておくことをおすすめする理由は、空室や金利変動などのリスクに耐えられるように、ある程度の余裕が必要だからです。また、資金に余裕があれば、設備機器の故障など想定可能な修繕費に備えるだけでなく、災害などの想定外の出費、空室時の対策をスピーディーに講じるなど万事に備えられ、経営面で好循環も生まれます。
一方で、ローンの利息は経費として計上できますから、節税対策としてあえてローンを組むという方法も考えられます。他の収入状況に応じて総合的に判断しましょう。
「収支計画」「資金計画」を含め全体を定期的に見直すことで、発生するかもしれないマイナス面をプラスに変換し、より効率的なアパート経営へとアップデートしていくことが大切です。余裕ある計画でリスクを制御し、安定経営を目指しましょう。
【まとめ】
アパート経営をとりまく環境の変化、市場調査やプランニングの考え方、収支・資金計画の進め方を紹介しました。変化の激しい時代においてアパート経営も転換期を迎えています。リスクはありますが、適切な市場調査を行えば大きな成果につなげることができるはずです。不動産の専門家ともよくコミュニケーションを取り、オーナーさまと入居者、そして社会にとっても有益なアパート経営を実現させてください。