住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
アパート経営の「経費」は、できるだけ減らしたい一方で、正しく使いこなせば節税のための強い味方にもなる存在です。では、そもそも経費とは何でしょうか?
「経費」と「費用」は辞書的には同じ意味なので混同されがちですが、決してイコールではありません。アパート経営に限らず、経営者にとって経費とは「必要経費」のこと。つまり、日々、発生する費用の中でも、特にアパート経営などの事業を営むうえで必要と認められたものが経費となります。
経費が節税対策になる仕組みを知るには、まず確定申告について理解する必要があります。確定申告は、アパート経営者などの事業者が、所轄の税務署に対して年間の収入を報告するもので、所得税や住民税を計算するためのベースとなります。
所得税や住民税の税額は、家賃収入をはじめとした「売上」ではなく、そこから経費を差し引いた「所得」に税率を掛けて計算されます。つまり、売上は同じでも、経費を多く計上すればするほど所得は低くなり、課せられる税金も抑えられます。
認められるはずの経費を計上しなかったとしても、税務署が指摘してくれるわけではありません。日頃から領収書や出費内容などをオーナーさまご自身でしっかりと管理し、もれなく計上するよう努めましょう。
アパート経営で経費として認められる費用は多岐にわたります。認められない費用と合わせて、以下の表にまとめました。
なかでも「維持管理費用」の「修繕費」か「資本的支出」かの判断は迷いやすい部分です。どのような支出であれば修繕費となるかは、以下を参考としてください。
<修繕費>
・20万円未満の支出である
・維持管理・原状回復のための支出である
・おおむね3年以内の修繕周期である
<資本的支出>
・アパートの資産価値を高める、または耐用年数を増加させる支出である
いくら税金を安くしたいからといって、どんな費用でも経費として計上できるわけではありません。経費として求められるのは、あくまでアパート経営に伴う費用です。例えば、自宅で使用する家電製品や、プライベートでの食事代などは、アパート経営と関係ないので経費とは認められません。
ただし、同じ食事代でも、不動産会社との打ち合わせを兼ねた会食などの場合は「接待交際費」として経費に計上することが認められる場合もあります。判断に迷うケースも多いので、いくつか事例を見ていきましょう。
Q:あるアパート経営者は、アパート経営に役立つ情報収集のために、さまざまな新聞・雑誌を購入しています。なかには競馬新聞や漫画雑誌など、自分の趣味に関するものも含まれますが、これらは経費として認められるでしょうか?
A:住宅情報誌や経済新聞など、アパート経営と関係するものであれば「新聞図書費」として経費に計上できます。ただし競馬新聞や漫画雑誌など、プライベートに関わるものは個人的な支出のため、認められません。
Q:経営するアパートが自宅から離れていて、居住者の要望に対応するため頻繁に自家用車で訪れます。その際のガソリン代は経費として認められるでしょうか?
A:仕事でもプライベートでも使用している場合、どこまでがアパート経営に関係するか、見極めが難しいもの。こうした際は「家事按分」といって、仕事とプライベートとの利用比率を計算し、年間でかかったガソリン代の総額に、仕事での利用比率を掛けた金額を「交通費」として計上できます。
Q:老朽化が進んで空室が目立つようになったアパートを、外壁塗装によってリニューアルしました。その際の費用が300万円かかりましたが、これは経費として認められるでしょうか?
A:アパート経営においては、全額経費となります。ただし、塗装外壁にタイルを張るなど資産価値を上げるための支出は「資本的支出」になるため、「減価償却費」としての計上になります。
「減価償却費」とは、時間の経過とともに価値が下がっていく固定資産(建物や塗装外壁など)において、耐用年数に応じて一定額を算出し、毎年計上する費用のことです。そのため今回の事例では、その年度の経費ではなく、減価償却費として翌年から計上することになります。
ここからは、確定申告で経費を計上する際に、知っておくと役に立つ情報を紹介していきます。
アパート経営において、年度ごとの売上の増減はつきものです。売上(家賃収入)の少ない年度は、そもそも所得も低くなるため、いくら経費を計上しても大きな節税効果は見込めません。売上の高い年度こそ、多額の経費を計上したいものです。
買い替えを急がない事務用品の購入や、防水工事など不急の工事については、空室率が低い、更新時期が重なるなど、売上の高い年度に実施し、経費として計上することで高い節税効果が期待できます。
売上が減少した年度に限って経費が膨らみ、赤字となってしまった場合、「損益通算」といって給与所得など他の所得と相殺することができます。
所得税の確定申告は、不動産所得だけでなく、給与所得などと合算した「総所得」をもとに計算されます。不動産所得が赤字になった場合は、赤字分を計上することで総所得が減額され、節税につながります。給与から源泉徴収された所得税が還付される場合もあるので、申告を怠らないようにしましょう。
確定申告の際に、あやふやな知識で経費を計算していると、適切な節税対策ができずに税額が高くなってしまったり、逆に税務署から指摘を受けたりといった事態もあり得ます。そうならないためには、やはり税理士など専門家に相談することをおすすめします。
税理士にツテがない場合、アパート建築を依頼したハウスメーカーなどでも、経営サポートの一貫として、確定申告について提携税理士から無料でアドバイスをしてもらえる場合があります。節税でお悩みの場合は、一度相談してみてはいかがでしょうか。
【まとめ】
日々の経費管理や確定申告はなかなか面倒ですが、最近ではパソコン上で簡単に作成できる会計ソフトなども登場しています。一度やってみれば、次年度からは要領もわかって楽になりますので、専門家の知恵を借りながらチャレンジしてみましょう。