住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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お役立ちコラム
【目次】
アパート経営は不動産投資の一種であり、投資である以上、一定のリスクを負う可能性はあります。投資活動において、リスクとリターンは表裏一体であり、過度にリスクを避けようとすると、得られるリターンも小さくなります。小さなリスクで大きなリターンを得られる投資などないことを、まず理解しておきましょう。
では、「リスク」とは何でしょう? よく「リスク=損失」と捉えられがちですが、これは誤解というもの。正しくは「損失をもたらす可能性」と「失敗した場合の損失の大きさ」の掛け合わせといえるでしょう。つまり、失敗の可能性が高く、その場合に大きな損失が伴うものは「ハイリスク」。失敗の可能性が低く、失敗しても損失が限られている場合は「ローリスク」といえます。
投資商品には、株式投資などのように、リスクが高い一方で得られるリターンも大きい「ハイリスク・ハイリターン」なものもあれば、定期預金などのように、あまり大きなリターンは期待できないけれど、リスクも小さい「ローリスク・ローリターン」なものもあります。アパート経営を含めた不動産投資は、他の投資商品と比べて「ミドルリスク・ミドルリターン」といわれていますが、しっかりとリスクを把握して適切な対策をとることで、リスクを減らしながらリターンを増やすことも可能です。大切なのは、リスクから目をそらさず、しっかりと向き合う姿勢にほかなりません。
あるアパートでは、建設当初はほぼ全室が埋まっていたものの、築5年を過ぎると老朽化が目立ってきました。また周囲に新しいアパートが増えたこともあり、次第に空室が増加。家賃収入が減少し、ローンの返済も困難という事態に陥ってしまいました。
こうした「空室リスク」は、アパート経営において最大のリスクといえます。空室が増える原因は、事例にあるような老朽化による魅力低下や競合アパートの増加に加え、そもそもの立地がよくない、周辺環境の変化による入居希望者が減少する、など多種多様です。
空室リスクを減らすには、入居者に選んでもらえるような環境整備に努めるとともに、適切な家賃設定、退去者が出た場合も早急に次の入居者を募集する、といった対策が必要になります。
あるアパートでは、空室は少ないものの、家賃を滞納する入居者が多く、安定した収入が得られません。加えて、入居者同士や周辺住民とのトラブルが絶えず、経営者はその対応に悩まされています。
家賃滞納やトラブルを起こす入居者には退去してもらい、新たな入居者を募りたいところですが、法律では入居者の権利が重視されており、オーナーさま都合での退去は容易ではありません。こうしたリスクを減らすには、不動産会社と連携して、あらかじめ入居者の収入などの見極めを重視する一方、家賃保証会社などの活用も検討すべきでしょう。
あるアパートでは、建築から10年経つと内外装ともに老朽化が目立ってきました。居住者からのクレームも増え、水回りの修繕や外壁塗装などを実施した結果、修繕費がかさんで利益を圧迫するようになりました。
建物は経年劣化が避けられず、事例にあるような修繕費の増加だけでなく、空室の増加にもつながりかねません。こうしたリスクを減らすには、まずは建設時に信頼できる業者を選ぶことです。建物品質が高く、定期的なメンテナンスを実施してくれる業者であれば、それだけ老朽化を遅らせる可能性も高くなるとともに、必要な補修を最適なタイミングで実施できます。
あるアパートでは、順調に経営していたものの、突然の地震でアパートが全壊してしまいました。地震保険に加入していなかったため補償が得られず、家賃収入は途絶え、ローンだけが残るという事態に陥ってしまいました。
災害リスクは、事例にあるような地震以外にも、台風による水害、さらには火災などさまざまです。こうしたリスクを減らすために、やはり保険には加入しておきたいもの。その際、立地に応じたリスクの大きさや、保険ごとの補償内容や掛け金などをもしっかりと計算しておくことをおすすめします。
あるアパートでは、計画通りの安定した経営を続けていたものの、経済環境の変化によってローンの金利が上昇して返済金額が急増。経営を圧迫する事態となりました。
アパート経営を始める場合、建築費用などを金融機関からの融資でまかなうケースが少なくありません。この際、変動金利型のローンを活用していると、その後の経済情勢次第で金利上昇の影響を受けることになります。例えば1億円を借り入れていた場合、利息が1%上昇するだけで年間100万円の負担増となります。あらかじめ金利上昇を見込んだ手堅い返済計画を立てておくことが大切です。
アパート経営における最大のリスクである「空室リスク」を軽減するには、住まいを探す人々から「選ばれるアパート」になることが重要です。そこでポイントとなるのが、ターゲットを明確にすること。
具体的には、立地周辺の人口動態や競合アパートの空室状況などを調査して、「単身者向け」「高齢者向け」「外国人向け」など、ニーズの多いターゲットを絞り込み、間取りや設備、外観、価格などをターゲットのニーズに合わせて設定することで、他のアパートとの差別化を図ることができます。
アパート経営に伴うリスクは、資本面で余裕をもった経営を心がけることで軽減できるといわれています。あらかじめ十分な自己資本を確保しておくことで、アパート建設や大規模修繕などをローンに頼らず実施でき、金融リスクを抑えることができます。また、老朽化による修繕費の増加や、問題のある入居者の退去費用といった想定外の出費にも対応できます。
自己資本が十分でない場合は、建設資金を抑えるためアパートの規模を小さくするか、十分な自己資本が貯まるまで待つことも検討してみましょう。
アパートを経営するには、建物や設備、入居者の管理ノウハウに加え、金融知識や法知識など幅広い専門知識が必要になります。オーナーさま自身が勉強するのはもちろん、専門家のサポートを活用することも大切です。信頼できる賃貸管理会社やハウスメーカーの存在は、アパート経営に伴うリスクの軽減が期待できます。
【まとめ】
アパート経営には、じつに多様なリスクがある一方で、順調に経営できれば大きなメリットをもたらします。アパート経営に成功した人の多くは、事前にリスクをしっかりと把握し、リスクヘッジのためのさまざまな対策を実施しています。リスクを忌避するのでなく、リスクに立ち向かうという姿勢こそ、アパート経営を成功させる条件といえるかもしれませんね。