住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
アパート経営を始めるうえでの「初期費用」とは、賃貸用の建物を建築して設備を整え、入居者の受け入れ、家賃収入を得るまでに必要となる、すべての経費のことです。この初期費用は、建物の「建築時に必要な費用」と「その他の費用」に分類することができます。
取得時に必要な費用の主な項目は、次のようなものがあげられます。
■建築時に必要な費用
・アパートの建築費用
初期費用全体のなかでも最も大きな金額となるのが、「アパートの建築費用」です。
たとえば、新築の場合、「坪単価×延床面積」でアパートの建築費(本体工事費用)を大まかに算出することができます。この場合、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリートの順に、費用は高額になります。ただし、鉄筋コンクリートは高層建築に用いられることが多いので、アパート経営における賃貸住宅では、木造あるいは鉄骨造の建物として考えればよいでしょう。
坪単価の目安については、木造の場合は50~80万円前後、鉄骨造では70~140万円前後といわれています。
今回は金額が分かりやすいように、所有する150坪の土地に鉄骨造2階建アパート(80坪)の建築費(6,400万円)やその他の費用を含め、初期費用として7,330万円かかった場合を例にご説明します。
・建物に関わるその他の費用
設計料(建築費の3~20%が目安)をはじめ、フェンスや門、駐車場といった建物以外の設備の費用が含まれます。
とくに建物以外の設備の費用は、エントランスの設備などにより大きく変動しますが、6,400万円程度の建物の場合、目安として500万~1,200万円前後と意外に高額になることもあるので、しっかりと検討しておくことが大切です。
・登記費用
アパートを建築するにあたり、登記のための費用も必要となります。登記については、手続きや必要書類の作成をオーナーさまご自身で行うこともできますが、司法書士に代行してもらうケースが多いでしょう。
登記費用は司法書士への報酬(10万円前後)を含めて、6,400万円のアパートを取得した場合は30~50万円ほどかかります。
・アパートローンの保証料や手数料
・不動産取得税
・印紙税
アパートを建築する際、アパートローンを契約することが多いです。その場合、ローンの利息以外にも、保証会社に支払う保証料や金融機関への事務手数料などが発生します。保証料は借入金額の2%前後、事務手数料は目安として3~5万円ほどが必要となります。
そのほかに不動産取得税や印紙税などの税金も、取得時に必要な費用に含まれます。
アパート経営における初期費用のなかで、建築時に必要な費用以外の「その他の費用」には、次のようなものがあります。
■その他の費用
・各種保険料(火災保険・地震保険など)
アパートを経営する場合、万が一に備えて火災保険に加入するのが一般的です。料金はアパートの構造や規模によって異なりますが、5年契約で50万円前後が相場といわれています。
また、自然災害にそなえるという意味で、火災保険と一緒に地震保険などに加入することも重要でしょう。
※火災保険の年数は10年が最長ですが、2022年10月1日以降は5年になります。
・外注費(税理士や弁護士への依頼料、不動産会社への仲介手数料など)
アパート経営を始めるにあたっては、弁護士や税理士への相談が必要になることもあります。一般的に弁護士や税理士への相談料金は時間制で、依頼料は依頼する業務の内容によって異なります。
これらの合計を大まかな目安として考えると、たとえば自己資金1,000万円で、所有する150坪の土地に、アパートローンを利用して鉄骨造2階建てのアパートを新築したとすると、次のような初期費用が想定されます。
例/賃貸用の鉄骨造2階建てアパート(80坪)を新築する場合の初期費用
・アパート建築費用/約6,400万円
・その他の建築費用/約1,000万円
・登記費用/40万円
・アパートローンの手数料/90万円
・その他の費用(保険料、税、外注費など)/800万円
・自己資金/1,000万円
・計/約7,330万円
アパート経営を始めた後に必要となる「維持費用」は、「定期的に必要な費用」と「随時に必要となる費用」の2つに分類できます。
■定期的に必要な費用の目安
・光熱費(毎月)
・損害保険料(毎月)
・管理費(毎月賃貸管理会社に委託する場合)
・固定資産税など
■随時に必要な費用の目安
・修繕費(10~15年に1回程度)
・原状回復費(入退去時)
・リフォーム代
・仲介手数料(不動産会社が入居者を仲介した場合)
維持費用のなかでも、とくに高額な費用が必要になるのが修繕費とリフォーム代です。
修繕費が必要になるのは雨漏りに伴う屋根の補修など、発生するのは数年おきであり、毎年必要になるものではありません。しかし、たとえば外壁の修繕や大規模な設備の入れ替えなどでは、百万円単位の費用がかかることもあります。このように修繕費は必要な金額が大きくなるだけに、アパート経営を始める時点から、それを念頭に置いた中長期の資金計画を立てておくとよいでしょう。
またリフォーム代についても、建物の築年数が長くなるほどコストがかかることが多いです。加えて、ある程度築年数が長くなった場合には、新規入居者への訴求のために、大規模なリフォームが必要となることもあるでしょう。このため、リフォーム代についても修繕費と同様に、中長期のアパート経営計画に盛り込んでおくことをおすすめします。
なお、アパートローンは新規の建築だけでなく、一定の要件を満たせばアパートの修繕やリフォーム費用としても利用できますので、大規模な修繕やリフォームの際には、利用を検討するのもひとつの方法です。他にも、住宅金融支援機構や各銀行、信用金庫で独自の「リフォームローン」を取り扱っており、アパートローンを契約するよりも金額を抑えられる可能性があります。用途に合わせて上手な使い分けをしましょう。
【まとめ】
アパート経営では初期費用や維持費用について、できるだけ具体的に想定したうえで、余裕を持った経営計画を立てる必要があります。額面の大きなアパートの建築費用だけに目を奪われることなく、維持費用も含めた多岐にわたる費用を考慮し、俯瞰的に考えておくことをおすすめします。