住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
アパート経営を始めたオーナーさまから、よく聞こえてくるのが「こんなに税金がかかるとは思わなかった」という声。アパート経営に関係する税金は多岐にわたるうえに、条件によっては課税されない場合もあるので、理解が追いつかないのも当然です。
さまざまな税金についていきなり列挙しても、なかなか頭に入ってこないでしょうから、まずは「アパート経営を始める際に課せられる税金」と「毎年、課せられる税金」の2種類に大別できること、さらに、後者は「不動産所得にかかる税金」と「土地・建物にかかる税金」に分けられることを理解しておきましょう。
表にまとめると、以下のように整理できます。
※都市計画税の課税は該当する市区町村により違いがあります。
アパートに限らず、土地や建物など不動産を取得した場合には、不動産取得税と登録免許税がかかります。取得には売買、新築、増改築、贈与、交換という5つのケースが該当します。相続の場合は取得には含まれないため、不動産取得税はかかりませんが、相続税が課せられます。
家賃収入など年間の「売上」から必要経費などを引いた「所得」に対して課せられるのが所得税と住民税。アパートの経営規模によっては、個人事業税や消費税も課せられる場合があります。
これらはアパート経営者が毎年行う確定申告に基づいて計算されます。このため、かかった経費を適切に申告したり、所得控除を利用することで、税額を抑えることができます。
所有する土地や建物に対して毎年課せられるのが、固定資産税と都市計画税です。税額は、いずれも市区町村の定める評価額をもとに計算され、自動的に納税通知書が送付されます。このため、確定申告などの手続きは不要ですが、経費として計上するといった節税対策はできません。
また、都市計画税はそれぞれの市区町村により課税・非課税が異なります。
アパート経営で安定した利益を得るために、しっかり理解しておきたいのは、やはり毎年かかる税金です。ここからは、毎年、課せられる6種類の税金について、詳しく見ていきましょう。まずは所得に応じて課税される4つの税金について解説します。
所得税は「総合課税」といって、不動産所得だけでなく、給与所得などすべての収入と合わせた総所得をもとに計算されます。所得が高くなるほど税率も高くなる「累進課税率」が採用されていて、税率は最低で5%、最高で45%となります。なお、令和19年までは復興特別所得税として、所得税額の2.1%が加算されます。
所得税の税額は、年間の総収入から経費を引いた「所得」から、所得控除を差し引いた「課税所得」に税率をかけ、決められた控除額を差し引いて計算します。このため、アパート経営にかかった経費や、控除対象となる項目をしっかりと把握し、経費などをもれなく計上することが節税の基本となります。
国に納める所得税に対し、居住する自治体に納めるのが住民税です。
住民税の税額は、総所得に税率をかけて計算する「所得割」と、所得にかかわらず一定額を負担する「均等割」を合計します。所得割の税率は、都道府県民税が4%、市区町村民税が6%で合計10%となります。均等割は地域によって異なりますが、おおむね5,000円程度です。住民税は所得割の比率が高いので、やはり経費や控除についてしっかり把握しておきましょう。
アパート経営の場合、トータルでおおむね10室以上、または5棟以上を経営する場合、不動産所得に対して年間5%の個人事業税がかかります。事業規模が大きい場合は、個人事業者に比べて税率の低い法人化を検討してみるのも一案です。
なお、個人事業税には年間290万円の事業主控除が設定されているため、年間の不動産所得が290万円以下の場合は課税されません。
消費税は、消費税対象となる売上高が年間1,000万円以上の事業者に課せられる税金です。住宅の賃貸料は消費税の対象外ですので、アパート経営では、消費税はかからないことが多いです。
ただし、店舗や事務所、倉庫など住宅以外の用途でも賃貸している場合や、アパートの居住者以外に駐車場を賃貸している場合などは、消費税の対象となるので注意が必要です。
アパート経営で毎年かかる税金のうち、土地や建物に課せられる2つの税金の仕組みや計算方法などを詳しく見ていきましょう。
固定資産税は、その名の通り固定資産に対する税金で、アパート経営者が所有する土地や建物も対象となります。
毎年1月1日時点で市区町村の固定資産課税台帳に登録されている土地・建物の所有者に対し、1年分の固定資産税が課税されます。5~6月に市区町村から納税通知書が送られ、一括または年4回に分けて納税します。
都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業などの費用に充てられる目的税で、各市区町村が指定する「市街化区域」内に位置する土地・建物が対象となります。都市計画税はすべての市区町村で採用しているものではないので、市街化区域に該当するかどうかは、自治体や不動産会社に問い合わせるほか、インターネットでも調べられます。
固定資産税と同様、毎年1月1日時点で市区町村の固定資産課税台帳に登録されている土地・建物の所有者に課税されます。
固定資産税や都市計画税の税額は、土地の購入金額や建物の建設費用ではなく、市区町村が定める評価額をもとに計算されます。納税者の負担が重くなり過ぎないよう、評価額はおおむね時価の60~70%前後に設定されています。
固定資産税の税額は、基本的に「固定資産税評価額×税率(1.4%)」で計算されますが、住宅用地の場合、軽減された「課税標準額」に税率を掛けて計算されます。例えば、一般住宅用地(1戸あたり200㎡を越える部分)の場合、課税標準額は評価額の1/3、小規模住宅用地(1戸あたり200㎡以内の部分)の場合は評価額の1/6となります。都市計画税も同様で、税率は0.3%。課税標準額は一般住宅用地の場合は2/3、小規模住宅用地の場合は評価額の1/3となります。
なお、上記の税率はいずれも上限となる「制限税率」で、多くの市区町村がそのまま適用していますが、なかには税率が異なる自治体もあるので、お住まいの市区町村に確認しましょう。
固定資産税や都市計画税については、上記のように、住宅にすること自体が節税対策となります。小規模住宅用地にすれば、より節税効果が高くなるので、アパートを建設する前に、戸数ごとの面積などをしっかりと計算しておきましょう。
【まとめ】
アパート経営に課せられる税金は、金額的な負担もさることながら、制度や手続きを理解するもこと自体も大きな負担です。制度や税率が変更されることもあるので、自分で情報収集するのも大切ですが、税理士や不動産会社、ハウスメーカーなど専門家の知恵を借りることも検討してみましょう。