住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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お役立ちコラム
【目次】
災害はいつ起こるかわかりません。そのため、ふだんから災害に関して理解を深めておく必要があります。
まずは自身が経営するアパートがどのような立地にあるのか、周辺環境を把握しておくことが大切です。高台の住宅密集地であれば火災が最重要事項かもしれませんし、河川の近くでは洪水などを考えておかなければなりません。こうした災害リスクを事前に理解するため、国土交通省による「ハザードマップポータルサイト」や、防災科学技術研究所の「J-SHIS 地震ハザードステーション」などのホームページをチェックしておきましょう。そのうえで、入居者を守るための避難場所、避難経路マップを事前に作成しておけるとよいのではないでしょうか。
事業としてのアパート経営ですが、最も大切なことは入居者の安全を守ることです。安心は何よりも信用につながります。
パートナーである賃貸管理会社やハウスメーカーとの情報共有も、ふだんから行っておくとよいでしょう。アパートの近くにオーナー様が住んでいない場合も考えられますので、その場合は賃貸管理会社やハウスメーカーなどの助けが必要になります。日頃から賃貸管理会社などに任せきりにせず、いざという時のために助けてもらえるような関係性を構築しておくことも重要です。
建物の安全性確認だけでなく、災害時に被災者の安否確認や訪問などを行ってくれるハウスメーカーもあります。日頃から安全についての意識共有をすることで、いざという時に連携し、災害時のリスクを軽減することが可能になるのではないでしょうか。
情報共有はオーナー様と賃貸管理会社だけで終わらせず、入居者へのアナウンスをして初めて災害に対するリスク管理のネットワークが完成します。
例えば、賃貸管理会社から、避難経路の案内を配布してもらうなどもよいかもしれません。ただし、想定しうる災害をあげつらってしまっては、入居者へ逆効果になってしまう恐れもありますので、十分に配慮した告知が必要です。
災害に対する人的なリスク管理だけでなく、建物の管理も怠ってはいけません。通路や階段などの共用部、壁や塀などはオーナー様の占有物です。この占有部分で事故などが起きた場合、民法にある土地工作物責任が問われ、オーナー様が賠償責任を負うことになってしまいます。建物だけではなく、敷地内にある設備は定期的にチェックすることが重要。修理や修繕が必要であれば速やかに行うようにしましょう。それが最善の予防策にもなります。
入居者が使用する階段や通路などの共用部は、災害時の避難導線にもなります。そのため、避難の際に邪魔になってしまうものや損壊があった場合は、それだけ被害が大きくなる恐れも。常に整然としておくようにしましょう。また、規模によって設備の種類はさまざまですが、消火器や火災報知器などの設置は必須です。
消防法により、床面積150㎡以上であれば半年に1回の点検と、3年に一度アパートのある市町村の消防長への報告義務もあります。150㎡以下の小規模アパートの場合も、義務ではないからと怠らず定期的に点検することをおすすめします。
地震対策などにおいて、重要なのが建物の耐震性です。建物の耐震性をランクで示す耐震等級というものがあります。強度の目安として3段階に分かれており、ハウスメーカーなどとも相談し、調べてみてもよいかもしれません。
耐震等級1/震度6から7相当の地震に耐えうる強度
耐震等級2/耐震等級1の1.25倍の強度。長期優良住宅に認定
耐震等級3/耐震等級1の1.5倍の強度。耐震性の中で最も高いレベル
これから建築する場合、等級を上位にするには柱や壁の位置や間取りが制限されることもありますので、居住性を重視するなら、前もってハウスメーカーなどに相談するとよいでしょう。
もちろん、すでにある建物を耐震改修することも可能です。まとまった費用が必要となるので、大規模修繕は難しくとも、壁や通路の亀裂といった細かな確認、修繕に対処するのも、建物を守るうえで大切なことです。
災害のリスクを回避するためには、情報共有や建物のチェック、修繕など、さまざまな方法が考えられますが、保険への加入もその一つ。災害に万全は考えられませんので、起きてしまった時の被害を資金的な面でもケアする必要があります。
アパートでは入居者とオーナー様、それぞれが加入する保険があります。
オーナー様が必ず加入しなければならないのは火災保険。補償内容は火災、風災、水災、盗難、水漏れ、破損などですが、地震による火災などが起きた場合は適用されません。そのため、特約の地震保険にも加入することでリスク回避につながります。ただし、地震保険は単独で加入できません。
ほかにも、家賃補償や施設賠償責任といった特約もありますので、資金繰りを考慮して選ぶとよいのではないでしょうか。
地震や噴火を原因とした、津波や火災による建物被害に対して補償されるのが、地震保険です。補償範囲は居住用の建物と家財一式。補償される家財は電化製品や家具などの生活必需品で、基本的に動かすことができるものが対象となります。
加入の際は、火災保険金額の30~50%の範囲内で補償金額を設定しなければなりません(ただし建物は最高5,000万円、家財は1,000万円まで)。
火災保険は補償内容が同じであっても、保険会社により毎月の保険料はさまざまです。しかし地震保険は、同じ補償内容であれば、毎月の保険料に変わりはありません。
【まとめ】
アパート経営の災害対策はさまざまな角度から予防したいもの。
まずはオーナー様、賃貸管理会社やハウスメーカーなどのパートナー、そして入居者との情報共有の面から。そして建物の倒壊や損壊を最小限にするための日頃の確認と、修繕が必要であれば速やかな対応。最後に、損害を補償してくれる保険です。
入居者の安全を守り、安心してアパート経営するためには、これら3つが重要となります。予期せぬ災害に備え、減災・防災を常に意識することで、入居者の安心・信頼を得られるのではないでしょうか。