住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
賃貸専用アパートを建築する際に利用できる融資は、事業系ローンとなる「アパートローン」です。まずは、アパートローンと住宅ローンを比較しながら、その概要や違いについて解説します。
住宅ローンもアパートローンも、どちらも“住宅を建てるための融資”という部分は同じです。住宅ローンは自身が居住する住宅を建築するためですが、アパートローンはオーナー様が居住する自宅ではなく、アパート経営事業を始める住宅を建築するための借り入れです。
そのため、アパートローンの審査には、しっかりとした事業計画書の提出を求められます。2つのローンは金利や契約などの違いも多々ありますが、なかでも大きく違うのは、審査の際に事業計画書提出の有無があることです。
基本的に賃貸物件建設のため住宅ローンを契約することはできませんが、物件の50%以上を自宅スペースとして使用する「賃貸併用住宅」であれば、住宅ローンを組むことも可能です。
アパートローンも住宅ローンも、新築の場合の返済期間はどちらも最長35年が一般的です。
住宅ローンの変動金利は0.44%程度、固定金利(35年)では1.89%程度と言われています。アパートローンのほうが金利は高く、その幅も金融機関により大きく違います。変動金利は2~3.45%程度、固定金利は2.68~3.11%程度といわれています(2022年12月時点)。
住宅ローンの場合は「住宅ローン減税制度」を利用できる場合がありますが、賃貸専用物件建築のためのアパートローンに対する減税措置はありません。
住宅ローンの契約には、一般的に申込時60~70歳以下/完済時80歳未満などの年齢制限があります。これは本人の存命中にローンの完済を前提としているからです。また、団体信用生命保険への加入は必須です。
アパートローンの場合は、もし契約者本人が返済期間中に死亡してしまったとしても、アパート自体は財産として相続され事業も継承されることを前提に、法定相続人が連帯保証人となる場合は、年齢制限なくローン契約が可能になることもあります。団体信用生命保険への加入は任意です。
住宅ローンは、新築する建物以外の収入が返済基盤となります。もちろん担保となる固定資産も必要ですが、審査基準は基本的に借入人の信用度や年齢、年収に重きが置かれます。
アパートローンの場合は、新築する建物の収益が返済基盤です。そのため借入人の信用度や資産状況などに加え、事業計画書、担保となる固定資産の価値なども審査対象となります。ただし、融資条件や審査基準は、金融機関により違いがあります。
アパートローンと住宅ローンの違い(新築の場合) | ||
アパートローン | 住宅ローン | |
目的 | 賃貸用不動産の建築 | 自己居住用不動産の建築 |
借入期間 | 最長35年間 | 最長35年間 |
金利 | 高 | 低 |
減税措置 | 賃貸専用物件の場合はなし | あり |
年齢制限 | 法定相続人が連帯保証人になればなし | あり |
審査ポイント | 信用度、事業収支の安全性、担保価値 | 信用度、年収に基づく返済力、担保価値 |
連帯保証人 | 原則必要 (法定相続人等の事業承継者) | 団体信用生命保険に加入すれば不要 |
アパートローンでは、同じ案件であっても金融機関によって金利に1~2%ほどの差が出ることもしばしばです。1%の差でも返済利息の総計は大きくなるため、さまざまな金融機関を比較・交渉することが望まれます。
アパートローンは事業系ローンのため、住宅ローンなどと比較すると審査は厳しい傾向にあり、各金融機関により差はあるものの、審査基準はおおむね共通しています。融資の可否のために確認しているといわれるポイントは以下です。
1.担保価値
担保となる新築の建物と土地の価値が借入金額より高額である。
2.安定した事業収支計画
金利5%の場合の返済額が、想定家賃収入の6~7割より下回る。
3.借入人の属性
賃貸経営以外に生計が立つ別収入があること。他に借り入れがないこと。
アパートローンは個々の金融機関、条件によって金利が変わります。ここでは、低金利で融資を受けるためのポイントを紹介します。
まずは、オーナー様単独で金融機関に相談しないことです。ハウスメーカーでは提携する金融機関をいくつも抱えているケースがあるため、提携している金融機関を紹介してもらうほうがよい場合もあります。
あわせて、事前準備を綿密に行うようにしましょう。金融機関に提出する事業計画書には、オーナー様の個人属性となる資産状況や各種ローン残高をはじめ、新築するアパートの総戸数、延べ床面積、居住者のターゲット層などの記載が求められます。
事業計画書はオーナー様ご自身で作成することも可能ですが、webからフォーマットをダウンロードすることも可能です。記載漏れがないよう、パートナーとなるハウスメーカーや建築会社に相談するのもよいでしょう。
アパートローンの審査は一定の審査基準があるわけではなく、それぞれの金融機関が独自に審査しています。そのため、大手金融機関よりも地方金融機関の方が条件が良いケースもあります。必ず複数の金融機関に相談し、提案された条件をベースに、可能であれば比較交渉もできるとベストです。
アパートローンを相談する際は、同時に複数の金融機関に交渉してリスクヘッジをしておきましょう。必ずしも融資審査に通るという保証はありません。「●●銀行の融資をあてにしていたのに、審査から外れた」となった後で別の金融機関の審査を受けていては、アパート建築時期も後ろ倒しになってしまいます。同時に相談しておけば、複数の金融機関で審査が通った場合に、条件のよい方を選択できる余裕も生まれてきます。
これらすべてをオーナー様ご自身で行うには大変な労力がかかります。パートナーとなるハウスメーカーや建築会社に依頼できるか相談してみるのもおすすめです。
アパートローンを扱う代表的な金融機関は以下となります。
・都市銀行
・地方銀行
・信用金庫(信用組合)
・日本政策金融公庫
それぞれの金融機関において、融資額、借入期間、金利(固定金利期間)、返済方法、資金使途の範囲、返済開始時期を融通できるか、繰り上げ返済の可否、手数料などを比較・検討するとよいでしょう。融資条件は良いが審査が厳しい、融資は受けやすいが融資可能額が低くなるなど、メリット/デメリットは各金融機関により一長一短です。事業契約書と返済計画を比較し、相性のよい契約を見極めましょう。
【まとめ】
アパートローンは自己居住目的ではなく賃料収入を返済原資とした長期資金融資のため、融資の審査には安定感のある事業計画書が必須です。複数の金融機関を比較検討し、理想のアパート経営計画に合致する融資を受けるようにしましょう。
最後に、アパートローンの申し込みあたって、大切な注意点は以下の3つです。
1.金利だけで判断しない
2.虚偽申告は絶対にしない
3.法定相続人(連帯保証人)をたてる場合は事前に本人の了承を得る
以上のことに留意して、納得のいくアパートローン融資を実現しましょう。