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アパートを兄妹で相続するときに気を付けるべきこと

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【目次】

アパート相続で発生しがちな兄妹間トラブルとは?

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親が所有していたアパートを兄妹で相続する場合に、どのような問題が生じるのか。まずは、想定される主なトラブルを紹介します。

1)「評価額」のトラブル

「アパートの評価額をいくらに見積もるか」でトラブルになることがあります。一般的にアパートを相続する際の評価額は、相続税評価額または時価が用いられ、相続税評価額の方が時価より低くなる傾向にあります。地域にもよりますが土地は時価の20%〜40%、建物は時価の50%程度低くなることがあります。

アパートの評価額が低くなれば、残りの遺産の取り分を増やせたり、兄妹間での代償金の支払いを抑えられたりするので、アパートを相続する人は「できるだけ評価額を抑えたい」と思い、その他の相続人は「評価額を上げたい」と考えてもおかしくはありません。相続税評価額をベースにするかどうかは相続人同士で決めることができるので、全体のバランスを考慮しつつ兄妹間でよく話し合うことが大切です。

2)「共有名義」のトラブル

アパートを兄妹の共有名義にすると、その後のアパート経営においてトラブルの種を残してしまう可能性があります。

「家賃収入が均等に分割されない」「兄妹の誰かが亡くなると、その子どもたちが共有者になってしまう」「名義人全員が同意しないと売却することができない」など、利害が対立したり権利が複雑化したりすることは少なくありません。

アパート経営を円滑に進められなくなってしまった場合は、トラブルを最小限に抑えるためにも、後述する共有名義を解消する方法があることを知っておくことも必要です。

3)「債務相続」のトラブル

相続したアパートにローン等の残債務がある場合は、「ローンを返済し続ける価値があるか」「残債務を誰が相続するか」「相続放棄した方がいいのではないか」など兄妹間で意見がまとまらず、トラブルに発展してしまう可能性があります。

ローン等の残債務の金額が相続財産の範囲内であれば「単純承認(資産・負債いずれも相続すること)」が可能ですが、相続する総資産よりも残債務の額が大きい場合は、実質的に債務だけを相続することになりかねません。このような場合は、「相続放棄(資産・負債など相続に関する一切の権利を放棄する)」も視野に入れ、兄妹間でよく話し合う必要があります。

3カ月以内に相続に関する手続きを行わなかった場合は、単純承認を選んだとみなされるため注意しましょう。また、一度行った相続放棄は撤回することができないため、慎重に検討する必要があります。

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アパート相続における4つの方法と兄妹間トラブルの回避方法

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アパートを兄妹で相続する際に発生しがちなトラブルについて見てきました。トラブルを回避するためには、「アパートを分割相続する場合どのような方法があるのか」を理解しておくことも重要です。

ここでは、アパート相続における4つの分割方法の概要とそれぞれのメリット/デメリットについて解説します。

1)現物分割

「現物分割」とは、相続財産を現物のまま各相続人に分配する方法です。兄妹間でアパートを含む相続財産を現物分割する場合は、1人がアパートを相続し、他の人が現金や預金、有価証券、アパート以外の不動産などその他の財産を相続する形をとります。アパート以外にも多くの財産がある場合に適した分割方法といえるでしょう。

〈メリット〉
現物をそのまま相続するため手続きが簡単。また、権利の帰属先が明確になるため、相続後のさまざまな対処がしやすくなります。
〈デメリット〉
財産の内容によって、財産価値のバランスが偏ってしまうことがあります。この場合は、代償金を支払うなどして公平性を保つことが一般的です。

2)代償分割

「代償分割」とは、相続人の1人がアパートを相続し、その代わりに他の相続人に金銭を支払う分割方法です。例えば、相続人が兄妹2人のケースで、兄が評価額5,000万円のアパートを相続し、妹が1,000万円の現金を相続した場合、兄は妹に2,000万円の代償金を、原則現金で支払うことで価格上の公平性が保たれます。すでにアパートを相続する相続人が決まっていたり、生前から経営を受け継いでいる人がいる場合に採用されることの多い分割方法です。

〈メリット〉
途切れることなくアパート経営を継続することができ、代償金により公平な分配を可能にします。
〈デメリット〉
アパートを引き継ぐ相続人は、代償金を支払う資金力が必要になります。また、アパートの評価額に関して兄妹間でトラブルになる可能性があるため、アパート相続の意義などについて兄妹間でよく話し合っておくことが大切です。

3)換価分割

「換価分割」とは、相続したアパートを売却して得られた現金を全相続人で分割する方法です。相続人の間でアパートを承継したい人がいなかったり、分割方法がなかなか決まらなかったりする場合に選ばれることの多い分割方法です。

〈メリット〉
財産を金銭で調整することで公平な分配が可能になり、トラブルに発展する可能性が少なくなります。
〈デメリット〉
アパートを換価分割するには、アパートを売却するために相続人の名義変更のほか、売却や契約などの手間・手数料がかかります。また、アパートを残しておきたい人にとっては不向きの分割方法になります。

4)共有分割

「共有分割」とは、各相続人がアパートを法定相続分の割合で共有し、共有名義で相続する方法です。アパートのように相続財産を性質上分けるのがむずかしい場合や、アパートや土地を形として残しておきたいといった希望がある場合に選択される方法です。

〈メリット〉
法定相続分による共有が可能となり、財産の分配に際してトラブルに発展しにくいというメリットがあります。賃貸収益も相続人間で配分できます。
〈デメリット〉
相続時においては揉め事が少なく見える共有分割ですが、アパート経営においては、さまざまな問題への対処がしづらくなりがちです。「誰が管理を担当するのか」「リフォームやリノベーションは持分割合の過半数の同意が必要」「アパートを売却する際には全員の同意が必要」などが挙げられます。さらに、前述したように「相続人が亡くなるとその法定相続人に相続される」ため、時間が経つほど複雑な権利関係になってしまい、解決がむずかしくなることが考えられます。

・共有分割の解消

共有分割を解消する場合には、「持分売却」や「持分放棄」、「共有物分割請求訴訟」といった手続きが必要になります。

「持分売却」は、他の共有管理者もしくは第三者に自分の共有持分のみを売却するという方法です。ただし扱い方の不便さから、売却額は市場価格を大きく下回る可能性があります。
「持分放棄」は、法務局で持分移転登記の手続きが必要です。金銭の授受を行わずに持分を移転させられますが、持分が帰属される人に対して贈与税が課される可能性があるため注意が必要です。「共有物分割請求訴訟」は、共有管理者間で話がまとまらない場合に検討されることが多い方法です。

このように、共有分割はアパートを相続した後のデメリットが多く、一方、解消には手間もかかります。相続人同士がお互いの状況をしっかりと共有したうえで検討しましょう。

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アパートの兄妹間分割相続の手続きについて

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アパートの兄妹間分割相続の手続きを具体的に見ていきます。一般的に、相続が開始したら、「遺言書の有無の確認」「相続人の確定」「相続財産の調査・確定」「遺産分割協議書の作成」「相続登記」「相続税の申告・納税」の順に手続きを踏みます。

1)遺言書の有無の確認

まずは、被相続人が遺言書を残しているかどうかを確認します。法的に有効な遺言書が残されていた場合は、「指定相続」となり、基本的に遺言書通りに相続する流れとなります。

2)相続人の確定

次に、法定相続人(被相続人の財産を相続する権利がある方)を確定します。被相続人が遺言書を残していない場合には法定相続人が相続人となります。

今回のケースだと、2人の兄妹それぞれ1/2ずつ相続することになります。もし配偶者が存命の場合は、配偶者が1/2、兄妹がそれぞれ1/4ずつ相続します。仮に隠し子がいた場合、認知されていればその子どもにも相続権があります。

連絡が取れない兄妹がいる場合の対処法
何らかの事情で相続人の中に連絡が取れない兄妹がいるというケースもあるでしょう。しかし、仕方がないからといってその人を除いたまま遺産分割協議をすることはできません。相続人が1人でも欠けている場合、その遺産分割協議は無効になるからです。

手を尽くしても行方が分からない場合には、「不在者財産管理人」を選任したり家庭裁判所に「失踪宣言」をしたりして、法的に適切な対応をとります。また、連絡が取れても非協力的な相続人がいる場合には、自力で解決することは難しいため、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、早めに対処することも大切です。

・参考:No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁

3)相続財産の調査・確定

被相続人が所有していた財産をすべて把握します。アパート以外の現金・預金、有価証券、不動産、動産(貴金属や骨董品など)、生命保険金などのほか、アパートそのものの資産価値やローンの残債なども調べます。

相続財産について、相続人は原則、相続開始から3カ月以内にどのように承認するかを決め、家庭裁判所で手続きをしなくてはなりません。承認方法には、相続財産すべてを引き継ぐ「単純承認」のほか、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続する「限定承認」、債務を含む財産すべてを放棄する「相続放棄」があります。

なお、相続した土地を国が引き取る制度「相続土地国庫帰属制度」が令和5年4月27日からスタートします。10年分の土地管理費相当額の負担金を支払うことで、維持費のみがかかり管理や処分に困っている土地を国に引き取ってもらう制度です。負担金の目安は、原野で20万円、市街化地域の宅地(200㎡)で約80万円。対象となる土地には要件があり、負担金も土地の種類や広さによって変わるため、法務省から発信される最新情報を含め制度の内容を理解しておきましょう。

4)遺産分割協議書の作成

遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、相続財産の分割の方法やアパートの引継ぎ方を決定し、その内容を遺産分割協議書として作成します。

遺産分割協議書をきちんと作成していると、相続手続きはスムーズに進みます。書式に法的な決まりはありませんが、相続財産を正確に記載し、「相続人の誰が、どの財産を、どのように引き継ぐのか」を明確に示すことが大切です。そのうえで、記載内容に相続人全員が同意していることを証明する直筆の署名と実印の押印が必要です。

5)相続登記

アパートの所有権移転登記(相続登記)を行うには、遺産分割協議書を含む必要書類を法務局へ提出する必要があります。相続の場合、登記費用は固定資産税評価額の0.6%です。

主な必要書類
・被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本または除籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の住民票の写し
・固定資産評価証明書
・遺産分割協議書および相続人全員の印鑑証明書
・財産目録

6)相続税の申告・納税

相続税申告が必要な場合は、相続の開始から10カ月以内に申告・納税を行います。

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【まとめ】

アパートを兄妹間で相続する際の、主なトラブル、分割相続の方法、そして分割相続の手続きについてそれぞれのポイントを解説してきました。さまざまな相続の方法やメリット/デメリットを把握し、それぞれの家庭環境やお互いの立場を理解しつつ、遺産分割協議では全員が合意するまでよく話し合いましょう。

また、相続対策でアパート経営を始め、その後も円滑に承継していくためには、生前から親族でアパートの相続方法を話し合っておくことも重要です。これを機に家族で話し合い、アパート経営と相続について理解を深めてください。

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