住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
初期費用には、大きく分けて「建築費」と「諸費用」の2つがあります。
建築費は建物本体工事と本体以外の別途工事に分けることができ、税や手数料など工事以外にかかる費用を諸費用といいます。建物本体工事は初期費用の中での割合が最も大きいため、本体工事費を基準に初期費用を算出することも可能です。
アパートの構造は大きく分けて、「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」の3つ。そのうち最も多いのが木造、続いて鉄骨造です。鉄筋コンクリート造は主に高層建築で採用されることが多くなります。
木造は他の構造より建築費が安価なため、家賃を低く設定できるのがメリット。木造に比べ軽くて強い構造の鉄骨造は、設計の自由度が高く、間取りなどの工夫ができるのが特徴です。入居者ターゲットを絞ったアパート経営に向いているかもしれません。
3つの構造それぞれの建築費はいくらになるのでしょう。建築費は「坪単価×延べ床面積」で計算します。坪単価は「木造<鉄骨造<鉄筋コンクリート造」の順で高額になります。国土交通省による「建築着工統計調査 住宅着工統計 第34表」(令和3年)によると、それぞれの一坪単価は、全国平均で木造:56万円~、鉄骨造:82万円~、鉄筋コンクリート造:84万円~となります。ただし、エリアや設計、ハウスメーカー、建築会社によって金額は変動します。そのため、見積りは複数社に依頼したうえで判断しましょう。
建築費は建物本体を造る本体工事費と、給排水や外構、地盤改良などの別途工事費があります。別途工事費は一般的に本体工事費の20%前後とされ、これに諸費用を加えたものが初期費用となります。諸費用とはアパートローン手数料や登記費用、不動産取得税、火災保険料などで、一般的に本体工事費の5~10%とされています。
初期費用の算出には本体工事費が基準になりますので、まずは本体工事費を明確にしておくことが必要です。
前述したとおり、建築費以外の費用をまとめて「諸費用」と言います。諸費用には税金や手数料が含まれ、その支払い時期もさまざま。そこで、工事期間を3つに分け、諸費用それぞれの内容とともに支払いのタイミングを紹介します。
・自己資金
「初期費用」ではありませんが、一般的に初期費用の10~20%程度の自己資金があると理想的とされています。自己資金ゼロで、すべて融資でまかなうことも可能ではありますが、当然金融機関の審査は厳しくなり、災害など突発的なトラブルに対応するのはかなり難しくなるでしょう。十分な自己資金が用意できていれば、金融機関での融資審査にも通りやすく、融資金額や返済期間を軽減させることもつながります。
自己資金は多ければ多いほど安心です。しかし、無理のないアパートローンを契約し、突発的な支出や事業経費の備えなど、もしもの時のための手元資金として自己資金を確保しておくことも大切だと言えます。
・測量費
設計を行うため、最初に必要なのが土地の測量です。専門の知識が必要な業務ですので、土地家屋調査士に依頼し、土地の地形や境界を確認して、測量図を作成します。その費用が測量費です。
・地盤調査費
地盤強度を確認するために行います。強度により、建築方法が限定されてしまう場合もあります。本体工事費に含まれていることもあるので、見積もりを取る際に確認するようにしましょう。
・解体費
建築する土地に、既存の建物がある場合のみ発生します。
・建築費・設計料
本体工事の費用と設計料です。設計費用は建築費の10%程度と言われています。ただし近年は、設計と施工をハウスメーカーや建築会社が一体で行うケースが主流となり、建築費・設計料をまとめて支払うことが一般的になりました。この場合の設計料は建築費の1~3%が相場と言われています。
・印紙代・印紙税
本体工事費は金額が大きくなるため、請負工事契約を交わす際、契約書に添付する印紙が必要になります。印紙代は、1,000万円以上~5,000万円未満で2万円、5,000万円以上~1億円未満で6万円です。
・水道分担金
各居室の水道引き込みのため、各自治体に支払うのが水道分担金です。当然、戸数が多ければ費用も増えます。水道分担金は各自治体や給水区域、水道メーターの口径により変動します。ハウスメーカーなどが確認してくれることが多いですが、ご自身で各自治体に確認することも可能です。
他にも、着工前に地鎮祭を行う場合も費用が発生します。地鎮祭の費用については、ハウスメーカーや施工業者が負担する場合もありますが、建築主が奉献酒を持参する場合もありますので、確認しましょう。
・追加工事
基本的には発生しないことが前提ですが、着工後に新たな追加、不測の事態への対処のため新たな工事が発生することもあります。不測の事態は予見できませんが、対応したほうがよいと判断する追加や変更については、工事期間中に行うとよいでしょう。完成後に別途依頼するよりも費用がおさえられます。
・土地の固定資産税および都市計画税
アパートの建設時期にもよりますが、工事中に固定資産税と都市計画税の時期が重なった場合は支払いが生じます。あわせて、アパート竣工前の土地は更地扱いとなるため、軽減措置などは適用となりません。
・入居者募集費用
不動産管理会社に入居者募集を委託する際の費用です。竣工後、空室期間を存在させないために、工事中から入居者募集をはじめられるのが理想的です。
計画時から工事期間中に発生する費用は多々あります。そのため、概算で準備した初期費用よりも多めの資金があると安心です。予備費として計上するようにしましょう。
諸費用には竣工・入居者募集時の税金や手数料などの費用も含まれます。竣工・入居者募集のタイミングで支払う各費用と合わせ、アパート経営開始後のリスク管理としての自己資金について紹介します。
・新築建物登録免許税
建物を新築した際に「表示登記」と「所有権保存登記」を行います。税金の支払いは所有権保存登記のみとなり、所有権保存登記の登録免許税を納める必要があります。
登録免許税は、「固定資産税評価額(建築費の50~60%程度)×0.4%」で算出されます。
・新築建物不動産取得税
土地や建物などの不動産を取得した際に課される都道府県民税です。原則、不動産取得税も登録免許税と同様の計算式で算出することができます。軽減措置もありますが、期限内に申告する必要がありますので、必ず管轄の都道府県税務署に確認するようにしましょう。
・抵当権設定登録免許税
アパートローンを組んだ際に、担保として土地・建物に抵当権を設定登記するのに必要な税金です。「債券金額(ローン借入額)×0.4%」で算出します。
・司法書士手数料
不動産登録、抵当権設定登録などを司法書士に依頼することが一般的でしょう。その際に司法書士手数料が発生します。
・火災・地震保険料
融資の際の条件にもなり、またリスクを回避するために加入したいのが保険です。毎年支払う形が一般的ではありますが、複数年分を一括で契約することで費用をおさえることも可能です。
・ローン手数料
アパートローンの契約は建設前の段階で行いますので、金融機関への事務手数料が発生します。金融機関によっては手数料のほかに保証料が必要になる場合があります。融資は建築確認後に実行されることが一般的です。
【まとめ】
建物の構造で変わるアパート建築の初期費用。その内訳は「建築費」「諸費用」に分けることができ、大まかな金額は「建物の本体工事費×1.25~1.3」で予測することもできます。
初期費用の中で大部分を占めるのが建築費(本体工事費+別途工事費)ですので、まずはどのようなアパートを建築したいかというプランを具体的に考え、提案してもらうのが良いでしょう。
【記事監修】 | 監修:曽根 恵子 株式会社夢相続 代表取締役 公認 不動産コンサルティングマスター相続対策専門士 不動産に関するプロフェッショナルとして、宅地建物取引士資格登録者/不動産鑑定士登録者/一級建築士登録者の国家資格登録者のみが受験し、5年以上の実務経験を必要とする国土交通大臣認定資格「公認 不動産コンサルティングマスター」の資格を持つ。 土地活用術などを駆使したさまざまな「相続プラン」を提案し、相続コーディネートをする株式会社夢相続を運営。書籍(著書・監修)75冊/累計67万部出版。テレビ・ラジオ出演、新聞・雑誌などのマスコミ取材も多数。 |
【代表的な書籍】 | 「相続になっても困らない 地主・農家さんのための“負”動産対策」 (クロスメディア・パブリッシング) |