住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
オーナーさま専用サイト
お役立ちコラム
【目次】
賃貸併用住宅の賃貸スペースの間取りは、部屋数を抑えてファミリー向けの2LDKにしたり、部屋数を増やしてひとり暮らしの若者向けのコンパクトなワンルームにしたりと、地域の賃貸住宅需要やアパートの経営計画に合わせて、豊富なバリエーションから選ぶ必要があります。
さらに、個々の間取りと合わせて検討したい重要なポイントは、賃貸スペースを建物のどの場所に割り当てるか。賃貸併用住宅は、大きく分けると自宅部分と賃貸部分を上下階に分ける「横割り」と、左右に分ける「縦割り」の2タイプがあります。
建物を上下階に分ける「横割り」は、例えば「1階が自宅/2階以上が賃貸住宅」や、「下層階が賃貸住宅/最上階が自宅」という構造です。ワンフロアをすべて自宅スペースにできるため、ひと続きの広々としたLDKなどが実現可能。1階を自宅にすると、階段の上り下りがないので高齢者や小さな子どもがいる場合も暮らしやすく、庭づくりを楽しむこともできます。また、賃貸部分が2階以上になることで、家賃を高めに設定できる可能性もあります。ただし2階以上を賃貸住宅にした場合、足音などの生活音がオーナーさま宅に響いてしまう可能性もあります。
建物を左右に分ける「縦割り」は、自宅スペースと賃貸スペースが横に並んだ構造です。縦割りにすると自宅スペースと賃貸住宅が接するのは壁の1面のみになり、足音などの生活音が気になりにくいというメリットがあります。ただしテレビの音などが聞こえないよう、壁の厚さなどに気を配る必要があります。2階建の場合は2フロアを自宅スペースとして活用できるため、リビングを2階にするなど、間取りのバリエーションが豊富。自宅部分に関しては、一般的な2階建住宅に近い建物を建てることができます。
賃貸併用住宅をプランニングする際に、一般的な住宅以上に検討を重ねる必要があるのが「音」への対策です。音の問題は賃貸住宅では切っても切り離せないもので、オーナーさまが入居者の生活音に悩まされるということは避けなければなりません。
ここからは、横割りと縦割りに分けて、賃貸併用住宅の生活音対策を紹介します。
自宅スペースと賃貸スペースを上下階で分ける横割りの場合は、上のフロアの足音や排水音などが下のフロアに響きやすいことがネックに。間取りを検討する段階で、自宅スペースの寝室の近くに賃貸スペースの水回りを配置しないなど、生活音を最小限にする間取りを意識することが大切です。また、採用する床材に遮音性能の高いものを採用するのもおすすめです。
自宅スペースと賃貸スペースを左右に配置する縦割りの場合は、それぞれのスペースが接するのは1カ所の壁のみのため、その壁に面してクローゼットや階段などを配置すると音対策として効果的です。壁側に浴室などの水回りを配置する場合は、壁をはさんだ反対側も浴室や水回りにするのがよいでしょう。
横割りでも縦割りでも、2階に設けた賃貸スペースに対しては、外付け階段の設置が必要になる場合があります。素材にもよりますが、外付け階段を上り下りする音は意外と大きく、就寝中の深夜や早朝に使用すると、昇降音で目が覚めてしまうことも考えられます。そのため、外付け階段は自宅スペースの寝室から離れた場所に設置するようにしましょう。
賃貸併用住宅の間取りを検討する時に、生活音対策と並んで重視したいのがプライバシー対策です。賃貸併用住宅の場合、“大家さん(オーナーさま)”が同じ建物に住んでいることを「安心」と思う賃借人がいる一方で、マイナスに感じてしまう賃借人もいます。オーナーさまが快適に暮らすためだけではなく、入居者にとってもプライバシーが守られていると感じられる建物にすることは、選ばれる物件にするために必須と言えるでしょう。
プライバシー確保のためにまず検討したいのは、自宅部分と賃貸住宅部分の玄関を離すことです。道路から続くアプローチも、自宅用と賃貸住宅用に分けられると理想的。帰宅時などに鉢合わせしにくくなり、宅配便やフードデリバリーなども双方が気兼ねなく利用できます。物理的に距離をとることが難しい場合も、自宅部分の玄関は東側、賃貸部分の玄関は北側など、配置を変えたり植栽を上手に活用するだけでも効果があります。
また、賃貸住宅部分のバルコニーのすぐ横に“大家さん”の家の窓があると、賃貸住宅の入居者は洗濯物を干すことにも気兼ねしてしまうかもしれません。お互いの視線が合ってしまう場所に窓を設ける場合は、天井近くに設置する高窓や開口部が小さめのスリット窓にしたり、室内が見えないフロストガラスを採用するのがおすすめです。
3階建以上の建物で2階以上に自宅スペースを設ける場合は、エレベーターを設置することもプライバシー対策として有効です。エレベーターを自宅専用にして、1階と自宅のあるフロアの“直通運転”にすれば、賃貸部分の入居者とは顔を合わさずに自宅へ出入りすることができます。
【まとめ】
賃貸併用住宅を建てる意義は、マイホーム取得とともに、長期的に家賃収入が期待できるところにあります。そのため、オーナーさまご自身だけでなく入居者の住み心地に配慮した建物にして、選ばれる物件にすることが大切です。生活音を極力抑えて、プライバシー対策も万全な間取りを採用することが、その近道となるでしょう。