住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
狭小地ができる理由としては、相続の際に1つの土地を複数に分けたり、土地開発によって取り残されてしまったりと、さまざまなケースが考えられます。狭小地の土地活用は面積や立地、その土地のニーズに合わせた活用方法を選択することで、収益を出すことも期待できます。まずは、狭小地とはどういうものか、狭小地でのアパート経営を予定している場合に知っておきたい基礎知識を解説します。
前述したように、狭小地は一般的に15~20坪以下の土地を指すことが多いです。土地の形状も、三角形や台形などの変形地、細い道の先に一定の面積がある土地を旗竿地など、さまざま。地域によっては最低敷地面積が定められており、敷地の細分化を防止して居住水準を維持し、良好な住環境を保全・形成していくことを目的としています。最低敷地面積は75㎡、80㎡、100㎡、120㎡、など地域ごとにバラバラです。最低限度の最大でも200㎡とされています。
ただし、最低限度制定前からの狭小地である場合は、建物の建て替えなどは可能な場合もあります。
狭小地にはさまざまな形状があり、そのため正方形や長方形などの比較的活用しやすい土地でないこともあります。けれども、狭小地は一般的に都心に多いこともあり、入居者のニーズをとらえることでアパート経営も可能も言えます。
学生や単身の若い世代などは利便性のよい場所を選ぶ傾向にあるので、都心部や教育施設、駅に近い場所などであれば、狭小アパートでも入居者ニーズが高くなるでしょう。
メリットとしては、住宅用地の特例が適用されるため、土地の面積に応じて税が決まる固定資産税や都市計画税が軽減されることが挙げられるでしょう。毎年の税金を抑えられるというのは、大きなメリットです。
またデメリットとしては狭い居室で部屋数を増やす、または、居室の広さを確保すると部屋数が限られてしまうという点が挙げられます。また、複雑な形状の狭小地の場合は、建築費用が割高になる可能性もあります。加えてトラックなどが通れない道路の先にある土地では、工事車両を近くに止めることができないなど、通常よりも費用が高くなり、施工期間も長くなることがあります。
狭小地でのアパート経営を考える際、確認しておきたいのは立地条件やニーズ把握だけではありません。最大の問題となるのが、狭小が故に、実際にその土地にアパートを建築することが可能なのかということ。ここでは、狭小アパートを建築するための条件について解説します。
都市の秩序ある整備を図るために、土地利用などにルールを設けたのが都市計画法です。この法律では日本の土地を都市計画区域と都市計画区域外に分類しており、都市計画区域であれば建築は可能です。さらに、都市計画区域は①市街化区域、②市街化調整区域、③非線引き区域の3つに分類されています。この中の②市街化調整区域ではアパートを建築できません。また、①市街化区域はさらに13の用途地域に分類され、このうちの工業専用地域でも建築することができません。まずは、所有する土地がどの区域に区分されているかを調べてみましょう。
アパート建築が可能な地域を理解したうえで、さらに知っておきたい法律があります。建築方法に規制を設けた建築基準法です。この法律には、「建ぺい率」「容積率の制限」があります。
建ぺい率とは
敷地面積に対する建築面積(建坪)の割合。建築基準法では、下記の計算式に則って割り出された数値により、敷地の何%を建築面積として使用できるかの制限を定めています。建物の面積は、真上から見た場合の面積となるため、2階建て以上の場合は、一番面積の大きい階で計算します。
建ぺい率=建築面積÷敷地面積×100%
容積率とは
敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合です。敷地内にどのくらいの延床面積の建物が建てられるかを示すもので、下記の計算式に則って割り出された数値により、建築可能な階数なども決まります。
容積率=建物の延べ床面積÷敷地面積×100%
建ぺい率と容積率は、前述した「市街化区域の用途地域」によってその割合が定められるため、各行政により異なります。このほか、防火・準防火地域での制限や道路による制限などもありますので、まずはハウスメーカーや建築会社などに相談して確認してもらうようにしましょう。
狭小地は、首都圏や都市部など、人気の高いエリアに存在することが多いのですが、土地の面積により建てられる面積も決まるため、各居室が狭くなってしまうことになります。そのため狭小地でアパート経営を始める場合、入居者ターゲットは部屋の広さよりも生活の便を優先する単身者が主になるのではないでしょうか。入居者の入れ替わりも頻繁になる可能性があるので、入居者を途切れさせないような工夫が必須となります。
多くの土地や建物を見てきた専門家だからこそ知っている、狭小地の活用方法もあるでしょう。周辺ニーズに合わせた付加価値物件の提案も期待できます。アパート経営を開始しても入居者が集まらず空室率が高くなってしまうと、アパートローンの返済プランに支障をきたしてしまう危険性も。そのようなリスクを回避するためにも、専門家のアドバイスを取り入れたプラン設定は必要です。
近年は「ミニマリスト」と呼ばれ、必要最低限の居住スペースや家具で生活する人も増えてきています。一般的なワンルームよりも狭い居住スペースでも、ミニマリストにターゲットを絞ったアパートを建築するのも一案でしょう。ほかにも、防犯カメラを含めたセキュリティ面を充実させる、ペット可にする、防音設備を充実させ楽器演奏可の物件にするなど、競合物件と差別化できる魅力も必要です。
狭小地とはいえ、すべてが都心部や駅近といった利便性のよい場所にあるわけではありません。所有している狭小地だとアパート経営が難しい場合も、あきらめずに他の活用法も検討しましょう。そこで、アパート経営のほかに、狭小地でも始めることができる土地活用方法をいくつかご紹介します。
1 コインランドリー経営
都市部なら駐車場を必要としないため、わずかなスペースでも経営は可能です。住宅街の中にあるなど、近隣住民からのニーズを調査してみましょう。コインランドリー経営は、後述する他の活用方法と比べて利回りが高いと言われています。
2 コインパーキング経営
車1台分と精算機を設置できるスペースがあればOK。機材も専門業者からのレンタルとなり、初期費用を抑えることができます。土地の広さに応じて、車・バイクなどを柔軟に組み合わせることで、より効率的に収益をあげられる可能性があります。オーナーさまご自身が管理しなくてもよい方法もあり、手間のかからない活用法です。
3 戸建賃貸住宅経営
アパートに比べると建築費用は抑えられますが、収益性が劣る一面もあります。戸建賃貸住宅経営は立地によって経営が左右されにくく、競合が少ないという特徴をもっています。
他にも自動販売機設置やコインロッカーなど、狭小地だからこその土地活用法も考えられます。アパート経営とそのほかの事業を比較すると、やはり収益はアパート経営のほうが期待できますが、土地の広さや形状、オーナーさまの手間なども考えて判断したいところ。所有する狭小地の活用法を絞り込む際は、自分自身の生活サイクルを含め、事前のリサーチをしっかりすることが大切です。
【まとめ】
狭小地でアパート経営を検討する場合は、立地の強みに加え、周辺の競合相手に負けない特徴や付加価値をつけるなどの工夫をしたいところ。また、アパート経営以外にも、コインパーキングなどのように、初期費用や管理の手間を抑えられる活用法も考えられます。狭小地を活用し収益を得るためには、立地条件や周辺環境などを徹底的にリサーチし、地域の特性を捉えることが重要です。周辺ニーズだけでなく、経営後の手間や税金面など広い視野を持って検討するようにしましょう。
【記事監修】 | 監修:曽根 恵子 株式会社夢相続 代表取締役 公認 不動産コンサルティングマスター相続対策専門士 不動産に関するプロフェッショナルとして、宅地建物取引士資格登録者/不動産鑑定士登録者/一級建築士登録者の国家資格登録者のみが受験し、5年以上の実務経験を必要とする国土交通大臣認定資格「公認 不動産コンサルティングマスター」の資格を持つ。 土地活用術などを駆使したさまざまな「相続プラン」を提案し、相続コーディネートをする株式会社夢相続を運営。書籍(著書・監修)75冊/累計67万部出版。テレビ・ラジオ出演、新聞・雑誌などのマスコミ取材も多数。 |
【代表的な書籍】 | 「相続になっても困らない 地主・農家さんのための“負”動産対策」 (クロスメディア・パブリッシング) |