住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
オーナーさま専用サイト
お役立ちコラム
【目次】
再建築不可物件と聞くと、収益化するのは難しく使えない物件だと考える方も多いかもしれません。再建築不可物件とは文字通り、建て替えのできない建物です。しかし、建物や土地の利用の仕方を工夫することで収益化を実現できる可能性はあります。
今ある建築物を解体して更地にしてしまうと、新たに建物を建てることができない物件のことを「再建築不可物件」と言い、都市計画区域と準都市計画区域にのみ存在します。現在の建築基準法では接道義務が設けられていて、幅員4m以上の道路に建築基準法上の2m以上接していない土地には家を建てることができないと定められています。
その理由は、主に消防車や救急車などの緊急車両を使った消火活動、救助活動が迅速に行われるようにするためであり、1950(昭和20)年に制定された建築基準法で義務付けられました。つまり、接道義務がなかった1950年より前に建てられた住宅などのなかに再建築不可物件が存在することになります。
では、再建築が認められない物件はどう活用すればよいでしょうか。その方法の一つとして挙げられるのが、更地にしてしまうことです。
再建築不可物件の多くは老朽化が進んだ住宅が多いため、間口がとれる土地であれば駐輪場や駐車場にする、家庭菜園とする、あるいは人の往来が多く、駅に近い場所であれば自動販売機やコインロッカーなどを設置するという方法が考えられます。
更地にした場合のメリットとしては、建物を維持するためのメンテナンス費用がかからなくなることです。また、駐車場などにして活用をすることで新たな収益を生むことも期待できます。
デメリットは、建物そのものの価値は低いとはいえ、建物を取り壊すことで建物の固定資産税は不要になりますが、土地の固定資産税が増加してしまうこと。住宅が建っている土地は、建物の面積に応じて最大1/6になる「住宅用地の特例」が適用されるため、固定資産税が軽減されています。
そのため、更地にして収益が上がる活用方法を選択したとしても、土地の固定資産税が6倍になると負担が増えてしまうことが多数でしょう。更地にする際は、慎重な判断が必要となります。
更地にする以外にも再建築不可物件の利用方法はあります。新たな建て替えはできませんが、今ある建物を補修・改築するリフォームやリノベーションは可能なので、賃貸物件として活用する方法を検討してみるのも良いでしょう。増改築を伴う大規模なリフォーム、リノベーションは建築確認が必要となるため、許可が下りない可能性もありますが、規定の範囲内でしたら内外装工事は可能です。まずはハウスメーカーや建築会社など、プロに相談してみましょう。
シェアハウスや民泊、寮などとして再生することも考えてみましょう。個別の居住スペースを要する賃貸アパートに改築をすることができなくても、シェアハウスや寮であれば、一軒家から間取りを大きく変えずに多少リフォームするだけで活用することができます。
ファミリー層などをターゲットにした戸建賃貸住宅として再生する方法もあります。
再建築不可物件をリフォームし、賃貸住宅にする場合、リフォームの範囲や立地条件により建築費が割高になる傾向があります。その理由は、築年数の古さから耐震補強工事が必要になったり工事車両や機械が制限されることで、通常よりも工期が長期にわたる可能性があるためです。
また、賃貸物件にする場合は入居者確保にも注力しなければなりません。オーナーさまご自身による周辺環境のリサーチとともに、不動産管理会社などへの相談も必須です。そのうえで必要なリフォーム工事は何かをまず検討しましょう。
再建築不可物件を収益化物件に生まれ変わらせるためには、地域の環境、ニーズを踏まえたリノベーション、リフォームが必要です。高い建築費の割に期待したほどの収益があがらなかった、ということにならないよう、ニーズに合わせた現実的なプランを立てるようにしましょう。
再建築不可となってしまった大きな要因は、法律で決められた「接道義務」を満たしていないことが多いと言われています。法律で定められた交通上、安全上、防火上及び衛生上の基準さえクリアできれば、再建築できる可能性も。ここでは、デメリットの多い再建築不可物件を再建築可能にするための具体的な対処法を3つ紹介します。
私道でありながら、自治体から「道路指定」を受けた道路のことを「位置指定道路」と言います。
位置指定道路は建築基準法上も道路とみなされるので、再建築不可物件の場合も、所有地内に基準を満たせる私道を造り位置指定道路の認定を受けることで、接道義務が満たされ、建物の再建築が可能になります。私有地の一部を私道とするため、固定資産税は概ね非課税になります。
4m以上の道路に接しているものの、間口が狭く細い道の先に建物がある旗のような形をしている土地を「旗竿地」と言います。その竿の部分の隣家・隣地を購入または借地し、幅員4m以上の道路に2m以上接するようにすることで、建築基準法をクリアすることで、建て替えが可能になります。
接道義務の例外として、「建築基準法第43条但し書き」に記載された下記4つの要件を満たすことで再建築ができます。
①敷地の周囲に広い空地がある
②交通、安全、防火、衛生上支障がない
③特定行政庁の許可がある
④建築審査会の同意がある
専門的な事項が多いため、不動産会社や土地家屋調査士などの専門家に相談する必要があります。
【まとめ】
再建築不可物件は、活用するのが難しい土地と思われがちですが、収益を得る方法を考えることはできます。更地にして駐車場といった別の利用価値を見出したり、リフォームやリノベーションをして賃貸住宅として再生させるなど、周辺環境によりその方法はさまざまです。ただし、接道や私道の要件、建築基準法など、専門的な知識や判断が必要になります。そのため、まずは不動産の専門家に相談することをおすすめします。
【記事監修】 | 監修:曽根 恵子 株式会社夢相続 代表取締役 公認 不動産コンサルティングマスター相続対策専門士 不動産に関するプロフェッショナルとして、宅地建物取引士資格登録者/不動産鑑定士登録者/一級建築士登録者の国家資格登録者のみが受験し、5年以上の実務経験を必要とする国土交通大臣認定資格「公認 不動産コンサルティングマスター」の資格を持つ。 土地活用術などを駆使したさまざまな「相続プラン」を提案し、相続コーディネートをする株式会社夢相続を運営。書籍(著書・監修)75冊/累計67万部出版。テレビ・ラジオ出演、新聞・雑誌などのマスコミ取材も多数。 |
【代表的な書籍】 | 「相続になっても困らない 地主・農家さんのための“負”動産対策」 (クロスメディア・パブリッシング) |