住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
近年では、ゲリラ豪雨や大型台風をはじめ、ひょう、竜巻など異常気象による自然災害が多発しています。また、不慮の事故などで被害が出てしまうこともあり、こうしたさまざまな災害・事故に対応する損害保険を総称して、「火災保険」と呼ばれます。まずは、火災保険の種類、補償範囲について理解を深め、自身が経営するアパートにあった保険を考えてみましょう。
火災保険では補償対象を家具や家電製品などの「家財」と「建物」を別々で考えます。アパートの場合「家財」は入居者の所有物になりますので、入居者が「家財保険」に加入します。家財保険は賃貸契約時に加入し、家財の損害に対応し建物への賠償も含めることが一般的です。
「建物」については、所有者が保険に加入します。火災保険は、その名称から火災損害のみが対象と思われることもありますが、水害、台風など幅広い補償範囲で、盗難などの人為的なことによる損害にも対応する火災保険もあります。詳細な補償範囲については各保険会社に確認することが必要ですが、まずは主な火災保険の種類と各保険の補償範囲を紹介します。
住宅火災保険
住宅物件を対象に、建物と家財を補償する保険で、いずれかの一方での加入も可能です。補償範囲は、火災や落雷、爆発、風災・雹災(ひょうさい)・雪災(せつさい)など。
住宅総合保険
住宅火災保険の補償範囲を広げた保険。住宅火災保険の範囲に加え、洪水・床上浸水、水漏れ、物の落下・飛来・衝突、騒じょう、盗難などの損害をカバーします。
普通火災保険
店舗や店舗兼用住宅を対象とした保険で、補償範囲は住宅火災保険と同じです。
上記3つの保険のうち、補償範囲が広く、安心できるのは住宅総合保険ですが、補償が広範囲に及ぶ分保険料は高くなります。周辺環境を踏まえ、また収支のバランスを考えて加入を検討するようにしましょう。保険料の算出基準は後述しますが、基本的には補償範囲、物件の所在地、構造などにより保険料が変動します。
木造住宅の多い日本では、予期せぬ火災が発生する確率は決して低くありません。近隣から出火し、被害が経営するアパートにまで及んだ際に火を出した人(失火者)に重大な過失がなければ、失火責任法という法律により損害賠償請求はできません。この場合、加入する火災保険で補償されることになります。
このように、火災保険は、火災だけでなく落雷や風災などの災害、盗難などの事故など幅広く補償されます。まず、補償対象は建物のみか、家財のみか、あるいは両方なのかを決めましょう。そのうえで、保険の種類や特約、さらに期間(最長10年まで)を検討します。
前述した地震保険特約に加え、近年はオーナーさま向けの火災保険も多様化が進んでいます。家賃問題や事故など、アパート経営のリスクに特化した特約条項についてご紹介します。
火災保険では、地震、津波、噴火といった天災を原因とする火災やそれに伴う損害補償は対象外です。そのため、火災保険に地震保険特約を付帯するとよいでしょう。「地震保険」という名称ですが、地震のほか火災保険でカバーできない津波、噴火による災害で発生した損失を補償します。当然保険料は上がりますが、昨今、日本各地で頻繁に起こっている災害を考えると、地震保険特約は必須かもしれません。地震保険自体の保険料は、建物構造や立地などにより保険料が決まり、保険会社ごとの違いはありません。また、地震保険は単独で加入することはできず、火災保険の付帯のみとなります。
建物の安全性において何らかの不備が原因で、入居者などにケガを負わせたり、所有物を損壊した時に、アパート経営者が負担した賠償費用を補償します。建物の老朽化や整備不良による事故にも対応した補償です。保険料も抑えめに設定されているので加入しておきたい保険のひとつです。
火災などでアパートが被害を受け、入居者が継続して住めなくなり家賃収入が途切れてしまった場合、契約で定められた期間の家賃を補償してくれる特約です。安い保険料でないことが一般的で、契約時の空室率が5割を超えている場合は付帯できない場合もあります。
経営するアパートで入居者が死亡した際、空室期間などの家賃損失や、居室内の清掃などの原状回復費用、遺品整理にかかる費用などを補償する特約です。保険料は抑えめに設定されており、単身高齢者も増加している現在、需要も高まっている保険のひとつではないでしょうか。
金融機関でアパートローンを組む場合、火災保険加入が必須になっているのが現状です。火災保険は、保険会社によって補償の対象や事故の範囲、保険金額、保険料などが異なります。火災保険への加入にあたっては、補償内容はもちろんのこと、受け取る保険料について理解しておくことも重要です。
保険料の基本相場は、建物の種類、素材、期間、補償内容によりさまざまです。保険料を算出するには、まず建物評価額を計算する必要があり、基本的には以下の要素で決まります。
保険料算出の基準
1)建物評価額
2)所在地・構造区分・築年数・延べ床面積
3)補償内容・期間
4)保険料の受け取り方法
5)割引
建物評価額は保険加入時の建物価格で保険料を算出する「時価方式」、保険金を受け取る際の価格で被害を受けた建物を建設する場合、どのくらいの費用が必要となるかという観点で算出する「再調達原価方式」があります。現在は再調達原価方式が主流となっていますが、建物評価額をどのように算出するかでも保険料の差が発生してしまいます。
また、建物の種類や木造/鉄筋コンクリートなどの建築素材、延べ床面積、期間や補償内容によっても変動し、自然災害の発生確率が高い地域も保険料が上がる傾向もあります。
もしもの場合、受け取る保険金については3つのパターンがあります。保険金の受け取り方も、保険料算出方法に大きく関わります。
全部保険(保険価額=保険金額)
損害を受けた分がそのまま補償されるが、支払う保険料は高めになる。
超過保険(保険価額<保険金額)
損害を受けた分は補償されるが、保険金額が対象評価額を上回った分は次に備えてプールされる。必要以上の保険料を支払うことになる場合もある。
一部保険(保険価額>保険金額)
保険料の支払いをおさえることはできるが、補償範囲が限定されるため自己負担が発生する可能性がある。
保険金の受け取り方法の設定においては、一般的には全部保険が推奨されています。ただし、超過保険のように先々を見据えて契約するのか、一部保険にして月々支払う、あるいは一括で払うことで保険料を抑える方法もあります。
このように火災保険は建物ごとに対象が変わるため、平均相場を出すのが難しい金額のひとつです。また、各保険会社により得られる割引も大きく異なるため、複数社へ見積もりを依頼し、確認してから契約するようにしましょう。
【まとめ】
予期せぬリスクに備えて加入する火災保険。補償範囲や対象によって、さまざまな種類に分かれている保険は、何かと難解な部分が多く、どうしてもおざなりに処理されがちです。しかし、オーナーさまにとって、火災保険は「不動産」という資産を守るためのもの。特約の種類や補償内容、支払方法の違いを把握することで、保険料を安く抑えつつも、もしもの場合も十分な補償を受けられるようにしましょう。
【記事監修】 | 監修:曽根 恵子 株式会社夢相続 代表取締役 公認 不動産コンサルティングマスター相続対策専門士 不動産に関するプロフェッショナルとして、宅地建物取引士資格登録者/不動産鑑定士登録者/一級建築士登録者の国家資格登録者のみが受験し、5年以上の実務経験を必要とする国土交通大臣認定資格「公認 不動産コンサルティングマスター」の資格を持つ。 土地活用術などを駆使したさまざまな「相続プラン」を提案し、相続コーディネートをする株式会社夢相続を運営。書籍(著書・監修)75冊/累計67万部出版。テレビ・ラジオ出演、新聞・雑誌などのマスコミ取材も多数。 |
【代表的な書籍】 | 「相続になっても困らない 地主・農家さんのための“負”動産対策」 (クロスメディア・パブリッシング) |