住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
長年アパート経営に取り組んでいると、建築費などのために契約したローンの返済も終わり、それ以降は家賃収入の全額がそのまま収益になると考えてしまいがちです。しかし建物はそれだけ築年数を重ね、設備や内装の老朽化が進み、多額の修繕費がかかるリスクと隣り合わせということになります。見た目にも古さが感じられるアパートは、周辺に新しいアパートが建つと空室リスクが高くなるという問題も。家賃も建築当時に設定した低い水準のままの場合、築年数が古ければ家賃の値上げはむずかしく、収益性は悪いままです。ローンの返済が終わっても、築年数が経ったアパートには新築とは異なるお金のリスクがつきまとうのです。
老朽化したアパートを修繕しながら経営を続けても、お金のリスクから逃れることがむずかしいなら、多額の修繕費を払うのではなく、アパートを建て替えるという選択肢もあります。建て替えを具体的に検討したほうがいいと考えられるケースは以下の通り。
①家賃が建築当時に設定した低い水準のままで、値上げが困難だったり、物価上昇など社会情勢の変化のために収益性が下がっていたりする。
②老朽化が進んでいるため周辺の新築アパートに入居者が流れ、空室が埋まらない状況が続いている。
③建物や設備の老朽化が進み、耐震性にも不安がある。修繕するにも多額の費用がかかる。
上記のような状況に当てはまる場合は、修繕を重ねるのではなく建て替えを検討してみるのがおすすめです
アパートを建て替えた方がいいケースについて具体的に紹介しましたが、古くなったアパートを建て替えると、どんなメリットがあるのでしょうか。
水回りや床、壁などがきれいな「新築」や「築浅」のアパートは、いつの時代も不動の人気を誇ります。周辺のアパートと比較した場合、新築であることはそれだけで差別化につながり、十分な競争力を備えているといえるでしょう。建て替えによって老朽化したアパートを新築アパートに生まれ変わらせることで、アパート経営では常に課題となる空室リスクが減り、収益性を高めることが期待できます。
アパートの建て替えを機に、入居者のニーズに合った設備を充実させることができるのも大きなメリットです。浴室乾燥などの戸別の設備や、宅配ボックスや24時間ごみ出し可などの共用設備が一例です。周辺のアパートとの差別化ができ、家賃も高めに設定できる可能性があります。
ハウスメーカーなどの研究による最新技術が反映された建物への建て替えは、以前より頑丈なアパートが建つということ。地震に強い耐震性、台風や豪雨に強い耐候性、経年に強い耐久性を備えた建物ならば、建物が損傷するなどの自然災害リスクや経年劣化のリスクを減らすことができ、修繕費も抑えられます。特に耐震性の高さは、入居者へのアピールポイントとしても有効でしょう。
アパートの建て替えは、節税にも効果を発揮するケースがあります。両親が長らく所有していたアパートを子どもが相続する場合などは、相続が発生する前にアパートを建て替えることで、現金で相続するより相続税を減税できるメリットがあります。
相続する予定の現金の一部をアパートの建て替え費用にあてると、相続税の対象となる現金総額が減ります。建て替えることで不動産の評価額は上がりますが、現金と不動産を含めた相続税の対象額は減少。アパートを家族へ相続させることを検討している場合は、相続税について事前に税理士などの専門家に相談しておくと安心です。
メリットの多いアパートの建て替えですが、安易に進めてしまうのは厳禁です。後から重大な問題が発生しないよう、最後にアパートの建て替え時に考慮しておきたいことを紹介します。
アパートの建て替えを入居者の賃貸契約期間が満了する前におこなう場合、入居者に立ち退き料を支払って退去してもらう必要があります。ただし立ち退き交渉も簡単にできるものではなく、「アパートの耐震性や耐久性が旧耐震基準であるため、見直し・建て替えが必要」など、立ち退きに対する適正な理由が必要となります。契約満了後であっても新しい引っ越し先が見つかるまで時間がかかることも考えられるため、できるだけ早めに通知することが大切です。
古いアパートの解体から新しいアパートを建て替えるまでには時間がかかります。昨今では資材費や人件費が高騰し、工期が延びる可能性も。アパートを建て替えている間は家賃収入が途絶えることを考慮して収支計画を立てる必要があります。
ライバルとなる近隣のアパートとの差別化を図るため、また、新築ということへの期待に応えるため、今どきの入居者のニーズに合った間取りや設備を導入する必要があります。それは入居者のためでもあり、オーナーさまにとってはアパート経営の収益性を上げるための投資でもあります。けれども、建築費用が高額になる可能性があることも考慮しておきたいことのひとつです。
上記の注意点以外にもアパートを建て替える場合、ほかにも突発的な問題が起きる可能性もあります。建て替えに関してはアパートの建築経験が豊富なハウスメーカーや建築会社、立ち退きの通知などに関しては賃貸管理会社や弁護士に相談するのが良いでしょう。
【まとめ】
アパートを建て替えると、入居者から人気の高い「新築」の強みを享受でき、空室率の改善や収益性アップにつながる可能性も大です。一方、現在の入居者に立ち退いてもらう必要があり、個別に交渉が必要となる場合や費用が高額になりがちといった注意点もあります。長く続けてきたアパート経営の場合は建て替えも視野に入れて、不安な点は専門家に相談をしながら継続していくのが得策です。
【記事監修】 | 監修:曽根 恵子 株式会社夢相続 代表取締役 公認 不動産コンサルティングマスター相続対策専門士 不動産に関するプロフェッショナルとして、宅地建物取引士資格登録者/不動産鑑定士登録者/一級建築士登録者の国家資格登録者のみが受験し、5年以上の実務経験を必要とする国土交通大臣認定資格「公認 不動産コンサルティングマスター」の資格を持つ。 土地活用術などを駆使したさまざまな「相続プラン」を提案し、相続コーディネートをする株式会社夢相続を運営。書籍(著書・監修)75冊/累計67万部出版。テレビ・ラジオ出演、新聞・雑誌などのマスコミ取材も多数。 |
【代表的な書籍】 | 「相続になっても困らない 地主・農家さんのための“負”動産対策」 (クロスメディア・パブリッシング) |