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隣地を購入して有効活用するための基礎知識と留意点を解説!

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【目次】

隣地購入とは?どんなメリットがある?デメリットは?

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隣地購入は、その名の通り「既に所有している土地や建物の隣にある土地を購入すること」で、一般的には土地活用の一環として、隣地購入することで可能性を広げます。

・隣地購入2つのパターン

隣地を購入するきっかけは、大きく2つのパータンがあります。

1)たまたま隣の土地が売りに出されていた

お隣さんと話をしたりご近所さんからの情報提供により、公示、売り出し前に情報をキャッチできることがあります。また、売り出しにあたり、直接、売買相談がある場合もあるでしょう。通常、隣地を購入する際には、購入後に所有する土地と合わせた全敷地の価値が上がることが多いため、売買価格が高めに設定されることが多いですが、直接売買相談があった場合は購入価格を抑えられる可能性があります。

2)こちらから購入を打診する

売り出しの情報がない中、こちらから購入を打診するケースです。既存の賃貸住宅経営などの経営拡大を目指す、新たな事業を立ち上げる、敷地の形状を改善してより魅力的な賃貸住宅に建て替えをする、駐車場や共用施設を設けて付加価値を高めるなど、さまざまな購入目的があるでしょう。

・隣地購入のメリット

隣地購入を具体化する前に、隣地購入のメリットとデメリットについて要点を押さえておきましょう。
まずはメリットから。昔から「隣の土地は借金をしてでも買え」と言われますが、賃貸住宅経営においては次のようなメリットが生じると考えられます。

1)経営規模の拡大

隣地を購入することで、賃貸住宅経営の規模を拡大し、収益を増加できる可能性があります。既存の土地で容積率を消化している場合、それ以上増築することはできませんが、隣地を購入することで増築も可能になります。

2)敷地の形状改善

既存の土地が旗竿地などの不整形地の場合、隣地を購入することで理想的な整形地や角地になるなど、敷地の形状改善を実現できるかもしれません。土地の資産価値が高まると同時に、より効率的な設計が可能になり、角地になることで接道条件が良くなり容積率が増えるケースもあります。建て替えのタイミングで容積率が増えれば、最上階をメゾネットタイプにするなど間取りを多様化して、賃貸住宅経営の空室リスク分散を図ることも可能に。さまざまな可能性が生まれるとともに事業拡大のベースが整うことになります。

3)賃貸住宅の付加価値向上

隣地に駐車場や庭・菜園、コワーキングスペースなどの共用施設を設けることで、既存の賃貸住宅の魅力を高め、入居率を向上させることが期待できます。例えばEV用充電設備を備えた駐車場にした場合、災害時の非常用電源にもなるなど、付加価値の高い賃貸住宅をアピールできます。

4)相続対策ができる

隣地購入により土地の形状が良くなれば、土地の価値が上がり、高値で売却できる可能性があります。そこで気になるのは相続税。仮に土地が広くなったことで2〜3世帯が一緒に住む賃貸併用住宅にして「小規模宅地等の特例」を受けることができれば、相続税の減税対策としても有効になります。

・隣地購入のデメリット

隣地購入はメリットが多い反面、特有のデメリットもあります。

1)資金負担の増加

隣地購入では通常の売買よりも割高な取引になりやすく、大きな初期費用が必要になることが考えられます。売る側も隣地を購入すると資産価値が向上する場合があることを知っており、高く買ってくれるのではないかという期待感があるからです。後述する、妥当な価格がいくらなのか、購入する際の上限価格をあらかじめ割り出しておくようにしましょう。

2)管理やリスクの増加

隣地購入によって経営規模を拡大することで、土地や建物の管理負担が増えたり、市場の変動リスクが増加したりする可能性があります。ハウスメーカーや建築会社と入念に打ち合わせをして、余裕を持った資金計画を立てておくことが大切になります。

3)購入までに時間がかかる

そもそも隣地所有者に売る意思がなければ、購入できないのが隣地購入のデメリットです。売買が成立するためには、何よりもタイミングの合致が大事で、強引に推し進めると隣人トラブルに発展してしまう可能性もあります。また、所有者が複数いる場合は全員の承諾が必要になります。購入するまでに相当な時間がかかることを心得ておきましょう。

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隣地購入前にしておきたい下準備

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ここでは隣地購入までに準備しておきたい事柄について解説します。隣地購入は不動産売買のひとつの方法でありながら、特有の段取りや準備が必要になる点に注意が必要です。

1)隣地の状況と法的制約を確認する

まず、「公図」と「登記事項証明書(登記簿謄本)」で隣地の状況を調べます。手数料はかかりますが、どちらも法務局で取得することができます。

公図は土地のおおまかな位置や形状を表した図面で、隣地の地番と形状が分かります。登記事項証明書では土地の所有者や土地の種類、抵当権の有無などを確認します。抵当権が設定されていると、所有者はその土地または建物を担保にお金を借りていることになりますので、購入のハードルが高くなります。また、隣地が「農地」であった場合、別途農地法の許可を得なければならないケースがありますので、忘れずに確認しておきましょう。

2)購入後の活用プランを立てる

隣地の確認が終わったら、購入後に思い通りの土地活用ができるかどうかを見極めます。例えば、アパート経営を検討している場合は、土地の用途制限や容積率などをもとに建築プランを検証することが必要になります。

具体的にはハウスメーカーや建築会社にプランを請求する際に隣地購入の可能性があることを伝え、既存の土地と隣地を購入した場合の両方のプランを作成してもらった上で、2パターンの収支シミュレーションを行います。購入打診の前に、どのような建物やランドスケープデザインが可能になるかを専門家と話し合い、しっかり比較検討しておきましょう。

3)周辺の土地相場を調べる

周辺の土地相場を調べ、おおよその隣地価格を確認します。国土交通省が開示している「土地総合情報システム」の他、国土交通省または都道府県が定点調査した「公示地価」、不動産情報ポータルサイトなど複数の調査結果を参考にすると、ある程度の相場がつかめる
でしょう。既に隣地が売りに出されている場合は、仲介をしている不動産会社に連絡を入れて確認してもらうこともできます。

4)購入価格の上限を設定しておく

相場を把握できたら、購入打診に向け、購入資金とそれに加えて必要な諸経費(登記費用、仲介手数料など)の総予算を設定します。とりわけ重視したいのが、購入価格の上限です。高い収益を期待し、無理をしすぎて上限価格を越えて購入してもリスクが大きくなるだけです。上限価格を明確にしておくことで、冷静な判断が可能になります。

・上限価格の求め方

1)増分価値に着目した場合

隣地を購入することによって土地の形が良くなったり、土地利用効率が高まるなど、土地の価格が上昇することがあり、その上昇分のことを「増分価値」と言います。
計算式にすると以下のようになります。

増分価値 = 隣地購入後の全体の価格−(自分の土地の価格+隣地の価格)

隣地の上限価格は、この増分価値を隣地の価格に合算して導きます。増分価値が例えば500万円であると試算した場合、隣地の価格に500万円を加算した金額、あるいはそれに近い金額が上限価格として考えられます。

2)容積率と利回りに着目した場合

前述したメリットでも触れましたが、隣地を購入することで道路幅員による容積率が高まることがあります。例えば、第一種中高層住居専用地域(最大指定容積率200%)で幅員4mの道路に接している土地が、隣地購入後に角地となり、幅員4mの道路に土地の2辺が接することになった場合、幅員が8mとなるため、容積率が160%から200%に増えることがあります。

このケースでは、以下の3つのステップで計算を行います。
1. 自分の土地に賃貸住宅を建てたときの表面利回りを求める
2. 自分の土地と隣地を合併した土地に賃貸住宅を建てたときに(1)と同じ表面利回りを満たす土地価格を求める
3. (2)で求めた土地価格から自分の土地の価格を差し引き、隣地価格を求める

実際に上限価格を決定する際には、これらのアプローチを組み合わせて考慮することが重要になります。市場動向や自身の資金繰り、将来のリスクなど入念に考慮する必要があるため、専門家と相談しながら適切な価格を設定しましょう。

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隣地購入を上手に成立させるための留意点

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隣家だからこその限定価格があったり、打診のタイミングが難しかったりと、隣地購入が独自性の高い不動産取引だということがおわかりになったのではないでしょうか。
最後に、隣地購入を成立させるために知っておきたい留意点について解説します。

1)ある程度の高値は受け入れる

隣地購入の場合、こちらの理想的な価格で取引するのは難しいものです。これは、隣地購入後のメリットを考慮し、国土交通省の定める不動産鑑定評価基準による「限定価格」と呼ばれる特別な価格で取引されることが多いからです。高値を支払うことで得られる将来のメリットを評価し、ある程度の高値は受け入れるつもりで交渉に臨むことが大切です。

2)交渉はオーナーさまではなく、プロフェッショナルに任せる

隣地購入の交渉は専門的な知識と経験が要求され、万が一話がこじれると後々の交渉が進めづらくなります。その後の関係性を良好に保つためにも、不動産の取り扱いのプロフェッショナルであるハウスメーカーや建築会社に依頼することをおすすめします。

また、賃貸住宅の建て替えを計画中に専門家が隣家に説明に伺い、土地売却の意向があるかどうかをさりげなく聞き出してくれたのをきっかけに話が進展するケースもあります。

3)隣家との良好な関係を築いておく

隣家との関係性は土地取引の重要な要素です。日頃から良好な関係を築いておくことで、売却の意向やタイミングなどの情報を早期にキャッチすることができ、適切なアプローチが可能になるでしょう。

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【まとめ】

隣地購入には、事業拡大を目指す方にとって多くのメリットがある一方、特殊な取引ならではのデメリットもあります。一方、購入する側だけでなく、相場より高く売れる可能性がある点で隣家にとってもメリットがある不動産取引でもあります。

隣地が売りに出されていない場合、最初から購入できない、と諦めてしまいがちですが、不動産に対する固定観念が薄れ、より自分らしく自由に住み替えを考えるようになった今は、土地活用のワンステップとして隣地購入を視野に入れることもひとつの方法ではないでしょうか。隣地購入を検討したい方は、公図と登記事項証明書で隣地の状況を調査するところから始めてみてはいかがででしょうか。

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