住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
アパートなどの賃貸住宅経営には広い敷地が必要だと考えてしまいがちですが、50坪ほどの広さの土地でも、アパート経営は可能なのでしょうか。
まずは50坪という土地の広さを、数字で確認してみましょう。1坪は3.3㎡ですから、50坪だと165㎡です。アパートやマンションの間取りは、単身者向きの1LDKなら45~50㎡、2~3人の家族が暮らしやすい2LDKは55~60㎡が平均的な広さと言われています。つまり、単身者向きのワンルームマンションでも、2~3人の家族が暮らしやすい間取りにしても、1フロアに2~3戸は配置できる計算になります。
ただし、実際に建てられる建物は、立地ごとに異なります。防災や日照権などの観点から、敷地内に建てられる建物の面積の割合(建ぺい率)や、建物全体の床面積を合計した割合(容積率)が、法律で定められているからです。
同じ50坪の土地でも、建ぺい率60%の土地なら30坪(約100㎡)の建物が建てられますが、建ぺい率40%ならば建てられる建物は20坪(約66㎡)ほどになります。
敷地の建ぺい率が小さな区域でも、容積率に余裕があれば、3階以上の「多層階住居」を建てることができます。限られた敷地を有効活用しながら、日当たりや眺望のいい部屋を作ることができるので、特に都心部でおすすめのプランです。
容積率が許すのであれば、有効活用できるのが5階建の多層階住宅です。6階以上の建物になると2つ以上の階段の設置が義務化され、建築費用も大幅に増えてしまいます。5階建の建物であれば、多層階住宅のメリットを十分に享受できると言えます。
建ぺい率や容積率は、住居の多い地域、商業施設が多い地域、工業施設が多い地域など、行政が定めた用途地域の種類によって異なります。敷地が角地であるなど、特定の条件を満たせば建ぺい率が緩和される場合もあるため、事前に調べておくのが良いでしょう。
アパート経営で大切なのは、その部屋に魅力を感じてくれる入居希望者がいることです。まずは、どんな人に住んでほしいのか、どんな人が住みやすいと思ってくれるかをイメージして、ターゲットを明確にしておきましょう。そのためには、周辺環境や立地条件を客観的に判断し、ターゲットに合わせた強みのある間取りや戸数にしましょう。
駅から近く、生活するのに利便性の高い地域は単身者をターゲットとした、コンパクトな間取りのワンルームマンションも良いでしょう。
閑静な住宅地で治安が良い、公園や緑が多い、学校などの子ども向けの施設が充実しているなど、子育てがしやすい環境であれば、2LDKなどファミリー層をターゲットにするのも一案ではないでしょうか。
このように、ターゲット像を見据えてから、その人たちにとって住みやすい間取りを考えた方が、入居希望者のニーズに沿った賃貸物件にできる可能性が高まります。
多層階住宅であれば、新設したアパートの一部を自分たちの住居とした賃貸併用住宅にすることも可能です。
賃貸専用に比べると収益性は劣りますが、「自宅の建て替え」と「家賃収入」の両方の希望を叶えることができる活用方法です。
賃貸併用住宅の大きなメリットは、自宅を新しくできると同時に、家賃収入を得ることで住宅ローンの返済負担を減らせることです。さらに、節税や将来の相続税対策としての効果も見逃せません。
アパートローンは、事業経営のためのローンとみなされるため、マイホーム用の住宅ローンよりも金利が高くなります。ただし賃貸併用住宅とし、一定の条件を満たせば金利の安い住宅ローンが利用できる可能性もあるので、長い目でみれば資金繰りにゆとりができるかもしれません。
諸条件を満たし小規模住宅用地の特例措置が認められれば、固定資産税や都市計画税の課税評価額が軽減されます。また、将来的な相続税対策としても有効です。賃貸スペース分は借家権が考慮されるため相続財産としての土地の評価額が減額され、課税される相続税が少なくなるのです。
最上階なら眺望が良い環境が手に入りますし、1階を自宅とすれば、階段の上り下りが不要で高齢になっても外出しやすくなるなど、この先の生活環境を考慮した住宅を選べます。また、眺望や住宅環境の良い上階を賃貸スペースにすれば、家賃の価格設定を高くすることも考えられるでしょう。
複数世帯が生活できる構造になっているため、状況の変化に応じて、将来は二世帯住宅にする場合も転用しやすくなる可能性があります。
ひとつの建物を他の人と共有して使うという意識は必要になります。オーナーさまの住みやすさ、入居者の住みやすさの両方を維持する必要があり、入居者と良好な関係を保つことが大切です。出入口は入居者と分けるなど、プライバシーの確保や高い防音性に配慮した設計が必要になるでしょう。
事情により転居しなければいけなくなったなど、状況が変化したことで売却を考えた場合、希望価格では売却しづらい可能性があります。買い手が限定されてしまう可能性もあり、売却価格の予想がつきにくいという懸念があることも覚えておきましょう。
間口が狭かったり敷地が整地でない土地の場合は、賃貸住宅物件を建築するのは難しい場合があります。しかし土地活用を諦める必要はありません。環境に応じたさまざまなプランで活用できます。
首都圏で主要幹線道路に近いなど、事業ニーズがある地域なら、50坪の土地に2棟建てて、1棟は自宅、もう1棟は倉庫や店舗物件として貸し出すことも可能でしょう。空室リスクもあり、立地や面積などにもよりますが、賃貸住宅よりも高い家賃収入が期待できることもあります。
利便性の高い都心であれば、土地の形状よりも立地環境が求められることもあります。フロアを上に重ねていく多層階住宅にすれば、フロアごとに住居用、事業用と用途を切り替えることができるので、幅広い活用方法が考えられます。
変形地でも、敷地をギリギリまで有効活用できる建築設計プランは可能です。例えば、パナソニック ホームズ株式会社の「マルチモジュールシステム」を採用すれば、15cm単位で広さを調整できるため、空間を無駄なく活用できます。
どのような土地活用が可能なのかは、その土地の環境や形状、条件などによってさまざまです。建ぺい率、容積率などを確認する必要もあるので、具体的にはどのようなプランが現実的なのかを知りたい場合は、ハウスメーカーなどのプロに相談すると良いでしょう。
【まとめ】
50坪の土地があれば、アパート経営の他、さまざまな土地活用をすることができます。賃貸物件とする場合は、その土地の周辺環境や立地条件を客観的に判断して、ターゲット層を見極めてから、どのような建物にするかを考えることをおすすめします。
賃貸併用住宅なら、ローン対策や節税対策などに繋がるなどのメリットもあります。その土地の建ぺい率や容積率にもよりますが、多層階住宅も選択肢のひとつとして検討してみても良いでしょう。