住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
日本の首都であり、世界的に見ても屈指の大都市である東京都。東京都総務局が発表した「東京都の人口(推計)」によると、2023年9月1日時点での人口は1,409万5,231人、23区内に限っても977万8,578人にのぼります。人口の多さは、住宅を必要とする人の多さにつながるため、人口の少ない地方に比べて、都心での賃貸住宅経営は非常に有利と言えるでしょう。
国勢調査によると、2022年10月1日現在、47都道府県のうち、前回の調査時よりも人口が増えたのは東京都のみという結果に。東京都の人口増加の要因は、亡くなった人より生まれた人が多い「自然増加」ではなく、転入者数が転出者を上回る「社会増加」のためです。少子化が進む現在ですが、多くの人が別の地域から東京に転入しているという現状があります。
さらに東京都は、全国で一番「持ち家率」が低い都道府県でもあります。2018年のe-Stat政府統計の総合窓口「社会生活統計指標-都道府県の指標-2022」では、持ち家率全国1位の秋田県は77.3%、全国平均は66.3%のところ、東京都は45.0%と全国最下位でした。
人口が多い大都市で、どの都道府県よりも人口増加率が高く、持ち家率が低いという特徴を持つ東京都。これらのデータは、東京都が賃貸住宅需要の高いエリアということを裏付けています。
人口が多く賃貸住宅需要が高いというアドバンテージがある都心でのアパート経営。メリットは他にもさまざま考えられます。
その1つが、人口の多い状況が今後もしばらく続くという見通しがあり、賃貸住宅需要が先細る可能性が低いと想像できること。東京都の「将来人口の推計」によると、東京都の人口は今後も増加が続き、2030年にピークを迎えると予測されていますが、23区に限定するとピークはその5年後の2035年と予測されています。今後も急激に人口が減る見込みが少ないということは、都心でアパート経営を行う場合の大きな安心材料になるでしょう。
また、賃貸住宅需要が高いということは、家賃を低く設定しなくても入居者が決まりやすいということでもあります。駅が近かったり、コンビニエンスストアなどの商店が充実していることが多い都心。立地の利便性からも入居者を確保しやすい傾向にあるでしょう。
さらに都心の土地は、建築できる建物の種類や大きさを定めたルールにより高層化が可能であるケースが多く、賃貸併用住宅やマンションによる賃貸住宅経営も可能。都心は地価が高いためアパートの資産性が落ちにくく、将来、売却する場合も価値が下がりにくいというメリットもあります。
一方、都心で行うアパート経営にはデメリットもあります。デメリットのひとつは、地方でアパートを建てる場合よりも建築費が高額になること。その理由は、昨今の円安や物価高、人手不足の影響の他、狭小地や高層の建物の場合に資材の運搬コストがかかったり、「防火地域」や「準防火地域」の場合、耐火建築物にしたり基準に合ったドアや窓を使用したりする必要があるためです。
また、所有する不動産にかかる税金である固定資産税も、都心の場合は高くなりがち。課税の基準となる土地と建物の標準額が高く算定される都心のアパートは、地方の同規模のアパートよりも税負担が大きくなります。加えて、都心のアパート経営では多数の競合物件があります。
ここまで、都心で行うアパート経営のメリットとデメリットについて見てきました。人口が多く賃貸住宅需要が高いということは、入居者が集まりやすい半面、競合物件も多くなりがちという側面があります。都心でのアパート経営で、入居者に選ばれる物件にするにはどんな方法や対策が必要なのでしょうか?
アパートの経営計画時には、どんな層に向けたアパートにするかを検討することが重要になりますが、都心の場合はより戦略性を持って設定することが大切です。都心の家賃相場は特に変動も大きいですが、たとえば港区、千代田区、中央区の賃貸住宅の平均家賃は、ワンルームでも10万円以上と言われています。大企業に勤める比較的収入の高い入居者からのニーズがあるため、平均的な広さや間取りのアパートにするよりも、部屋数を抑えて1戸あたりの面積をゆったり確保し、グレード感の高い物件にするほうが競合物件と差別化できる可能性があります。
また、コンクリート打ち放しの壁やガラス張りの浴室などを取り入れた「デザイナーズ物件」も人気ですので、検討してみても良いでしょう。スマートロックや、照明・エアコン・浴室の遠隔操作機能などが採用された「IoT(モノのインターネット化)物件」も、都心でグレード感のある住まいを求める入居者との相性がいいと考えられます。
反対に、「最小限の暮らし」がコンセプトのミニマリスト向けに、家賃を抑えた狭小物件にする選択肢もあります。戸数が多いと必要な設備類が増えるため建築費が高くなるというデメリットがありますが、利便性のいい場所に書斎代わりのセカンドハウスを持ちたいという人の需要も期待できます。
他にも、学生や転勤のある社会人など、流動性の高い入居者属性を考慮して家具付きのアパートにする、音楽大学の周辺であれば防音・遮音対策を施す、女子大学の周辺であれば防犯性の高い物件にするなども、周辺の競合物件との差別化につながります。
広さやグレード感、デザイナーズ物件やIoT物件という“特別感”が重要になると考えられます。また、都心の場合は限られた敷地面積で賃貸住宅経営を考えなければならない場合も多いでしょう。その場合はアパートよりも収益アップが期待できる、多層階マンションにするという選択肢も一案です。
【まとめ】
メリットもデメリットもある都心でのアパート経営。ただし、人口が多い大都市・東京は、急激な人口減少に転じる可能性も低いことから、賃貸住宅需要の高い有利なエリアと言えます。その分、競合するアパートも多く、都心というエリアの特徴を鑑みながら差別化を行い、入居者に選ばれる物件にすることが経営の秘訣です。