住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
ひと口に多摩地域と言ってもその面積は広大であり、ピンとこない方もいらっしゃるのではないでしょうか。まずは基本情報を押さえておきましょう。
東京都は、「23区」「多摩地域」「島しょ部(伊豆諸島や小笠原諸島など)」の三つに大別されます。
多摩地域は、23区の西側に位置する市町村を指し、東京の総面積の約半分を占め、人口は約424万人。地勢や人口動向、土地利用、産業構造など、地域ごとに異なる特性や課題が存在し、5つのエリア区分が設けられているのが特徴です。
・西多摩エリア(青梅、福生、羽村、あきる野、瑞穂、日の出、檜原、奥多摩)、
・南多摩エリア(八王子、町田、日野、多摩、稲城)
・北多摩西部エリア(立川、昭島、国分寺、国立、東大和、武蔵村山)
・北多摩南部エリア(武蔵野、三鷹、府中、調布、小金井、狛江)
・北多摩北部エリア(小平、東村山、清瀬、東久留米、西東京)
多摩地域の人口は2023年1月1日現在で約424万人ですが、西多摩エリアではすでに人口減少が始まっており、2040年には400万人を下回ると予測されています。
緑豊かな自然と都市が共存し、企業や大学、研究機関が集積するなど、多面的な魅力にあふれている多摩地域は、東京の持続的発展に欠かせない役割を果たすエリアとして注目されているのも大きな特徴です。近年は大規模工場の撤退が相次いだ一方で、その跡地を有効利用した物流拠点や企業の研究機関などの進出も見られます。また、大学、研究機関、高い技術力を有する中小企業が集積しているとともに、鉄道駅の周辺などにセミナーやマッチングなどを行う創業支援機関やインキュベーション施設などが新たに設立されています。
大学の都心回帰などに伴いワンルームの空室率は増加傾向にありますが、ファミリータイプについては人気が底堅く、家賃も上昇基調にあります。これらの背景にあるのが、コロナ禍を経て定着しつつあるテレワークの普及やライフスタイルの変化。東京都区部から郊外部への人の移動が生じていることも考えられます。
多摩地域は魅力が多い一方で、人口減少・少子高齢化への対応をはじめ、道路・交通インフラの整備や防災対策、産業振興など、地域ごとの課題も抱えています。また、新しい働き方や暮らし方、デジタル化の進展など、社会構造の変化の影響を受けやすく、同時にそれらの変化を受け止め具現化・実装していくポテンシャルを多く秘めたエリアでもあります。
そこで東京都では、未来の東京戦略の一環として、多摩地域が一層発展していくための政策「新しい多摩の振興プラン」を策定。サステナブル・リカバリーの視点で、「①大きな社会変化と変革を、多摩地域の更なる発展のチャンスにする」「②地域の多様なポテンシャルを伸ばし、課題解決を図っていく」という2つの方向性を軸に、都と市町村がより緊密に連携・協力し、賑わいと活力に満ちあふれる地域社会を共につくり上げることを強調しています。
土地活用においては、自分の所有地が位置する市町村がどのような施策を講じていくのか、まずは情報収集をして、そこからインサイトを得ることが重要になるでしょう。
今回は、多摩地域の中でも南多摩エリアの郊外型タウン「多摩市」と「町田市」にスポットを当て、アパート経営を行う際の具体的な戦略やポイントについても解説します。
多摩市、稲城市、八王子市、町田市の4つの市にまたがる「多摩ニュータウン」。多摩市は多摩地域南部に位置し、1960年代の高度成長期に開発が始まった多摩ニュータウンの中心です。当時1万人に満たなかった人口は多摩ニュータウン開発に伴い大幅に増加。1990年までの30年間で約15倍の14万人台まで増加しました。しかし以降はほぼ横ばいで、2023年1月時点では約14万8,000人となっています。
多摩市は市の面積に占める公園の割合が、東京都内でトップを誇ります。加えて、市内に京王線と小田急線、多摩モノレール線の3路線が乗り入れており、都心へのアクセスが良好。常に自然と隣り合わせの生活が送れる一方、京王線聖蹟桜ヶ丘駅から新宿までは特急や準特急で約30分、小田急多摩線多摩センター駅からも約30分というアクセスの良さも見逃せません。
市内には、京王線・多摩センター駅と聖蹟桜ヶ丘駅の周辺に商業と文化施設が集積しています。小田急線・多摩センター駅の南側は、複合した都市機能が充実。大小2つのホールと博物館が備わる「パルテノン多摩」のほか、「サンリオピューロランド」、「イオンシネマ多摩センター」、プラネタリウム「ベネッセ・スター・ドーム」などのレジャー・文化施設が揃い、街自体がテーマパークのような雰囲気を醸し出しています。
一方、聖蹟桜ヶ丘駅エリアでは、タワーマンションや商業施設、アウトドアフィットネスクラブなどを多摩川の河川敷と面的につなげる大規模再開発が進行中。郊外型タウンらしい、自然調和のアクティブライフを具現化すべく、多摩市と京王電鉄や地元企業が手を組み、若い世代を呼び込むイベントなども開催されています。
多摩ニュータウンでは、2016年3月に多摩市が「多摩市ニュータウン再生方針」を策定し、住居の建て替えプロジェクトを皮切りに、公園や道路などの再整備を進めています。既に一部の団地で建て替えを終えた地区では、30〜40代の子育て世代が移り住んだことで高齢化率が32%から24%へ急降下。時代のニーズに合った住宅の供給により若い世代にも受け入れられる街であることが証明されました。
相模原市橋本駅周辺には、リニア中央新幹線の新駅の計画があり、近接する多摩ニュータウンのポテンシャルが向上すると期待されています。また、多摩地域が新たな価値を生み出す企業や研究機関の拠点となることで、雇用を生み出し、多様なイノベーションが創出されるといった、持続可能な都市の未来像が描かれています。
成長と成熟を軸に、少子高齢化や多摩ニュータウンの老朽化などの課題に官民一体で取り組む多摩市。街の魅力が向上するに伴い、若い世代からだけでなく幅広い年代から支持される暮らしやすい街に変貌を遂げていきそうです。
まずは多摩市の家賃相場から。新築駅近の場合、ワンルーム7万円程度、1LDKで8万円程度、2LDKがおよそ12万円と言われています。
また、2LDK以上の間取りについては、入居希望者の検索割合が掲載物件の割合を大きく上回っていると言われており、ファミリータイプの住居の供給数が足りていない状況と推測できます。
多摩市内には、企業の技術研究所をはじめ国士舘大学、多摩大学、大妻女子大学、桜美林大学、東京医療学院大学など多くの大学のキャンパスが点在しているため、ビジネスパーソンや学生向けのワンルームや1K、1DKの需要もありますが、入居希望者の検索割合に対し、若干の供給過多が見て取れます。空室リスクを解消するには、単に新築であるというだけではなく、IoTなどニーズに合った付加価値を備えておくことが必須となりそうです。
ファミリータイプにおいても同様に、家族でエコライフを実践できるZEH-M仕様や、周辺環境と調和するランドスケープや専用庭を持つ住まいなど、自然との調和を意識した住まいを計画して付加価値を高めるのもひとつの方法です。アウトドアグッズなどを収納できるシューズクローク、オンライン会議に使えるブースを共用部に設置するなど、エリアの特性や現代のライフスタイルにマッチした空間にしておくことが重要になります。
多摩市では、親世帯と近居または同居する目的で、多摩市外から多摩市内に転入する子育て世帯の住宅購入費や転入に要する費用などを対象に最大30万円の助成をしています。所有地の行政がどのような政策を行なっているかをリサーチすることも忘れずに行いましょう。
町田市は多摩市と同じ多摩地域南部に位置し、東京市部では八王子市に次いで人口が多い東京都のベッドタウンとして知られています。人口は約43万人でここ10年間は緩やかな増加傾向にありますが、将来人口推計では、2025年までにピークを迎え、その後減少することが予測されています。町田市では、人口減少や少子高齢化などの課題解消に向け、未来のまちづくり対策を官民一丸で推進中です。
町田市で暮らすポイントは、都市型生活と郊外型生活を同時に楽しめること。具体的に見ていきましょう。
町田市の中心にある町田駅は、小田急線とJR横浜線の二路線が乗り入れており、小田急線の快速急行を利用すれば、新宿・渋谷方面に約30分でアクセスが可能。また、横浜駅へも35分程度、さらに藤沢や江ノ島など湘南方面へも1時間以内で行くことができます。
町田駅周辺は、多摩地域有数の商業地。「小田急百貨店 町田店」「ルミネ町田」をはじめ、「町田東急ツインズ」「町田マルイ」などのファッションビルの他、大手家電量販店などが立ち並び、わざわざ都心部まで出かけなくても町田駅周辺ですべてが揃う、便利な環境です。また、おしゃれなカフェやコスパのよい飲食店なども多く、「食」が充実しているのも魅力のひとつです。
町田駅周辺のみならず、東京の中心部から30〜40㎞離れたエリアをつなぐ環状線、国道16号線沿いにもショッピング施設が充実しています。アメリカ玩具量販店の「トイザらス」や「コストコ」「IKEA」など海外からのディスカウントストア、家具・インテリアの大型店舗やホームセンターなどが揃い、郊外型の暮らしをバックアップしています。
リニア中央新幹線の新駅が開設される橋本周辺は、まさにこの16号線沿い。今後ますます発展していくことが予想されます。町田市は八王子市、相模原市(神奈川県)と連携し、同エリアの持続可能で広域的な行政サービスの提供に注力していく方針です。
では町田市の本質的な魅力と将来性を知った上で、町田市内でアパート経営をする際に留意したいポイントはどんなところでしょうか。
総務省統計局が発表した「住民基本台帳人口移動報告2022年(令和4年)結果」に興味深いデータがあります。転入超過数の多い市町村の部門で、町田市は15位、0歳〜14歳に関しては、さいたま市に次いで多く、第2位という結果が出ています。ここから町田市は子育てファミリー層に人気のある街ということが分かります。
町田市の家賃相場は、新築駅近の場合、ワンルームが約7万円、2DKが約9万円、3DKが約13万円と言われています。仮に子どもが2人いる家庭とすれば、一般的に2DK以上の間取りが必要になりますが、東京23区に比べるとかなり費用を抑えることができるでしょう。
若いビジネスパーソンを中心にリモートワークが定着していることもあり、今後も「都市型生活」と「郊外型生活」を同時に楽しめる、町田エリアが注目されることが考えられます。
週末の買い出しやレジャーなど、車が大活躍する郊外の暮らしにおいて意識したいのが、車庫と住宅が一体となった「賃貸ガレージハウス」です。車やバイクの保管場所としてはもちろん、趣味やDIYのスペースとして家族のライフスタイルに応じてフレキシブルに活用できるのが魅力。駅から離れた立地の空室対策としてもおすすめです。
また、町田市は駅周辺にアパートが少ない傾向があります。「車は必要、でも毎月定額料金で車に乗れるサブスクがいい」と考えるZ世代の単身者や共働き夫婦に向けて、駅近の立地に、時短を叶えるIoTや清掃性に優れた水回り設備などを装備し、デザイン性に優れた設備重視の住まいを提供するのも、差別化を図るひとつの方法です。
【まとめ】
多摩地域は東京都の発展に欠かせないエリアでのひとつです。
多摩市、町田市でアパート経営をする際には、市のホームページで未来構想を把握することで、自身が提供する住まいの理想形が浮かび上がってくるのではないでしょうか。ハウスメーカーの担当者や不動産のプロと共に地域のニーズを読み解き、入居者と地域が共に幸せになるような住まいを創造してください。