住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
賃貸住宅経営の戦略を決める際に重要となる「ターゲット」と「エリア」の考え方について、品川区を例にとり、詳しく解説します。
賃貸住宅経営を効率的に進めるには、ターゲット層を見極め、適切に設定することが重要です。品川区ではターゲット層をどのように見極めるべきでしょうか。
品川区全体を見てみると、大手企業の本社やオフィスビル、大学、商店街などが点在するエリアで、
ターゲット層も広くなることが想定できるでしょう。いわゆる「都市部」と呼ばれるエリアを住まいとして選ばれるのは、単身のビジネスパーソンや学生が大半です。これら単身者をターゲットにした場合、コンパクトなワンルームはおすすめできる間取りのひとつと言えます。
また、ワンルームであっても、30㎡程度の広さを確保できれば、都心へのアクセスを重視する共働きカップルなど、単身者以外のターゲットも視野に入れられるかもしれません。
しかしファミリー層ニーズの高いエリアで単身者向けのワンルームの賃貸住宅を展開してしまうと、ターゲットニーズと乖離することで借り手が見つからず、経営に支障をきたすリスクも生じかねません。
賃貸住宅経営の際は、どのようなターゲット層に入居してほしいのかを、明確に特定しておく必要があります。エリアに即したターゲット層の見極め方については、次で解説します。
ターゲット層を設定する際には、市区町村単位の特徴に注目するだけでなく、所有する土地の近隣エリアにおける特性を綿密に調査し、特徴を分析することが肝要です。これは、エリアごとに住民の属性やニーズ、ライフスタイルが大きく異なるからです。より適切な物件を提供できれば、入居者の確保にもつながる可能性が高まります。また、地域特有の魅力を活かした間取りを採用できれば、競争力のある賃貸住宅となり、競合物件との差別化も見込めます。
たとえば品川区の場合、品川地区、大崎地区、大井地区、荏原地区、八潮地区という5つの異なる特徴を持つ地域が存在します。これら各エリアの独自の特性を深く理解し、それぞれに適した賃貸住宅経営戦略を策定することが、成功に向けた鍵となるでしょう。
まずは品川の5エリアについて、それぞれの特徴や、想定されるターゲットを解説します。
荏原地区は品川区内で、特に住宅街としての魅力が際立つエリアです。この地区には戸越銀座や武蔵小山などの商店街があり、自炊をしやすいうえ、24時間営業の外食チェーン店や個人経営の飲食店も豊富です。また「戸越公園」や「林試の森公園」など緑豊かな公園も多く、リモートワークなどの合間や、休日におけるリフレッシュが容易なことも魅力と言えるでしょう。
治安のよさをメリットとして挙げる住民も多く、暮らしの質の高さを求める単身者から若いカップルまで、幅広い層にリーチできるエリアです。単身者も生活しやすい環境のため、ワンルームの賃貸住宅を展開するにはおすすめのエリアでもあります。所有する土地の広さによっては、ワンルームだけでなく、ファミリー層なども想定したターゲット設定を意識してみてもよいでしょう。
品川地区は、発展し続けている商業地と、伝統的な街並みが融合するユニークなエリアです。「天王洲アイル」や「品川シーサイドフォレスト」などの新しい景観と、歴史ある旧東海道品川宿の風情が共存しており、住めば住むほど新しい魅力の発見できるエリアと言えるでしょう。
この地区はオフィスビルが多く、ビジネスパーソン向けのワンルームは大きな需要がありそうです。
大崎地区は、JR山手線を介して新宿や渋谷と直接つながる、副都心的な役割を担っています。高層ビルだけでなく緑地も点在しているのが大きな魅力です。「目黒川沿いの桜並木」や「池田山公園」など、四季を感じられる自然豊かなスポットも数多く存在します。
ファミリー向けの需要が期待できるエリアですが、ビジネスパーソン向けワンルームのニーズがありそうです。
大井地区はJRほか大井町駅周辺を中心とした地域で、商業施設やホテル、行政施設や文化施設が充実しているのが特徴です。また、「しながわ花海道」「しながわ水族館」などのレジャースポットも揃っています。
電車の利便性も良くこのエリアも生活がしやすく単身者向けワンルームも期待できるエリアですが、土地面積によっては1LDKなど、ファミリー層の需要に応えられるような間取りを考えるのも良いかもしれません。
八潮地区は、大規模UR団地である「八潮パークタウン」を中心に、緑と水辺に囲まれた快適な住環境が特徴です。広大な都立公園を有するほか、教育・福祉施設も整備されており、ファミリー向けの住宅地としての人気が高いと言えます。
そのため、このエリアで賃貸住宅経営を予定しているなら、ターゲットはファミリー層がメインになるかもしれません。
次に、ワンルームの賃貸住宅を経営をする際、物件の魅力をより高めるために気をつけたいポイントなどを、詳しく解説します。
ワンルームに住む単身層は、通勤や通学の利便性を重視することが多い傾向にあります。オフィスや学校へのアクセスの良さを積極的にアピールしましょう。
たとえば、交通アクセスが便利な五反田、大崎、品川などの駅周辺に位置する物件の場合、「駅まで徒歩〇分」など、駅までの徒歩や自転車での所要時間を具体的に明示することで、利便性をより効果的にアピールできるでしょう。
競争が激しい都心部での賃貸住宅市場においては、他の物件との差別化を図るため、独自性を持った「コンセプト物件」の開発もおすすめです。居住空間を超えた新たな付加価値を提供し、物件の魅力を高めましょう。
ワンルームマンションのコンセプト物件の例としては、デザイナーズマンションやコンシェルジュサービスを提供することなどが考えられます。また、ペットフレンドリーな住宅、ZEH-Mなど、現代のライフスタイルに合った設備を取り入れることも差別化につながります。
また、近年は、たとえば「推し活」をしている人だけに入居者を絞った賃貸住宅物件なども注目を集めています。物件のハード面だけでなく、ソフト面である入居者の属性(学生や専門家、特定の趣味など)に注目してコンセプト物件を作るのもよいでしょう。
差別化に加えて、入居者が暮らしやすさを感じられる提案を心掛けることも大切です。たとえば、屋根付き駐輪場の設置や24時間利用できるゴミステーション、宅配ボックスといった、日常生活に密接な関わりをもつ共用設備の使いやすさは、大きなポイントとなります。また、近隣のスーパーマーケットや飲食店、ショッピング施設などの情報も情報として提示することで、生活の便利さをアピールすることも忘れないようにしましょう。
ほかにも、高速インターネットや、高品質な据え置きの家具・家電など、生活の質を高める工夫は数多く考えられます。入居者に、物件に対して賃料以上の「お得感」があると思わせることによって、競合との差別化を進めましょう。
【まとめ】
ワンルームの賃貸住宅について、経営を成功させる鍵は「ターゲット設定」と「物件の差別化」にあります。今回は品川区を例にとりましたが、どのような地域であっても、エリアごとの特性を理解し、想定されるターゲットのニーズに応じた戦略を立てることは重要といえるでしょう。また、競争が激しいエリアについては、独自性のあるコンセプト物件の開発、暮らしやすさや通勤・通学の利便性のアピール方法も、忘れずに検討したいところです。
他のエリアの人気物件を安易に真似してしまうと、土地のポテンシャルを的確に活かせないことがあるかもしれません。地域ごとのターゲットの選定やニーズに応じた間取り、差別化を心がけ、後悔のない賃貸住宅経営を目指しましょう。