住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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お役立ちコラム
【目次】
近年、日本では少子化が進み、それに伴い賃貸住宅市場の競争が激化しています。エリアによっては供給過多の状態に陥っているところもあり、新築物件が人気を集める一方、築年数が経過した物件では入居者の確保が困難になりつつあります。
このような市場環境下で、賃貸住宅経営のオーナーさまが空室対策を怠ってしまうと、家賃収入の減少によりローン返済の負担が増加し、経営に大きな支障をきたす可能性があります。長期的に安定した収入を確保するためには、一時的に賃料を下げるという措置ではなく、物件自体の魅力を向上させるための対策を継続して講じていかなければなりません。
なぜ空室が出てしまうのか、まずは空室の原因を解明することが、空室対策の出発点となります。まず、物件の自己分析を行い、競合物件との違いを把握しましょう。具体的には、以下の点を確認することが大切です。
家賃が周辺の相場と比較して高すぎる場合、入居希望者が他の物件を選ぶ原因になってしまいます。市場の動向を把握し、家賃設定が適切かどうかを見直す必要があるでしょう。
近隣の賃貸物件と比べて、自分の物件にはどのようなメリット・デメリットがあるかを把握しましょう。設備、立地、管理体制など、あらゆる側面から比較することが重要です。
周辺のインフラや商業施設の新設・撤退など、環境の変化も入居者の選定基準に影響を与えます。物件周辺の環境の変化を定期的にチェックすることで、潜在的な問題を早期に発見できます。
また、賃貸管理会社へのヒアリングも効果的です。管理会社は多くの物件を取り扱っており、専門的な視点で空室原因を見極めることができます。物件の問題点や改善すべき点を客観的な立場から指摘してもらうことで、適切な対策が講じやすくなります。親身になって相談に乗ってもらえるよう、日頃から賃貸管理会社との関係性を築いておくことも大切です。
空室の原因が特定できたとしても、それを解決するための資金がなければ実行に移すことができません。対策を講じる前に、まずは資金計画をしっかり立てましょう。
物件の収支バランスを確認し、どの程度の資金を空室対策に充てることができるかを把握しておきます。家賃収入が減少している場合、資金に余裕がない場合も多いため、ローン返済に支障のない資金繰りを考えましょう。
すべての空室対策を一度に実行するのは現実的ではありません。対策ごとにかかる費用と、その対策がどれだけ効果を発揮するかを見極め、費用対効果を考慮して計画を立てることが大切です。例えば、リフォームやリノベーションにかかる費用は高額ですが、それによって得られるメリットが大きい場合、資金を集中させるという方法もあります。
空室対策には資金が必要ですが、自己資金がどの程度あるかも重要な要素です。自己資金を効率よく使うために、ローンを利用したり、補助金制度を活用したりする方法も検討してみましょう。
空室になっている原因や資金を把握したら、具体的なアプローチを考えていきます。まずは、空室対策の方法を「設備面」にスポットを当てて解説。
入居者が物件を選ぶ際に重要視するポイントのひとつは、物件に備わっている設備です。設備の充実度は、入居希望者がその物件に住みたいと思うかどうかに直結するため、まずは入居者に人気の設備をリサーチすることが重要です。
全国の不動産会社へのアンケート結果に基づいて発表されているランキングを見てみると、物件に導入すべき設備を検討する際に入居者がどんな設備を求めているか参考にすることができます。
今回は2024年に発表されたランキングの中から、注目の設備をピックアップしてみましょう。
インターネット無料や高速インターネット、そしてインターネット通販の普及から近年重視されている宅配ボックス。この3つは単身者、ファミリーに限らず需要があるといわれている設備です。特に「インターネット無料」は、家賃アップのための付加価値というより、この設備がなければ入居しない・入居の決め手になる、といった単身者も多いようです。導入のための工事、月々の使用量などは発生しますが、魅力的な物件と感じてもらえる効果があるといえるでしょう。
入居者の安全、安心意識の高まりから、防犯のための設備導入も重要な位置を占めています。特にTVモニター付きインターホンは、必須と考えている入居者も少なくないようです。これらは導入のためのコストは必要となりますが、東京都内などは導入に補助金が利用できる場合があり、例えば東京都荒川区では区内の販売店等で購入した防犯カメラであるなどの条件を満たせば、防犯カメラの半分の費用を負担してもらえます。
近年の猛暑の影響を受け、単身者向け・ファミリー向けの必須設備となっているのが「エアコン」です。不動産会社によっては、空室になったタイミングで10年が経過したエアコンは、オーナーさまに取り替えを提案することもあるといわれています。
近年付加価値設備として注目のアイテムが「ペット用設備」。キャットウオークやペットドア、ペット対応の床や壁紙、ペット用足洗い場などを導入することで、相場より高めの家賃設定が可能になるうえ、通常に比べて入居期間が長くなるケースもあるようです。
どの設備を導入するかは、物件の立地やターゲット層によって異なります。導入すべき設備の優先順位を決定するために、まずは以下のポイントを考慮しましょう。
新築マンションが多いエリアでは、一般的な設備を導入しても効果が薄いことがあります。周辺の賃貸物件の設備状況を調査し、差別化ができる設備を導入することで、入居者を引き付けやすくなります。
単身者向け・ファミリー向け、それぞれのニーズに合わせた設備を優先的に導入しましょう。ターゲット層が求める設備を導入することで、物件の魅力を一層高めることができます。
空室対策として、物件の設備や外観をリフレッシュするリフォームやリノベーションは非常に有効な手段です。新しい物件と競争するためには、外観や内部の劣化部分を改善し、物件の魅力を高めることが求められます。
外観の印象は、入居者が物件を選ぶ際に非常に重要です。外壁塗装を行い、新築同様の美しい外観を保つことで、入居希望者に対して好印象を与えることができます。また、玄関ドアを新しくする、共用廊下をリフレッシュする、バルコニーの一新など、小さな改善でも物件全体の印象を大きく変えることが期待できます。
住宅全体の省エネ化に向けて、2025年から新築の賃貸住宅は断熱等級4以上が必須になります。そのため、新築物件との競争力確保のためには、断熱性能の重要性は一層増していくことが予想されます。
入居者としても、断熱性能の向上は光熱費の軽減や健康面でヒートショックの防止などのメリットがあり、物件に付加価値をもたらすことができます。
さらに壁や床に断熱材を充填することによる副次効果として遮音効果もあり、子どもの足音などを気にするファミリー層への訴求をより強める効果も期待できるでしょう。
かつては複数の部屋が必要とされていた物件も、最近ではフレキシブルに使える広々としたLDKが好まれる傾向があります。例えば、2DKを1LDKに、3DKを2LDKに変更することで現代のニーズに合わせたものに改善できます。少し費用がかかる場合がありますが、入居率の向上や長期的な収益増加に繋がることが期待されます。
入居者が物件を選ぶ際、収納スペースの充実度も重要な要素です。特にウォークインクローゼット(以下WIC)は、近年人気の設備となっており、単身者・ファミリーのどちらにも支持されています。主寝室にWICを設置したり、LDKにワークスペースを兼ねた収納を増設したりすることで、使い勝手の良い住空間を提供できます。
リフォームやリノベーションには費用がかかるため、どの程度の改修を行うかは慎重に判断する必要があります。また、他の対策についても、どこまで差別化を図るかを賃貸管理会社や不動産会社とよく相談し、費用対効果を見極めながら計画を立てるようにしましょう。
ここでは、比較的コストをかけずにサービス面などからアプローチする方法を紹介します。
空室対策を進めるうえで、物件の強みや改善点を把握することが重要です。まず、入居希望者がどのような物件と比較しているのかを仲介業者に確認してみましょう。仲介業者は地域の市場動向に精通しているため、競合物件との比較を通じて、自身の物件がどの点で劣っているか、逆にどの点で優れているかを明確にすることができます。
物件の魅力を最大限に伝えるためには、広告の見直しも重要です。特に、インターネット上の賃貸住宅サイトでは、物件の写真や説明文が入居希望者にとっての第一印象となります。ここでは、物件を魅力的に見せるためのポイントを整理します。
外観だけでなく、内装の写真も魅力的に見せる工夫が必要です。明るい時間帯に撮影し、部屋の広さや設備の良さが伝わるようにしましょう。また、専門の写真撮影サービスを利用するのもひとつの方法です。不動産の撮影を得意とするカメラマンに依頼すれば、物件の魅力をより効果的に伝えることができ、物件の内見につなげることが可能です。
競合物件と比較する際には、家賃や設備だけでなく、周辺環境も重要な要素となります。交通の利便性や商業施設の有無、学校や公園などの教育環境も考慮して物件のアピールポイントを整理しましょう。最寄り駅まで少し距離があったとしても、買い物場所として考えられる商業施設へ徒歩○分、小中学校や公園へ徒歩○分といった情報をきちんと明示すると効果的な場合があります。
また、ターゲットを明確にすることで、差別化戦略が立てやすくなります。例えば、ファミリー向けの物件では、競合に比べて「ゆとりある専有面積」や「駐車場付き」をアピールすることも有効になることがあります。
入居者のターゲットに合わせて契約条件を見直すことも大切です。例えば、「ペット相談可」「フリーランス可」などの柔軟な条件を設定することで、新たな入居者層を開拓することが可能です。特に、契約条件が厳しすぎる場合は、見直しを行い、入居者にとって魅力的な条件に改善することが空室対策につながります。
高齢化が進む日本社会において、高齢者を受け入れる体制を整えることも賃貸住宅経営の安定化に寄与します。また、外国人労働者や留学生が増加している地域では、外国人入居者の受け入れ体制を整えることも有効です。
高齢者を受け入れるためには、バリアフリー化や緊急時の対応など、安心して暮らせる環境を整える必要があります。例えば、手すりの設置や段差の解消、緊急通報装置の導入などが考えられます。
外国人の入居者を受け入れる際には、言語の壁や文化の違いに配慮した対応が必要です。例えば、外国人向けの家賃保証サービスや、外国語でのサポート窓口を提供することで、外国人入居者が安心して住める環境を提供できます。
入居に配慮が必要なひとり暮らしの高齢者や外国人などの受け入れにあたっては、賃貸住宅の各種サポートサービスを活用することが可能です。例えば、国土交通省の「住宅セーフティネット制度」では、住宅改修費の補助を受けながら要配慮者の入居を受け付けることが可能です。また、外国人向けの家賃保証サービスもあるので幅広く調査しておきましょう。
入居者は初期費用をできるだけ抑えたいと考えますので、入居者の費用負担を軽減することも空室対策のひとつです。具体的には、以下のような方法があります。
敷金や礼金を撤廃することで、入居希望者にとって魅力的な条件を提供できます。ただし、敷金を完全に撤廃する場合は、退去時の修繕費や清掃費用の負担方法について、賃貸管理会社としっかり協議することが必要です。
フリーレントとは、一定期間の賃料を無料にする制度です。特に入居者の少ない時期や中途退去が発生した場合には、フリーレント制度を活用することで空室期間を短縮できる可能性があります。ただし、長期的に家賃収入が減少するリスクもあるため、適切な期間と条件で導入することが重要です。
あまりおすすめはできませんが、毎月の賃料を下げることで、検索サイトなどでより多くの人の目に留まりやすくなる可能性があります。ただし、一度下げた家賃を再び上げることは難しいため、将来的に家賃収入が減ってしまうことになる点を心得ておきましょう。
【まとめ】
本記事では、賃貸住宅経営における空室対策について、主に設備面とサービス面からアプローチする方法を紹介しました。少子高齢化が進む日本において、空室対策は物件の競争力を維持し、経営を安定させるために必要不可欠な取り組みです。
空室の原因を正確に把握したうえで、設備強化やリフォーム・リノベーションの検討、そしてターゲットに応じた柔軟な契約条件やサポート体制を整えることが大切です。空室対策を適切に行い、入居者にとって魅力的な住環境と安定した収益の確保の同時実現を目指し
ましょう。