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賃貸住宅を建築中の、相続で慌てないために!不動産評価の基礎と対策を解説

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【目次】

土地活用で物件の建築中に相続が起きてしまったら?

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相続税の節税のために賃貸住宅を建築中に相続が発生した場合、どんなことが起きるか理解するために、まずは賃貸住宅経営を相続税の節税という観点から見てみましょう。

1)相続税対策として有効な「賃貸住宅経営」

賃貸住宅経営には、以下のように土地・建物の評価額が、相続税課税時に低くなるメリットがあります。

・貸家建付地評価

所有する土地に賃貸住宅を建築して事業を行うことで、「貸家建付地」として評価され、借地権割合にもよりますが、通常の土地評価額から約20%の減額が可能です。これは、貸家建付地とは建物に第三者が住んでいる土地であり、賃借人が賃貸契約を結ぶことで借家権を得るため、オーナーさまが自由に土地を使用できなくなる点を考慮しています。

・小規模宅地等の特例

相続税の対象となる、貸付事業の用に供されていた宅地等(「相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等」を除く)について、200㎡までの貸付事業用宅地等は最大50%の減額評価が受けられます。

・貸家の建物評価額の軽減

建築した建物を賃貸住宅とすることで、建物評価額を約30%軽減することが可能です。元々、建物の相続税評価額は新築時の建築代金の60〜70%で評価され、さらに貸家の評価減があるため、結果的に貸家の相続税評価額は建築代金の約50%になると言われています。

このように、賃貸住宅経営は土地・建物の評価額が下がることで、大きな相続税の節税効果が見込めるメリットがあります。
一方、建て替えの途中で相続が発生すると評価方法が変わるので注意が必要です。次の項目では、具体的に賃貸住宅の建築中の評価について解説します。

2)建築中の相続で、評価額はどう変わる?

賃貸住宅の建築には相応の時間がかかるため、完成までに相続が起きる可能性があります。建築中に相続が発生した場合、土地や建物の評価額はどのように変わるのでしょう。

・建物の評価額は費用原価の70%

土地:賃貸住宅の建物を建築中の場合、土地は原則として「自用地」として評価されます。つまり、他人が住むための住宅ではなく、自宅など自分で利用する土地とみなされるということです。
建物:建物は、相続発生時までにかかった費用原価の70%が評価額となります。これは自用の建物と同じ評価額です。相続発生時点でまだ賃貸していないため、そこからさらに賃貸目的の建物に対して適用される借家権割合30%を控除することは認められていません。
費用原価とは、建築会社などに支払った工事費の総額ではなく、相続発生時までに建物に投下された建築費用の額になります。そのため相続が発生したら、ハウスメーカーや建築会社に依頼して、工事の進捗段階を正確に見積もってもらいましょう。たとえば、3,000万円分工事が進展した段階で相続が発生した場合、評価額は2,100万円です。建築の進捗度が高いほど評価額も増加するため、相続発生時期によって税額が変わることも理解しておく必要があります。

・貸家建付地の評価

では、被相続人が賃貸住宅経営を行っていて、賃貸住宅を建て替えている途中に相続が発生した場合でも、先ほどと同じように評価されるのでしょうか。建物の評価額は先ほど同様ですが、土地の評価に関しては異なる可能性があります。
賃貸住宅を継続していくために建物を建て替えている場合も、原則として土地は「自用地」として評価されますが、一定の要件を満たすことで「貸家建付地」としての評価が認められることがあります。たとえば、以下のような要件があげられます。

  1. 建築前の入居者が建築後も入居予定であること
  2. 立ち退き料などが支払われていないこと
  3. 敷金等の支払いがあり、賃貸借契約が存在していること

ただし、新たに建物が完成するまでに時間がかかるため、通常のアパートや賃貸マンションなどでこれらの条件を満たすのは難しいかもしれません。

・小規模宅地等の特例

それでは、土地の評価を最大80%下げることができる「小規模宅地等の特例」は、建築中・建て替え中にも適用されるのでしょうか。
賃貸事業用として「小規模宅地等の特例」を受けられるかどうかは、次の要件を満たしているかどうかがポイントです。

  1. 賃貸事業を行っていた建物を建て替える場合
  2. 建築中の建物が、相続人あるいはその親族の所有であること
  3. 相続した親族が相続税の申告期限まで、その土地を所有し賃貸事業を継続していること

小規模宅地等の減額については、賃貸住宅の建て替えは事業継続に必要不可欠なものであるという観点から、事業の準備状況を見て判断されるのが一般的です。
賃貸住宅の建て替え時に発生した相続においては、これらの評価の違いが影響します。そのため、事前に理解しておくことが大切です。

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ケーススタディで学ぶ!建築中の相続と不動産評価

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解体中や建築中の賃貸住宅において相続が発生した場合の評価方法は状況によって異なります。ここでは、具体的なケーススタディで評価額の変化と対策を解説します。

1) 入居者の立ち退きが完了した状態

状況:賃貸住宅を建て替えるため、入居者の立ち退きが完了した状態で相続が発生。
評価:この場合、建物は存在するものの使用されていない状態となります。継続的に賃貸されていたアパート等が一時的に空室となっている場合、一定の条件を満たせば賃貸中とみなされることがありますが、立ち退き完了後で新たな賃貸契約が未定の場合は、原則として貸家建付地ではなく、自用地として土地は評価されます。
事業の継続性が確認されることで「貸付事業用宅地等」として評価され、小規模宅地等の特例の対象になる可能性があります。
また、事実上使用されていない空き家状態の場合、建物は原則として「貸家」としてではなく、「自用家屋」として評価されます。
対策:入居者が立ち退き後も賃貸経営の計画が明確であることを示す資料(建築計画書や契約書)を準備しておくことが重要です。

2) 旧建物を解体して更地になった場合

状況:旧建物を解体し、新しい賃貸住宅の用地として整地している最中に相続が発生。
評価:更地の場合は、建築前の賃借人との賃貸借契約の締結等が確認できない限りは、原則として「自用地」として評価されます。賃貸事業としての評価減が認められないため、建物がある場合に比べて土地の評価額が高くなり、課税額が増加する可能性があります。
一方、小規模宅地等の特例については、事業の継続性が確認されることで「貸付事業用宅地等」として評価される可能性があります。
対策:解体後すぐに建築を開始する計画書や契約書を整えておき、賃貸経営が継続されることを明確にしておくことが重要です。

3) 新しい賃貸住宅を建築中

状況:被相続人が生前立退料を支払うなどして入居者に立ち退いてもらったあと、旧建物を解体し、新たな賃貸住宅を建築中に相続が発生。
評価:土地については、まだ貸付の用に供されていないため、原則として貸家建付地ではなく「自用地」として評価されます。
一方、建築中の建物における賃貸事業の計画が示されていれば、小規模宅地等の特例において「貸付事業用宅地等」と評価される可能性があります。
建築中の建物については、前述したように工事の進捗度に応じて評価され、具体的には、工事に投下された建築費用の70%が建物の評価額となります。たとえば、建築費用が3,000万円で、進捗度が50%の場合、建物評価額 = 3,000万円 × 0.5 × 0.7 = 1,050万円となり、この価格を課税時期の価格に引き直した額が評価額となります。
対策:建築の進捗状況を示す書類(工事契約書、工事進捗報告書)を用意し、将来的な賃貸事業の意思を証明することが大切です。

4) 賃貸住宅が完成後、入居者がいない状態
状況:建て替えによって賃貸住宅が完成後、入居者を募集中の段階で相続が発生。
評価:賃貸用住宅が完成しているものの、入居者がいない場合、貸家建付地としての評価減が適用されるかどうかは状況によります。たとえば、入居者と賃貸借契約が締結している場合は、「貸家建付地」として評価可能ですが、賃貸借予約契約の場合は事実上の契約締結と認めることはできないので、貸家建付地として評価されない場合があります。
一方、小規模宅地等の特例においては、継続して賃貸目的が明確になっているため「貸付事業用宅地等」と評価される可能性が高いと言えます。
また、建物については、事実上入居者がいない状態であるため、原則として「貸家」ではなく「自用家屋」とみなされますが、貸家建付地として評価された場合は、貸家建付地の土地と建物として相続税評価が行われます。
対策:賃貸借契約書や入居募集の証拠を提出し、賃貸経営の意思を示すほか、賃貸住宅の完成後は、すぐに入居者募集を開始することが重要です。

各ケースにおける評価方法や適用条件については、国税庁の公式サイトなどを参照することをおすすめします。また、具体的な状況に応じて税理士などの専門家に相談することが重要です。

国税庁 貸家建付地の評価
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hyoka/4614.htm?utm_source=chatgpt.com

国税庁 貸家が空き家となっている場合の貸家建付地の評価
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hyoka/04/11.htm

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建築中に相続が起きても慌てないためのポイント

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建築中の相続は誰にでも起こり得る問題であり、あらかじめ対策を練っておくことが大切です。ここでは、具体的にどのような準備をしておくとよいかを解説します。

1) 建築中に相続が発生する可能性を想定した事前対策

・遺言書の作成:賃貸住宅を建て替えるために準備をしていても、立ち退き後の空き家や更地の状態では「賃貸目的」かどうかは判断しづらい場合があります。具体的に建築計画を記載し、賃貸住宅経営の意思を明確にしておくことが大切です。

・建築計画書・契約書の準備:賃貸事業が建て替え後も継続されることを証明する「建築計画書」や「契約書」などの書類を事前に整えておきます。特に契約書には「賃貸目的」を明確に記載することで、後々の税務署対応がスムーズになります。

・資金計画と専門家のサポート:万が一、建築中に相続が発生した際の相談先を親族間で共有しておくことも大切なポイントです。税理士や司法書士、ハウスメーカーや不動産の専門家と連携し、信託の活用や保険の利用を含めて資金計画を立て、無理のない相続対策を実施しましょう。

2) 建築中の相続事例をチェック!

賃貸住宅の建築中や建て替え中に発生した相続にはどのようなケースがあるのか、実際にあった事例をチェックしてシミュレーションしておくことも大切です。パナソニックホームズでは、建築中に相続が発生した際の具体的な事例を動画でご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

・建築中に相続が発生するも、母の想いを受け継いだ賃貸住宅

道路整備計画のため、庭にあった見事な桜の木をやむなく伐採することになったオーナーさまのお母さま。随所に桜の面影を設計に取り入れたパナソニック ホームズのプランをお気に召し、残った土地での賃貸住宅経営をご決断されました。しかし、完成を待たずにお母さまが亡くなり、相続が発生しました。そんな中でも、ノウハウ豊富なパナソニック ホームズがサポート。オーナーさまが慌てることなく、お母さまの想いを受け継いだ賃貸住宅が完成しました。

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【まとめ】

賃貸住宅の建築中に相続が発生すると、不動産評価や相続税に大きな影響を与えます。建築段階や土地の状態によって評価が変わるため、事前の準備が何より重要です。専門家と相談しながら、的確な対策を立て、将来の相続に備えましょう。

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