住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
賃貸住宅経営をする際に知っておきたいのは、税務申告と事業規模の関係です。
賃貸住宅経営の事業形態は、基本的に個人事業主か法人として行うものに分かれます。
なお、「個人経営」と「個人事業主」は似た概念ですが、法律上では異なっていることに注意が必要です。個人事業主は法人を設立せずに個人で事業を営む人を指し、税務署への開業届の提出が必要です。一方、個人経営は個人事業主よりも広い概念で、法人を設立している場合も含まれます。
法人の場合は、法人を設立し、建物のみか土地建物の両方を保有、会社事業として賃貸住宅経営を行うことになります。
個人事業主か法人かによって異なるものに、税務申告の方法があり、大きく以下の3つに区分できます。
①個人事業主で白色申告(例:ワンルームマンション1~2室を所有・経営)
②個人事業主で青色申告(例:アパート10室や戸建5棟程度を所有・経営)
③法人として法人決算(例:複数のアパートを所有し、年間所得が一定額を超えている)
「白色申告」「青色申告」とは、確定申告の種類を指し、「青色申告」には多数のメリットがある一方、基本的に申告には多数の提出書類が必要で、手続きが複雑になっています。
ただし、青色申告を実施するためには、賃貸住宅経営の規模が「事業として認められる水準」に達している必要があります。
①と②の白色申告と青色申告を分ける基準として、税務署がオーナーさまの賃貸住宅経営を「事業的規模」としてみなすか否か、というものがあります。
そのための判断基準として広く知られているのが、「5棟10室基準」です。基本的には以下のような条件で判断されます。
「戸建5棟以上、もしくは集合住宅10室以上、またはこれらの組み合わせ」
ここで重要なのは「もしくは」という点です。
戸建5棟と集合住宅10室の両方を満たす必要はなく、どちらか一方の基準を満たしていれば「事業的規模」として認定される可能性があります。
また、戸建と集合住宅を組み合わせて経営している場合は、注意が必要です。
戸建1棟は集合住宅2室に相当すると考えられているため、たとえば「戸建2棟と集合住宅6室」のような組み合わせでも基準を満たすことになります。
なお、さらに駐車場も経営している場合、5台分の駐車スペースが集合住宅1室に相当するとされています。
注意が必要なのは、「5棟10室」はあくまでも形式的な基準だという点です。実際の判断では「おおむね10室以上」という基準が適用されており、最終的には確定申告時に税務署が個別に判断します。
なお、管理形態については、自主管理であっても、管理会社に委託していても、一括借り上げ方式であっても、判断基準に影響はありません。
賃貸住宅経営を個人事業主として行う場合、青色申告を選択することでさまざまな税務上のメリットを受けることができます。具体的なメリットと条件について詳しく解説していきましょう。
最大の特徴は、不動産所得からの特別控除です。必要経費を差し引いた不動産所得から、さらに最大65万円を控除することができます。
白色申告の控除額は最大10万円であるため、大幅な節税になるといえるでしょう。
家族従業員への給与支払いを経費として認められるのも大きな特徴です。例えば、配偶者や子どもが賃貸住宅物件の管理業務を手伝っている場合、その労働の対価として支払う給与を必要経費として計上できます。
さらに、賃貸住宅経営特有の問題である家賃の未回収にも対応できます。入居者からの家賃が回収不能となった場合、その金額を必要経費として算入できます。
また、建物の取り壊しなどによる損失が発生した場合も、全額を経費として計上することが可能です。
不動産所得と他の所得を合算して赤字になった場合(純損失)、3年間までなら翌年に繰り越し、前年分の所得に対する所得税に控除を受けることができます。
このようにさまざまなメリットがありますが、青色申告をするためには、事前に税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要がある他、複式簿記による記帳が必要です。
また、具体的な申告方法や経費の計上については、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
個人事業主として賃貸住宅を経営する場合、インボイス登録は基本的には必要ありません。
これは、インボイス制度が、「消費税の取引」を管理・記録するための仕組みであるためです。居住用の賃貸は税務上「生活必需品」として扱われるため、消費税がかからない「非課税取引」の対象となっています。
ただし、物件の一部を事務所用として貸し出している場合は注意が必要です。事務所用途での賃貸は課税取引となるため、この場合はインボイス制度への対応が必要となる可能性があります。
青色申告にはさまざまなメリットがあるため、以下のような場合、「事業的規模」と認められるまで賃貸住宅経営の規模拡大を検討してみましょう。
もし建て替える際には、事業的規模と認められる範囲まで増室を検討してみてもよいでしょう。さらに前述の「駐車場は5台分で集合住宅1室とみなされる」ことを利用して、駐車場も追加して経営することで、すぐに青色申告に切り替えることも考えられます。
青色申告では経費として認められる範囲が広く、より効果的な節税が可能になるため、ぜひ事業規模の拡大を検討してみてください。
専従者給与の規定を使って適切な給与を支払えます。
ただし、事業拡大を検討する際は、賃貸住宅経営以外の収入状況も考慮する必要があります。たとえば、賃貸住宅経営の他にも所得がある場合(給与所得など)、所得額によっては青色申告による節税効果が期待したほど得られない可能性もあります。
また、事業拡大には新たな資金調達や物件管理の負担増加も伴います。これらの負担を加味したうえでも、青色申告でメリットが生じるかどうかを、総合的に判断しましょう。それらを判断する際、税理士に相談してみましょう。
【まとめ】
賃貸住宅経営は事業規模に応じて、税務申告の方法が異なり、控除等にも違いがあります。
その際、「5棟10室基準」は、事業的規模を判断する重要な指標となっています。この基準を満たすことで青色申告が可能となり、さまざまな税務上のメリットを受けることができます。
ただし、経営形態の選択は、賃貸住宅経営からの収入だけでなく、他の収入源も含めた総合的な判断が必要です。また、事業拡大に伴う資金調達や物件管理の負担も考慮しなければなりません。
そのため、事業計画の立案には税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
パナソニック ホームズでは、土地の有効活用の提案からサブリース契約まで、安定した賃貸住宅経営をトータルでサポートしています。
適切な専門家のアドバイスを受けながら、自身の状況に的確な経営形態を選択し、長期的な視点で事業を展開していくことを忘れないようにしましょう。