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賃貸住宅経営における原状回復費用とは?知っておきたい経年劣化の知識

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【目次】

賃貸住宅経営で重要になる「原状回復」と「経年劣化」とは?

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賃貸住宅の賃借人(入居者)が退去する際に、入居者は住んでいた部屋を「あるべき状態」に戻して返還しないといけないという「原状回復義務」があります。
しかし、原状回復の際にどこまで入居者が負担すべきか長年明示されていなかったことが原因で、トラブルが多発していました。そのため建設省(現:国土交通省)は、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(以下、「ガイドライン」)を1998年に公開。「ガイドライン」を国土交通省が数度改訂した後、2020年に民法が改正されたことにより、2025年現在「原状回復義務」の範囲はある程度明確になっています。

1)「原状回復」とは?

原状回復とは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」だと国土交通省では定義しています。
つまり、以下のよう行為で部屋を汚損した場合のみ、入居者(賃借人)は復旧する義務があると定められているということです。
・「故意・過失」=明らかな故意や入居者に落ち度のあるミス
例)入居者が引っ越しや模様替え時などで、床や壁につけてしまった傷

・「善管注意義務違反」=日々の手入れを怠ったことが原因の汚損など
例)窓の結露への対応を長期間怠ったことによるカビ

・「その他通常の使用を超えるような使用」=無断リフォームやDIY(賃貸借契約で許可されている物件を除く)
例)自分で照明を増設するために、壁紙の下のボードにまで貫通する穴を開けた場合など

2) オーナーさま負担で修繕することになる「経年劣化」とは?

「ガイドライン」で示された、入居者の過失にあたらない、「一般的な生活を行っていれば当然発生する損傷」を「経年劣化」と言います。
経年劣化の代表的なものは、時間の経過による床や壁紙の変色が挙げられます。ただし、ペットやタバコによる壁紙の変化は経年劣化には含まれません。
また、建物の構造上やむを得ない部分も、入居者の過失にはあたらないと見なされます。例えば、日当たりの良い室内の壁紙や床に発生した日焼けも、経年劣化にあたります。
もちろん入居者の過失にあたらない損傷というのは、傷だけでなくエアコン内部などの汚れにも適用されるため、一般的な使用方法によるクリーニング費用はオーナーさま負担になります。

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補修箇所に応じた、オーナーさまと入居者の負担割合について

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入居者の故意・過失による損傷は入居者の負担で修繕する、というルールを説明しました。しかし、入居者に責任がある場合でも、入居者が全額負担はせずにオーナーさまも修繕費を負担しなければならない場合があります。
それは、入居者の過失によって損傷した箇所を修繕すると、経年劣化も修繕されてしまう場合です。

例えば、入居者が故意・過失によってフローリングを汚してしまった場合、次の入居者のことを考えて、汚れた部分だけでなく、フローリング全体の張り替えをオーナーさまが選択した場合、入居者は自身が汚した部分以外の張り替え費用を負担する必要はないと定められています。
理由としては、経年劣化を修繕するための費用は、毎月の家賃収入や管理費などに含まれていると考えることが一般的だからです。もし、入居者がフローリング全体にわたって張り替え費用を負担してしまうと、原状回復の範疇を越えて、経年劣化分の補修費用を二重に支払うことになります。

そこで、「ガイドライン」では、一部を汚してしまい全面張り替えすることになった壁や床などについて、面積で測れる箇所については、入居者が汚してしまった面積に換算して負担割合を決めることになると定められています。

また、入居者から見ると、賃借期間が長いほどその間に経年劣化が進むにもかかわらず、短期間しか入居していなかったり、新たに建築されたばかりの頃に入居した入居者と同じ負担額になるのは不平等に感じます。
そのため「経過年数」という考え方が導入されています。
これは各設備が法定耐用年数を経過したら残存価値が1円になるとして、経過年数(基本的に入居年数に等しいが、入居時の築年数に応じて変動)を考慮して負担割合を算出するものです。
「ガイドライン」で例として挙げられている法定耐用年数を紹介すると、
・流し台…5年
・カーペット・壁(クロス)・エアコンなど冷暖房設備・ガスコンロなどのガス機器、インターホンなど…6年
・主として金属製以外の家具(戸棚など)…8年
・便器・洗面台といった給排水設備など…15年
のようになっています。
ただし、シューズボックスやユニットバスなど建物と切り離せないものは、建物自体の耐用年数で考えます。

具体的な負担割合はどうなる?

例えば入居者が新築の賃貸住宅に入居し、ちょうど3年で退去した場合における、原状回復義務がある(入居者に過失があって壊してしまった)エアコンの扱いを例に見てみましょう。

・エアコンは耐用年数6年
・入居者は新築の賃貸住宅に3年間入居していたため、経過年数3年
・耐用年数6年のものは、経過年数3年で借主負担割合が約50%
→オーナーさまと入居者で修繕費用約50%ずつ負担

このように、入居者とオーナーさまでそれぞれ約50%負担になります。
ただし経過年数はあくまで賃貸住宅が建てられてからのもので、入居前の経年や張り替えによって変動します。

なお、負担割合を算出する際、経過年数が関係ない箇所もあります。
それは畳表・ふすま・障子のような消耗品としてみなされるものなどです。
これらは経過年数に関係なく、入居者が損傷してしまった部分を枚数単位で全額負担してもらうことができます。

経過年数による負担割合については、東京都住宅政策本部の「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」も参考にしてみてください。
https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/juutakuseisaku/310-6-jyuutaku?2022=

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日頃から経年劣化に対して備える工夫が必要

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ここまでの説明のように、入居者の退去ごとのクリーニング費用やメンテナンスだけでなく、入居者の過失による損傷であっても、経年劣化とみなされる部分の補修にはオーナーさまの費用負担が発生します。
それらのコストに備え、クリーニングやメンテナンスのための費用を常日頃から積み立てておくことが重要です。

そのため、経営している賃貸住宅について、補修が必要となる可能性のある箇所や設備のリストを作っておき、補修が必要になった場合にどのくらいのコストがかかるのか予め把握しておくことが重要です。

またコストの把握だけでなく、入居者との間で補修費用の負担割合についてトラブルが起こりにくい環境を作っておくとよいでしょう。例えば、入居希望者が入居する前に、オーナーさまと一緒に室内の状態を確認しておくと確実です。オーナーさまと入居者の間で入居前に既に経年劣化していた箇所と入居中に破損した箇所の見分けがつくようにしておくと、退去の際にトラブルになることを未然に防止できます。
「ガイドライン」には、入居者とオーナーさまの間でのトラブル回避を目的とした経年劣化状況についてのチェックリストの一例が掲載されているため、こちらを活用してみてもいいでしょう。

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【まとめ】

基本的にオーナーさま負担で行う修繕やクリーニング費用に加えて、入居者の故意・過失による損傷を修繕する場合も、経年劣化の状況によってはオーナーさまも一部の割合を負担して修繕することがあります。トラブル防止を兼ねて、入居前に入居希望者と一緒に経年劣化の状況を確認しておくなどの工夫をしながら、修繕費用の積み立てにより対応できるようにしておきましょう。
今回ご紹介しなかった負担割合の形態として、「原状回復特約」と呼ばれる、賃貸借契約に入居者にクリーニング費用などを負担してもらう特約を盛り込んだ場合があります。しかし特約に関するトラブルが多発したことで、入居者に拒否されずに負担してもらえるような特約を設定するためには様々な条件が存在しています。もし原状回復特約を設定したい場合、必ず弁護士などに事前に相談しておきましょう。

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