住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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土地の一部を売却したい場合や、相続した土地を複数の相続人で分け合う場合、あるいは土地の一部を活用して賃貸住宅経営を始めたい場合などに必要となるのが「土地の分筆(ぶんぴつ)」です。
分筆とは、登記簿上で1つの土地として扱われているものを、2つ以上の土地に分割する法的な手続きを指します。しかし、初めて土地活用や不動産売却に直面するオーナーさまにとって、土地の分筆にどれくらいの費用がかかるのか、どのような手続きが必要なのか、全体像を把握するのは非常に難しい問題かもしれません。
土地の分筆には、専門家への依頼費用や測量にかかる費用、そして税金など、多岐にわたるコストが発生します。また、ご所有の土地の広さや形状、隣地との境界確定の状況によって、費用や期間が大きく変動するという複雑な性質を持っています。事前に費用の内訳や相場、高くなる要因を正確に知っておくことで、予期せぬ資金不足や近隣トラブルを防ぎ、安心して手続きを進めることができます。
本記事では、分筆にかかる総費用の相場や詳細な内訳、費用が高くなる要因と安くなる要因、そして実際の手続きの流れや必要書類について、不動産活用の専門的な視点から初心者の方にもわかりやすく網羅的に解説します。ご自身の土地を分筆する際の費用予測や、信頼できる専門家選び、さらには将来の安定した土地活用に向けた参考にしていただければ幸いです。
【目次】

土地の分筆にかかる費用は、一律で定まっているわけではありません。土地の状況や事前準備の有無によって大きく変動しますが、まずは目安となる総額相場と、その費用の構成要素である内訳について詳細に解説します。
土地を分筆するための総額費用は、一般的に数十万円から百数十万円程度が相場とされています。この金額の幅が非常に広い理由は、分筆を行う土地の「境界がすでに確定しているかどうか」に大きく左右されるためです。
反対に、隣地の所有者が行方不明であったり、土地が非常に広大であったりする場合は、測量や調査に膨大な時間がかかるため、総額が100万円を大きく超えることも決して珍しくありません。したがって、オーナーさまご自身の土地が現在どのような状態にあるのかを把握することが、正確な費用予測の第一歩となります。
分筆費用は、大きく分けて「測量費用(境界確定測量)」「分筆登記費用(専門家への報酬)」「登録免許税(税金)」の3つに分類されます。
費用の種類 | 金額の目安 | 概要 |
測量費用 (境界確定費) | 30万円〜 80万円 程度 | 隣地との境界を正確に確定させるための実地測量や、隣地所有者との立ち会い・交渉にかかる費用です。 |
分筆登記費用(報酬) | 5万円〜 10万円 程度 | 国家資格を持つ土地家屋調査士へ支払う、図面作成や法務局への登記申請の代行費用です。 |
登録免許税 (税金) | 1筆につき 1,000円 | 法務局で分筆登記を行う際に、国に納める義務がある税金です。 |

分筆にかかる費用は、土地の個性や周辺の環境、さらには人間関係によって大きく変動します。ご所有の土地の分筆費用が相場より高くなりそうか、あるいは安く抑えられそうかを具体的に予測するための重要な変動要因を解説します。
物理的な土地の状況は、測量の手間と時間に直結するため、費用の増減に大きな影響を与えます。以下のような状況に当てはまる土地は、分筆費用が高額になる傾向があります。
物理的な広さや形状だけでなく、隣地所有者との「人的な関係性」や「権利関係」も、費用と期間に直結する非常に大きな要因です。
高額になりがちな分筆費用ですが、安全性を確保しつつコストを適正に抑えるための実践的な節約ポイントがいくつか存在します。

土地の分筆費用を「誰が支払うべきか」について、法律で明確に定められた義務やルールは存在しません。しかし、分筆を行う目的が相続なのか売却なのかによって、実務上あるいは慣習として定着している負担の考え方があります。
親から引き継いだ広大な土地を、兄弟などの複数の相続人で分割して所有するために分筆する場合、誰が費用を負担するかが問題になりがちです。
最も一般的で公平なのは、分筆によって土地の所有権という利益を得る相続人全員で、取得する面積の割合などに応じて費用を按分(分割)する方法です。また、亡くなった被相続人の預貯金など、その他の相続財産の中から分筆費用を支払い、残った財産を分配するという方法も、後々のトラブルになりにくい手法です。
誰が支払うかで相続人間での感情的なトラブルに発展するリスクがあるため、遺産分割協議の際に「分筆費用をどう負担するか」をしっかりと話し合い、遺産分割協議書に明記しておくことが重要です。また、将来の相続を見据えているオーナーさまであれば、生前にご自身の費用負担で適切な形に分筆しておくことで、残された家族のトラブルを未然に防ぎ、土地の評価額を適正化して相続税の圧縮効果を狙える可能性もあります。
広い土地の一部を切り取って売却する場合や、ハウスメーカーなどが分譲住宅を建てる目的で土地を買い取り、分筆する場合の費用負担です。
不動産の売買においては、売主に対して「境界を明示して引き渡す義務」が課されるのが一般的です。そのため、分筆の前提となる隣地との境界確定測量にかかる高額な費用については、売主であるオーナーさまが負担するケースが大多数を占めます。
一方で、境界が確定した後に「どのように線を引いて分けるか(分筆登記)」については、建物を建てる買主側の希望する形状で行われることが多いため、分筆登記費用そのものは買主が負担するケースが見られます。最終的には当事者間の交渉によって決まるため、不動産売買契約書に「境界確定費用と分筆登記費用をどちらが負担するか」を明確に記載しておくことが不可欠です。
ご自身の所有する広い土地を分筆し、一部を自宅として残しつつ、もう一部にアパートや多層階賃貸住宅を建築して土地活用を始める場合、分筆費用は原則としてオーナーさまご自身の負担となります。
初期投資として測量や分筆登記の費用はかかりますが、土地を明確に分けることで、賃貸住宅部分の収支管理が明確になり、事業計画が立てやすくなるという大きなメリットがあります。
また、パナソニック ホームズが提案する「ビューノ」のような多層階賃貸住宅を建築すれば、限られた面積の土地であっても縦の空間をより有効的に生かし、十分な戸数を確保して安定した家賃収入を得ることが可能になります。分筆費用を事業の初期投資として適切に事業計画に組み込み、長期的な目線でリターンを回収していく視点が求められます。

分筆登記の申請から完了まで、どのようなプロセスを踏むのか、全体像を把握しておくことでスケジュール管理が容易になります。手続きは法的な専門性が非常に高いため、オーナーさまご自身が自力で行うのではなく、国家資格を持つ専門家と二人三脚で進めることになります。
土地の分筆を行うにあたり、まずは「土地家屋調査士」を探して依頼します。土地家屋調査士は、不動産の「表示に関する登記(土地の広さや形状などを法務局の登記簿に反映させる手続き)」に必要な調査や測量を行う法律と技術の専門家です。依頼時には、オーナーさまの本人確認書類を用意し、手続きを代行してもらうための委任状に署名・押印を行います。
依頼を受けた土地家屋調査士は、法務局や市区町村の役所で、その土地に関する「公図」「地積測量図」「過去の登記記録」などのあらゆる資料を収集します。この段階でオーナーさまがわざわざ役所へ出向いて資料を集めたり、同行したりする必要はありません。その後、収集した資料と現地の状況を照らし合わせ、現在の境界線が明確であるかどうかを客観的な視点で分析します。
事前の調査により境界が未確定であると判断された場合は、隣接する土地の所有者全員に連絡を取り、現地での「境界立ち会い」を実施します。双方の合意が形成されたら、現地のその地点に永続的な「境界標」を打ち込んで設置します。同時に、合意した境界線を図面で明確に示した「境界確認書」を作成し、隣地所有者とオーナーさまの双方が署名と実印での押印を行い、互いに書類を保管します。
境界確定が完了し、分筆するための新しい境界線(分割線)が決まったら、土地家屋調査士が法務局に提出するための「地積測量図」と「登記申請書」を作成します。すべての書類が揃ったら、管轄の法務局へ登録免許税を納付し、分筆登記の申請を行います。法務局での審査が通れば、新しく生まれた土地に新たな「地番」が割り振られ、手続きは完了となります。
手続きを円滑に進めるためには、どのような書類が必要で、どれくらいの期間がかかるのかをあらかじめ知っておくことが役立ちます。
分筆登記にあたって必要となる主な書類は以下の通りです。専門的な書類の大半は土地家屋調査士が作成するため、オーナーさまが行うべきことは、本人確認書類の提示と、委任状や境界確認書への署名・押印作業となります。
書類名 | 内容・目的 | 手配・作成する人 |
登記申請書 | 申請者の氏名、登録免許税額、申請理由などを記載した公的な申請書です。 | 土地家屋調査士 |
地積測量図 | 土地の地番、面積の計算方法、正確な寸法、測量年月日などが記載された精密な図面です。 | 土地家屋調査士 |
境界確定資料 | 隣地所有者と交わした「筆界確認書」や「境界同意書」。境界が確定していることの証明です。 | 土地家屋調査士 |
現地案内図 | 現地の場所が客観的にわかる地図などの資料です。 | 土地家屋調査士 |
代理権限証書 (委任状) | 土地家屋調査士に手続きを代行してもらうことを証明する委任状です。 | オーナーさま (署名・押印) |
本人確認書類 | オーナーさまの身元を証明する書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)です。 | オーナーさま |
全体の期間としては、土地の境界がどのような状態にあるかによって大幅に異なります。

どのような土地でも、オーナーさまの好きなように自由に分筆できるわけではありません。法律や自治体の条例によって、以下のような条件に当てはまる分筆は制限されています。
不動産登記のシステム上、土地の面積を記録できる最小単位は「0.01㎡(100分の1平方メートル)」と厳密に定められています。そのため、分筆によって新しくできる土地の面積がこれより小さくなるような、極端に細かい分筆は法的に認められません。
分筆の絶対条件として、土地の外周すべての境界が確定している必要があります。隣地所有者が不明であったり、境界の合意を頑なに拒否されたりする場合、通常の手続きでは申請ができません。このようなケースでは「筆界特定制度」を利用して法務局に境界を特定してもらうか、裁判手続きを踏むなどの抜本的な解決策を講じる必要があります。
著しく不合理な分け方をして分筆することは「不合理分割」と呼ばれ、税務上あるいは行政指導上、認められないケースがあります。具体的には以下の通りです。
これらが不合理分割と判定された場合、分筆自体が差し止められたり、税務署から「分筆前の元の土地全体」を基準として高い税額を課されたりするペナルティを受ける可能性があります。
自治体の都市計画や地区計画によって、良好な住環境を保つために「建物を建てるための敷地は〇〇㎡以上なければならない」という『最低敷地面積』が条例で定められている地域があります。このような制限がある地域で基準を下回る面積になるように分筆してしまうと、新しく建物を建築できなくなり、土地としての資産価値が激減してしまいます。管轄の自治体における制限を必ず事前に確認する必要があります。

最後に、土地の分筆において失敗やトラブルを避けるための、信頼できる専門家の選び方について解説します。
土地家屋調査士の報酬は自由化されており、事務所によって価格設定が異なります。不動産会社や建築会社から紹介された1社だけで決めてしまうと、相応の相場感を把握できないまま、割高な費用を支払ってしまう可能性があります。最低でも2〜3社の事務所から相見積もりを取り、見積もりの内訳が明瞭か、質問に対して丁寧に答えてくれるかを比較し、信頼して任せられるパートナーを見極めましょう。
測量や境界立ち会いは、専門的な法知識と高度な測量技術、そして隣人との繊細なコミュニケーションが求められる重要な業務です。報酬が極端に安い事務所の中には、有資格者である土地家屋調査士本人が現場に赴かず、無資格の補助者に業務を丸投げしているケースが存在します。不十分なチェックのまま強引に境界を決めてしまうと、後日深刻な境界トラブルに発展する恐れがあります。実績があり、倫理観を持った信頼できる専門家を選ぶことが最も安心できる選択です。
費用を節約したいという思いから、「自分で法務局へ行って手続きをすれば安く済むのではないか」と考えるオーナーさまもいらっしゃるかもしれません。しかし、分筆登記にはミリ単位の正確な測量と、法律の要件を満たした高度な図面の作成が不可欠です。また、隣人との境界立ち会い交渉には客観的な第三者の存在が不可欠であり、素人が当事者同士で話し合うと感情的なこじれを生む原因となります。正確な登記ができず将来に禍根を残すことにもなるため、必ず専門家である土地家屋調査士に依頼するようにしましょう。
土地の分筆は、将来の売却や相続をスムーズに進め、大切な資産を守り活用するための重要なプロセスです。費用の総額相場は数十万円から百万円を超えることもあり、その大部分は「境界確定測量」と「専門家への報酬」が占めます。分筆にかかる費用や期間は、隣地との関係性や土地の形状に大きく左右されるため、ご自身の土地の状況を事前に把握し、予測を立てておくことが大切です。
また、分筆費用を安く抑えるためには、過去の測量資料を活用したり、複数の土地家屋調査士から相見積もりを取って比較検討することが有効ですが、安さだけで依頼先を決めるのは避け、実績と信頼性を重視して選ぶことが将来の安心につながります。
土地の分筆を含め、アパート経営や多層階賃貸住宅による土地活用、あるいは相続税対策などの長期的な事業計画にご不安や疑問をお持ちのオーナーさまは、建築や不動産活用のプロフェッショナルに相談することで、より有利で確実な選択肢を見つけることができます。土地のポテンシャルを最大限に引き出すための第一歩として、ぜひ専門家の知見をご活用ください。
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