住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
中庭のある住まいは開放的でのびのびとした暮らしができる一方で、排水の問題が懸念されます。
豪雨や豪雪に見舞われても良好な状態を維持できるよう、十分な排水対策が施された中庭をプランニングしましょう。
中庭の排水計画における注意点やメリット・デメリット、中庭のある住まいの建築実例などを紹介しますのでぜひ参考にしてください。
中庭の代表的な形状である「ロの字型」「コの字型」「L字型」のうち、四方が建物の壁で囲まれているロの字型の中庭は、雨水が特に溜まりやすいタイプです。排水計画が不十分であると水はけの悪さから湿気がこもり、コケやカビ、虫などが発生する恐れがあります。
また、落ち葉や泥が堆積すると排水設備が詰まる可能性があるため、定期的なメンテナンスも欠かせません。
近年はゲリラ豪雨や急な降雪に見舞われるケースも多いことを考慮し、中庭の形状や地域に関係なく、設計の段階で排水設備を整えておきましょう。
中庭の排水計画を立てる際に、注意すべきポイントをいくつか紹介します。
いずれも設計の段階で取り入れる必要があるため、家づくりを始める前に要点を押さえておきましょう。
中庭を設置するにあたってぜひ採用を検討してほしいのが、雨水の排水を促すための勾配です。
一戸建て住宅の玄関ポーチや駐車場に、道路や側溝に向かう緩やかな傾斜があるのは、実は排水対策の一環です。
中庭においても、雨水が排水溝へ流れるように緩やかな勾配を設けましょう。
施工の際、中庭にどのような排水処理が施されるのかを事前に確認しましょう。
排水処理には「排水式」と「浸透式」の2種類があり、基本的に排水式が採用されます。排水式とは、中庭の1か所あるいは複数箇所へ排水溝を設置し、雨水を側溝へ流して排水を促す方法です。土地の地盤状況によっては、雨水を地面に吸い込ませる浸透式が採用される場合もあります。
排水式の場合、中庭全体にウッドデッキを被せると排水溝のメンテナンスが難しくなります。メンテナンスのしやすさも考慮して、排水処理の方法をあらかじめ確認しておきましょう。
落ち葉や泥の堆積によって排水溝が詰まると、計画通りに排水されず中庭に水が溜まる恐れがあります。定期的な清掃を心がけ、雨水が円滑に流れているかどうかを確認してください。うまく排水されなくなってしまった場合は、専門業者へ早めに相談しましょう。
中庭の床仕上げ材はバリエーションが豊富ですが、素材によっては雨水を浸透しきれない可能性があるため注意が必要です。モルタルや石張り、レンガ敷などにする場合は、雨水の排水を促すための勾配が欠かせません。
素材によって費用も大きく異なるため、予算と相談しながら最適なものを選びましょう。
中庭には、排水問題のほかにもいくつかデメリットがあります。
設置して後悔することがないよう、事前に理解したうえで設置の必要性を検討しましょう。
中庭のある住まいは建物の形状が複雑になりやすく、外壁の面積も大きくなるため建築費用が高くなる傾向にあります。一般的にはロの字型が最も高額で、L字型が安くなります。
中庭に設置する屋外照明や、給排水設備にかかる設備・工事費用についても考慮しておかなければなりません。また、中庭へ面する壁に設ける窓ガラスやサッシ、壁の強度補強にもそれぞれ費用がかかります。
さらに、中庭のある住まいには外壁や窓ガラスといったメンテナンスを要する部分が多く、修繕費がかさむ可能性が高いです。予算と相談しながら設置の必要性を改めて検討しましょう。
中庭を設けると、建物に利用できる敷地が必然的に狭くなり生活スペースが削られます。間取りの自由度も低下し、不便な生活動線になってしまうかもしれません。
特に狭小住宅の場合、ただでさえネックである生活スペースの確保が、中庭の設置によってさらに困難になってしまいます。ある程度の広い土地が確保できない場合は、家族に必要な部屋数と広さを考慮したうえで、中庭の設置が可能かどうかを検討しましょう。
中庭を設置することで、魅力あふれる素敵な住まいが完成します。
具体的なメリットを紹介しますので、中庭のある住まいをイメージしながらぜひご覧ください。
中庭があることで、建物の表面積が大きくなり開口部を設けやすくなります。
一戸建て住宅では採光確保のためには建物の南側へ大きな窓を取り付けるのが一般的ですが、中庭があれば方角や近隣環境に関係なく開口部を設置できます。日当たりの問題が生じやすい北側の部屋や奥まった空間にも、効率的に自然光や外気を取り込めるでしょう。
また、開口部が増えることで視界が外に開けて、室内が広々とした開放的な空間に感じられるのも中庭の大きなメリットです。ウッドデッキを取り付けて室内と中庭の高さをそろえれば、より大きな開放感を得られるでしょう。
中庭のある住まいは、その形状から部屋同士が向かい合わせになりやすいです。大きな開口部が設置されていることも相まって、離れた場所にいても家族の気配を感じやすいでしょう。
目が離せない小さな子どもや、高齢者のいる家庭にとって安心安全の住まいを実現できます。
単なる向かい合わせではなく、中庭を介することによって適度な距離感を維持できるのもメリットです。家庭内のプライバシーをほどよく守れるため、生活スタイルの違いが生じやすい二世帯住宅などにも適した間取りです。
幅広い用途に活用できる中庭は、アウトドアや趣味を楽しむスペースとして重宝します。
荷物をまとめて外出しなくとも、バーベキューやおうちキャンプが手軽にできるのは魅力的ではないでしょうか。室内では難しいDIYやガーデニングなども、屋外空間の中庭であれば気兼ねなく楽しめます。
また、建物の形状によっては外部からの視線を完全にシャットアウトでき、周囲を気にすることなく子どもを遊ばせたり部屋着でくつろいだりできるのも中庭のメリットです。
特にロの字型の配置には、家族のプライバシーを守れるだけでなく、バーベキューの煙やDIYの作業音の影響を外部へ与えにくいという利点があります。
家族のプライベート空間でアウトドアや趣味を満喫したい人は、中庭の設置をぜひ検討してください。
最後に、中庭がある住まいの間取り実例を写真付きで紹介します。
こだわりのポイントも解説していますので、設計のヒントを見つけて理想の中庭付き注文住宅を実現しましょう。
こちらは中庭の3面が建物で囲まれた、コの字型の平屋の住まいです。
正面の道路からは中庭の様子が見えにくい設計であるため、人目を気にせず子どもを遊ばせたりバーベキューを楽しんだりできるプライベート空間が完成しています。
中庭からの自然光が差し込むLDKは開放的で明るく、中庭の様子を見ながら家事ができるのもポイントです。玄関からLDKへと続く廊下には、腰掛けて中庭を眺められる空間も設けられています。
水回りを一続きに配置した家事のしやすい間取りや、適所に設けられた収納により、快適で心地よい住まいを実現した間取り実例です。
こちらは中庭にたたずむ樹齢70年以上の梅の古木が印象的な、和風の2階建て住宅です。屋根や外構も和風にこだわり、和室に面したコの字型の中庭も和のテイストで統一されています。
中庭に面する部分には大きな開口部が複数設けられており、採光をたっぷりと確保できる設計が特徴です。南側の一部を平屋にすることによって、日当たりが心配な空間にも光を取り込める住まいが完成しています。
採光たっぷり和風の中庭を設けたコの字型の2階建ての建築実例を見る
中庭のある住まいに懸念される排水の問題は、設計時にいくつかの対策を施すことで解消できます。外部の目が届きにくいプライベート空間で、アウトドアや趣味を楽しみたい人は中庭の設置を検討してはいかがでしょうか。
メリットとデメリットの両方を理解し、中庭での過ごし方を明確にしたうえで設計を進めることが大切です。本記事で紹介した実例からもヒントを見つけて、中庭のある魅力的な住まいを手に入れましょう。