住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
理想の土地に自由な間取りやデザインを採用できる注文住宅で、ビルトインガレージのある住まいを実現したい方もいるのではないでしょうか。
しかし、建ぺい率や容積率についての理解が不足していると、設計の段階で間取りが制限されて後悔を招く可能性があります。
そこで本記事では、ビルトインガレージを設けた場合の建ぺい率・容積率への影響や、ビルトインガレージのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
「建ぺい率」とは敷地面積に対する建築面積の割合のことで、その土地に建築できる建物の大きさの上限を示します。日当たりや風通しの確保、火災発生時の延焼リスクを減らすことを主な目的として、建築基準法によって定められています。
建ぺい率は都市計画法で定められた用途地域によって異なり、建築可能な面積の上限は「敷地面積×建ぺい率」という計算式で求められます。たとえば「敷地面積50坪・建ぺい率80%」の土地で家づくりをする場合は、40坪の建物が上限です。
柱と屋根がある設備は建築物とみなされるため、ビルトインガレージの面積も原則として建ぺい率の計算に含まれます。
以下の条件を満たす場合は建ぺい率の緩和措置を受けられますが、4点すべてに該当するビルトインガレージを設計することは一般的には難しいでしょう。
・外壁のない部分が4m以上続いていること
・柱の間隔が2m以上あること
・天井の高さが2.1m以上あること
・地階を除いた階数が1であること
容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合のことで、用途地域ごとに上限が定められています。
容積率を求める計算式は「延床面積÷敷地面積×100」で、建築可能な延床面積の上限は「敷地面積×容積率」という計算式によって求められます。たとえば「敷地面積50坪・容積率200%」の土地で家づくりをする場合は、延床面積60坪を上限とした建物を建築できます。
ただし、用途地域で定められた容積率の上限(指定容積率)が、道路幅員から求められる容積率(基準容積率)と異なる場合は、厳しい方の制限が適用されるため注意が必要です。
ビルトインガレージは容積率の緩和措置を受けることができ、延床面積の5分の1を上限として容積率の計算から除外できます。たとえば前項で計算した「敷地面積50坪・容積率200%の土地で延床面積の上限が60坪」の住まいを建てる場合、5分の1である12坪までのガレージは容積率の計算から除外されます。
容積率の緩和措置を受けることによって居住空間を確保しやすくなるため、容積率の低い土地や狭小地で家づくりをする際は活用を検討するとよいでしょう。
ビルトインガレージには、日々の暮らしを快適にするための魅力が複数あります。
具体的なメリットを紹介しますので、駐車スペースの設置を検討している人はぜひ参考にしてください。
ビルトインガレージの最大のメリットは、さまざまなトラブルから愛車を守れる点です。
シャッターやドアを取り付けて鍵をかければ、防犯性が向上して盗難やいたずらに遭うリスクを
抑えられます。また、風雨や台風などの自然災害、紫外線や黄砂といった飛散物の影響を受けにくい点もビルトインガレージならではの魅力です。
車体の傷や色あせを最小限に抑えて、大切な車を良好な状態で保有し続けられるでしょう。
ビルトインガレージは駐車スペースが建物に組み込まれているため、雨の日も濡れることなく車の乗り降りができます。
乗り降りに時間のかかる小さな子どもや、車いすを利用する家族がいても天候を気にすることなく車で外出できます。ガレージにつながる勝手口をキッチンやパントリーの近くに設けることで、買い物帰りに荷物を降ろして収納するまでの動線がスムーズになるというメリットもあります。
ビルトインガレージは建物と別に駐車スペースを確保する必要がないため、敷地の広さが限られている場合にも有効な選択肢です。
敷地内に駐車スペースを設けることで近隣の月極駐車場を借りる必要がなくなり、駐車場代の節約につながる場合もあります。ランニングコストを抑えつつ、家族の目が届きやすい場所に駐車スペースを設置できるのは大きなメリットといえるでしょう。
ビルトインガレージは、車の保管だけでなくさまざまな用途に活用できる点もメリットのひとつです。
たとえば、広めのスペースを確保して工具を置いておけば、車のメンテナンスやDIYなどの趣味スペースとして活用できます。車をガレージの外へ移動してシャッターを閉め、バーベキューや子ども用プールを楽しむこともできます。
用途に合わせて、適切な広さや設備のあるビルトインガレージを設計しましょう。
ビルトインガレージに面する壁をガラス張りにすれば、室内から愛車を観賞できます。たとえば、リビングとガレージを大きな窓で隔てることによって、お酒や読書を楽しみながら愛車を眺められるショールームのような空間をつくることができます。
ビルトインガレージには多くのメリットがある一方で、デメリットもいくつかあります。
メリットとデメリットの両方を理解したうえで必要性を検討し、設置の際は間取りや設備にも工夫を凝らしましょう。
ビルトインガレージを設置するためには、少なくとも間口(幅)3.5m×奥行き5.5m程度の広さが必要です。敷地面積によっては1階全体がガレージとなり、リビングやキッチンなどの主な生活空間を2階に設置しなければならない場合も考えられます。
居住スペースが不足する場合は3階建てにするという選択肢もありますが、生活動線の悪化や階段の使用による足腰への負担が懸念されるため注意が必要です。
ビルトインガレージを設置するには建物に大きな開口部を設ける必要があり、耐震性を確保するための建材や工事が追加されて建築費用が高額になる可能性があります。
鉄筋コンクリート造や重量鉄骨造の住宅は建物の強度を確保しやすい一方で、木造住宅に比べてコストがかかりやすく、住宅の構造や工法も建築コストに影響しやすい要因のひとつです。ガレージ内の換気設備やシャッターの設置にも費用がかかることを踏まえて、ビルトインガレージの必要性を慎重に検討しましょう。
建物の中にガレージが組み込まれていることによって、居住空間に車のエンジン音が響いたり排気ガスが流れたりする可能性があります。
ガレージ内の換気設備を整える、寝室や書斎はガレージから離して配置するといった工夫を凝らして、家族全員が快適に過ごせる住まいを設計しましょう。シャッターの開閉音が近隣住民との騒音トラブルに発展する可能性もあるため、夜間や早朝の外出が多い場合は静音性が高いシャッターの採用もぜひ検討してください。
建築基準法における建ぺい率・容積率の緩和措置は、地方税法に基づいて決められる固定資産税とは関連性がありません。建ぺい率や容積率の緩和措置を受けられるかどうかに関わらず、ビルトインガレージは固定資産税の対象となることを理解しておきましょう。
電動シャッターなどの加点評価項目に該当する設備を採用すると、固定資産税が高くなる可能性があるため注意してください。
最後に、ビルトインガレージのある住まいの建築実例をいくつか紹介します。
写真やこだわりのポイントからヒントを見つけて、理想のビルトインガレージ付き住宅をプランニングしてください。
まず紹介するのは、クレイブラウンの外壁が高級感を演出しているビルトインガレージ付きの2階建て住宅です。
ガレージに木目調のシャッターを採用することで、ブラウンでまとめられた温かみのある外観を実現しています。ガレージには2台の車を並べて停めることができ、ガレージ内に設けられたドアは玄関につながっています。重い荷物を持っていたり雨に見舞われたりしても、スムーズに出入りできるのは魅力です。
また、ガレージの上部にはバーベキューや子ども用のプールを楽しめる広さのバルコニーが設けられています。高さのある壁に囲まれているため、外部からの視線を気にすることなくプライベートの時間を満喫できるでしょう。
子どもがのびのび育つ2階建てビルトインガレージ付き住宅の建築実例を見る
続いて紹介するのは、オフィスと自宅を兼ね備えた4階建てのビルトインガレージ付き住宅です。都市部の限られた敷地で自由度の高い設計ができるように、縦の空間を有効に使った住まいです。
1階にガレージとオフィス、2階~4階に主な生活空間があり、4階には眺望を楽しめるようにとテラス付きのLDKが設けられています。また、コンパクトな家事動線づくりを意識しつつ、先進設備や使い勝手の良い収納を随所に設けることで日々の負担軽減を図っています。
おうち時間を満喫する4階建てのビルトインガレージ付き住宅の建築実例を見る
こちらは、キラテックタイルの外壁が上質な印象を演出しているビルトインガレージ付きの2階建て住宅です。
ビルトインガレージが住まいと一体化しており、ガレージ内の勝手口から室内へスムーズにアクセスできます。勝手口は大容量の収納スペースを備えたキッチンにつながっており、買い物帰りに最小限の移動で荷物を収納できるのはとても便利です。
家族や友人と楽しく過ごせる2階建てビルトインガレージ付き住宅の建築実例を見る
ビルトインガレージは建ぺい率と容積率のどちらにも影響しますが、場合によっては緩和措置を受けられます。特に容積率は、延床面積の5分の1までが容積率の計算から除外されるため、容積率が低い土地や狭小地などで家づくりをする際は効率的に居住空間を確保できる可能性があります。
まずはビルトインガレージにメリットとデメリットの両方があることを踏まえて、ビルトインガレージの必要性を慎重に検討しましょう。ビルトインガレージ付きの住宅を建てる場合は、本記事で紹介した建築実例を参考にしつつ、魅力あふれる住まいをぜひプランニングしてください。