住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
注文住宅にビルトインガレージを設置することで、暮らしの利便性や快適性の向上が期待できます。しかし、よく考えてプランニングしないと後悔を招く可能性があります。使い勝手の良いビルトインガレージを実現するためには、適切な寸法を事前に把握したうえで家づくりを進めることが重要です。
そこで本記事では、ビルトインガレージに必要な面積の目安や設計時の注意点などを詳しく解説します。建築実例も紹介しますので、ビルトインガレージ付き住宅を検討している人はぜひ参考にしてください。
まずは、ビルトインガレージの寸法を検討する際の基準となる考え方について解説します。車の大きさや台数などをイメージしながら、適切な寸法を検討しましょう。
国土交通省が駐車場設計について示した指針によると、車1台につき必要な駐車ます(車室)の広さは以下のとおりです。
車の種類 | 長さ | 幅員 |
軽自動車 | 3.6m | 2.0m |
小型乗用車 | 5.0m | 2.3m |
普通乗用車 | 6.0m | 2.5m |
車の種類は車の大きさやエンジンの排気量をもとに、道路運送車両法で以下のように定められています。
【軽自動車】長さ3.4m以下、幅1.48m以下
【小型乗用車】長さ4.7m以下、幅1.7m以下
【普通乗用車】小型自動車より大きいもの
また黄色いナンバープレートは軽自動車、いわゆる5ナンバー車や7ナンバー車は小型乗用車、3ナンバー車は普通乗用車と、ナンバープレートの色や分類番号からも確認できます。
車1台に必要な駐車ますについては国土交通省ホームページを参照ください。(1994年9月28日時点の情報)
道路運送車両法・道路交通法については国土交通省ホームページを参照ください。(2024年4月時点の情報)
国土交通省が示しているのは必要最低限の広さであり、ビルトインガレージを設計する際は建物の構造や乗り降りに必要なスペースを考慮する必要があります。
ビルトインガレージは3面が壁で囲まれているため、国土交通省が示す基準よりも幅員や後部スペースにゆとりを持たせることが重要です。ドアやトランクを不便なく開閉できるように幅3.0m×奥行6.0m(約4〜5坪)の広さを確保し、高さは2m程度確保しましょう。
車種によって車体の大きさやドアのタイプなどが異なるため、保管したい車のサイズや仕様を確認したうえで設計を進めてください。
ここまでビルトインガレージに必要な寸法の基本的な考え方について解説しましたが、考慮すべき点はほかにもあります。
建築後にビルトインガレージの広さを変更することは難しいため、寸法に影響する要素を事前に理解して適切なスペースを確保しましょう。
一戸建て住宅では駐車の際に前面道路から旋回するのが一般的ですが、道路の幅が狭いうえにガレージの間口が小さいと駐車できない可能性があります。
ガレージに面する道路の幅が狭い場合は、入出庫の際に車が曲がりやすいようガレージの間口(幅)を広めに確保しましょう。車の大きさによって旋回時の回転する半径が異なるため、実際に駐車する様子をイメージしながら検討してください。
車いすの乗り降りについては、駐車場の円滑な利用を図る目的で国土交通省によって指針が示されています。車いすを使用する家族がいる場合は3.5m以上の幅を設ける必要があり、後部から乗り込むタイプの場合は奥行きも広めに確保しなければなりません。
通路の勾配やシャッターの種類なども工夫して、家族全員が快適に乗り降りできるガレージを設計しましょう。
車いす利用者への配慮については国土交通省ホームページを参照ください。(1994年9月28日時点の情報)
ガレージ内で2台以上の車を保管する場合、単純に計算すると4~5坪×駐車台数分の広さが必要です。縦列駐車や並列駐車などの駐車タイプや、住まいの全体的な間取りを考慮したうえでガレージの適切な寸法を検討しましょう。
ガレージは車の保管だけでなく、車のメンテナンスや大型アイテムの収納場所としても活用できます。メンテナンスに必要な工具やタイヤなどを収納する場合は、収納棚などを配置するためのスペースも設計段階で確保しておきましょう。
ビルトインガレージのある住まいを設計する際は、寸法以外にも注意すべき点がいくつかあります。設計時の注意点と対策を紹介しますので、要点を押さえたうえでプランニングに取り掛かりましょう。
ビルトインガレージの大きさによっては、居住スペースが削られて住まいの快適性を損ねる可能性があります。
家族構成や生活スタイルから必要な居室数や収納の広さなどを把握して、居住スペースを圧迫しない適切な寸法のビルトインガレージを設けましょう。居室や収納スペースの不足が心配な場合は、スキップフロアや階段下収納などを採用して空間の有効活用を図れます。
また、間取りに工夫を凝らすことで、居室自体の広さや快適性を確保できる場合もあります。たとえばガレージとリビングを1階に配置すると、敷地面積によっては家族の団らん空間が狭くなりますが、リビングを2階にすることで広々とした住まいを実現できます。ガレージにつながる勝手口を階段付近に設置すれば、重い荷物を運び込んだり、寝ている子どもを抱いていても移動が苦になりません。
ビルトインガレージの寸法によっては建物に広い間口を設けなければならず、柱や壁の数が減少して耐震性に影響する可能性があります。
木造住宅に比べると建築費用は高額になる傾向がありますが、鉄骨造や鉄筋コンクリート造などの耐震性に優れた住宅構造を検討しましょう。予算の都合などで採用が難しい場合は、間口を小さくして縦列駐車タイプのガレージを設けるのもひとつの選択肢です。
ビルトインガレージは建物とガレージが一体化しているという構造上、エンジンやシャッターの音が室内に響きやすいという難点があります。
静かに過ごしたい寝室や書斎はガレージから離れた場所に配置して、家族全員が快適に過ごせるよう配慮しましょう。シャッターは静音性の高い電動式のものを採り入れると、隣家との騒音トラブルを回避しやすくなります。ガレージ内に排気ガスがこもらないよう、換気扇や換気窓も忘れず設置しましょう。
ビルトインガレージは一度建てるとスペースの拡張が難しいため、新築の段階で将来を見据えた設計をすることが重要です。大きい車に買い替えたり車の保管台数が増えたりする可能性を考慮したうえで、適切な寸法のガレージを設計してください。
ビルトインガレージの最大のメリットは、風雨や紫外線、黄砂などから大切な車を守れる点です。シャッターを取り付ければ防犯性が高まり、いたずらや盗難に遭うリスクも最小限に抑えられるでしょう。
また、ビルトインガレージであれば建物と別に駐車スペースを確保する必要がありません。狭小地などで家づくりをする場合であっても、敷地内の目が届きやすい場所に車の保管スペースを確保できるのはビルトインガレージの大きな魅力です。
室内へつながる勝手口をガレージ内に設置すれば、雨に濡れることなく乗り降りや荷物の積み下ろしができるのもメリットのひとつといえるでしょう。
最後に、こだわりが詰まったビルトインガレージ付き住宅の建築実例を3つ紹介します。ぜひ今後の家づくりに活かしてください。
こちらのビルトインガレージ付き2階建て住宅は、テラスとガレージが隣接しています。道路側と庭側の両方にシャッターが取り付けられており、広々としたテラスでくつろぎながら愛車を眺められる設計です。
シャッターを閉めれば外部からの視線を遮断できるため、安心して愛車の手入れを楽しめるでしょう。ガレージ内のドアは、玄関脇のシューズインクロークにつながっています。アウトドアやスポーツ用品も収納できるようにと、広々としたスペースを確保している点がこだわりのポイントです。
続いて紹介するのは、クレイブラウンの外壁と木目調のシャッターを組み合わせた統一感のある外観のビルトインガレージ付きの2階建て住宅です。ガレージには2台分の駐車スペースが設けられています。ガレージ内のドアは玄関に直通しているため、悪天候の日も濡れることなく出入りできます。
また、ガレージの上部には広々とした2階バルコニーを設けました。高さのある壁が目隠しの役割を果たしており、外部からの視線を気にせずプールやバーベキューを楽しめます。
こちらは平屋のビルトインガレージ付き住宅で、建物とガレージが中庭テラスを囲む形でコの字型に配置されています。建物によって外部からの視線や車両通行を遮断できるため、屋外空間でありながら子どもが安心して遊べます。
ガレージは2台の車を並べて停めることができ、ガレージ内のドアは隣接するトレーニングルームにつながっています。ガレージと主な居住空間は建物が分かれているため、家族がエンジンやシャッターの音を気にすることなく快適に過ごせるでしょう。
ビルトインガレージを必要最低限の寸法で設計すると、乗り降りや荷物の積み下ろしなどに支障をきたして後悔する可能性があります。またビルトインガレージは一度建ててしまうと、後から広くすることが難しい点に注意が必要です。駐車スペース前の道路環境や将来的な車の買い替えなどを視野に入れたうえで、適切な寸法のビルトインガレージを設計しましょう。
本記事で紹介した、居住スペースの確保や耐震性を高める工夫、騒音・換気対策も参考に、家族全員が快適に過ごせるビルトインガレージ付き住宅をプランニングしてください。