住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
おしゃれな外観と利便性の高さを兼ね備えていることから、ビルトインガレージのある住まいが注目を集めています。
しかし、建物に大きな間口を設けることに耐震面の不安を感じて、設置を躊躇している人もいるでしょう。ビルトインガレージを設ける際は、耐震性を損ねないための構造や間取りなどを理解して設計に工夫を凝らすことが重要です。
そこで今回は、耐震性に注意すべき住まいの特徴や耐震性を高めるためのポイントについて解説します。本記事の内容を踏まえたうえで家づくりを進め、安心して暮らせるビルトインガレージ付き住宅を実現しましょう。
ビルトインガレージ付き住宅の耐震性が懸念される理由は、ガレージに出入庫のための開口部を設けることで建物の支えとなる壁や柱の数が減少するためです。間口が大きいほど耐震性が低下しやすいため、複数台の車を並列駐車したりガレージ内に収納を設けたりする場合は特に注意が必要です。
ビルトインガレージ付き住宅の耐震性は、建物の特徴や形状によって違いがあります。
以下の特徴や形状をした住まいは、一般的なビルトインガレージ付き住宅に比べて耐震性が低下しやすいため注意してください。いずれかに該当する住まいを建てる場合は、耐震性の高い家づくりをより強く意識しましょう。
まず、セットバックには以下の3つの意味があります。
1:幅4m未満の道路に面する土地で家づくりをする際、防災の観点から空間確保を目的として敷地を後退させること
2:道路・隣家の日照や通風、採光を確保するために設けられた道路斜線制限の規制緩和を目的として、道路から建物を後退させて建築すること
3:2階や3階部分を後退させることで、1階に比べて上階の方が小さい形状をした建物のこと
耐震面で注意が必要なのは、3つ目に紹介した住まいです。
1階のほうが大きいため地震に耐えうると思われがちですが、実は2階や3階部分が小さいことにより建物全体の荷重バランスが悪くなります。上階で受けた地震のエネルギーを下階へスムーズに伝えられず、耐震性に悪影響を与える可能性があります。
オーバーハングとは、建物の2階や3階部分が1階よりも突出した形状のことです。建物の支えとなる1階部分が小さいことで建物全体が不安定になりやすく、地震発生時に1階の壁や柱へ大きな負担がかかります。
そのような構造でビルトインガレージを設けると、支えとなる壁や柱の少なさから揺れの増幅が懸念されるでしょう。
限られた敷地面積での家づくりに採用されることが多い狭小住宅も、耐震面で注意が必要です。狭小住宅は土地と建物の接する面積が小さく高さがあるため、地震による揺れの影響を大きく受ける可能性があります。
都市部や住宅密集地に狭小住宅を建てる場合に、採光を確保する目的で設けられることのある吹き抜けや大きな開口部も耐震性を低下させる要因のひとつです。吹き抜けがある狭小住宅の3階建てで1階にビルトインガレージを設ける場合は、耐震性を高めるための工夫が欠かせません。
スキップフロアとは、居住スペースに高さの異なるフロアを設けるつくりのことで、1.5階(中2階)や半地下などの間取りが挙げられます。
一般的には地震が発生すると、床全体が揺れて地震のエネルギーが壁や柱を通じて建物へ均等に分散されます。しかしスキップフロアのある住まいは、床の高さが異なるため均等に力を逃がすことが困難です。特定の壁や柱に力がかかり、建物の損壊につながる危険性があるでしょう。
地盤が弱い土地に建てられた住まいは、地震発生時に地盤沈下が起こる可能性があります。建物だけでなく土地の耐震性も十分に考慮して、適切な地盤調査や地盤補強・地盤改良工事を受けたうえで家づくりを進めることが重要です。
次にビルトインガレージのある住まいで、耐震性を高めるための重要なポイントを2つ紹介します。安心して住み続けるために、設計時だけでなく住み始めてからも耐震面への配慮を行いましょう。
ビルトインガレージ付き住宅を建てる場合は、耐震性に優れた鉄骨造や鉄筋コンクリート造を選ぶのが理想です。梁を太くする、あるいは強度の高い部材を使うことで、耐震性のさらなる向上が期待できるでしょう。
木造住宅を希望する場合は、耐震性の高い住まいを実現できるよう、細かい壁量計算や偏心率計算を受けられる住宅メーカーで家づくりをしてください。
また、正方形や長方形などのシンプルな形状ほど、壁や柱が地震のエネルギーを満遍なく受けられます。上階が重いと揺れの影響を受けやすいため、2階以上のフロアに配置する家具は極力軽量のものを選びましょう。
耐震性の高い住まいを建てた場合であっても、築年数の経過にともない住宅性能は徐々に低下する傾向があります。定期的に耐震診断を受け、必要に応じてリフォームを検討しましょう。耐震診断を受ける際は費用がかかりますが、経年劣化による性能の変化を数値で確認できるというメリットがあるため、ぜひ定期的に実施してください。
ビルトインガレージのある住まいを設計する際は、ガレージ部分だけでなく住まい全体に工夫を凝らすことが重要です。
耐震性以外で注意すべきポイントを紹介しますので、要点を押さえたうえで家づくりを進めて、家族全員が快適に暮らせる住まいを実現しましょう。
ビルトインガレージを設けると必然的に居住スペースが削られるため、間取りに工夫を凝らして生活動線の向上を図る必要があります。家族構成や荷物の量から必要な居室や収納の広さ・数を把握したうえで、ビルトインガレージの導入を検討しましょう。また、ガレージと隣接する空間はエンジンやシャッターの音が響きやすいため、寝室や書斎などの静かに過ごしたい居室は離して配置しましょう。
ビルトインガレージを含めた生活動線も、暮らしの快適性を左右する大切なポイントです。たとえば、広々としたリビングを希望して2階に配置する場合は、ガレージへつながる勝手口を階段付近に設置すると外出・帰宅時の動線がスムーズになるでしょう。
ビルトインガレージは建物と一体化した構造のため、建築後のサイズ変更が困難です。将来的に駐車台数を増やしたり大きい車に買い替えたりする可能性がある場合は、設計の段階で広めのガレージを設計しましょう。
自転車やアウトドア用品の収納、車のメンテナンスなど、車の保管以外の用途についても事前に検討したうえで適切な広さのガレージをプランニングしてください。
音や排気ガスの対策が不十分だと、エンジン・シャッターの音や排気ガスのニオイが居住スペースへ伝わってしまう可能性があります。
特に夜間や早朝の入出庫が多い場合は、近隣住民への配慮も含めて開閉音が響きにくいシャッターの採用を検討しましょう。排気ガスについては、ガレージ内に排気ガスやニオイがこもらないよう換気扇や換気窓を設けるなどの対策を講じてください。
ビルトインガレージ付き住宅には、日々の暮らしを豊かにするための魅力が複数あります。具体的なメリットを紹介しますので、ビルトインガレージのある住まいで実際に生活する様子をイメージしながらご覧ください。
ビルトインガレージは壁やシャッターに囲まれているため、大切な愛車を雨や風から守れます。黄砂・鳥のフンなどの付着や紫外線による色あせも防げて、車体を良好な状態で維持しやすい点も大きなメリットです。
シャッターを取り付けて防犯性を高めれば、盗難に遭ったり傷つけられたりするリスクも最小限に抑えられるでしょう。
ビルトインガレージはガレージと建物が一体化しているため、建物と別に駐車スペースを確保する必要がありません。狭小地などの敷地面積が限られた土地であっても、敷地内に駐車スペースを設けられるのはビルトインガレージの大きな魅力です。
近隣の月極駐車場を契約して車を保管するという選択肢もありますが、駐車場と住まいを行き来する手間や駐車場代の問題が懸念されます。ガレージの設置には建築コストがかかるものの、長期的な視点で考えると出費を抑えられるでしょう。
ランニングコストを抑えつつ、家族の目が届く場所に愛車を保管できるのはビルトインガレージならではのメリットといえるでしょう。
ビルトインガレージであれば、雨が降っていても濡れることなく乗り降りができます。乗り降りに時間がかかる子どもや車いすの家族がいても、天候に左右されることなく気軽に外出できるでしょう。
ガレージ内に勝手口を取り付ければ、玄関を経由せず室内へアクセスできるのもメリットのひとつです。遠出の際に多くの荷物を運び込んだり、買い物帰りで重い荷物を降ろしたりする際の負担を最小限に抑えられます。
実際に生活する様子をイメージしながら、パントリーや階段付近、シューズクロークの横など、スムーズな生活動線を実現できる場所へ勝手口を配置しましょう。
安心して暮らせるビルトインガレージ付き住宅を実現するためには、設計の段階で耐震性を高めることが重要です。耐震性に優れた住宅構造でシンプルな形状と間取りの建物を設計し、定期的な耐震診断を受けることで、地震の影響を受けにくい住まいが完成するでしょう。
またビルトインガレージのある住まいでは、家族全員が快適に過ごせるような居室配置の工夫や静音性の高いシャッターの採用、適切な排気設備の選択も大切なポイントです。将来を見据えた設計を心がけつつ、快適に利用できるビルトインガレージ付き住宅を設計してください。
安心して暮らし続けるために、定期的な耐震診断および結果に応じたリフォームも忘れずにおこないましょう。