住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
賃貸併用住宅は、自宅と投資用の収益空間を兼ね備えた住宅形態です。購入や建築を検討する際は、メリットとデメリットのバランスを意識する必要があり、メリットだけにとらわれると後悔する可能性があります。
本記事では、賃貸併用住宅のメリットとデメリットや失敗しないためのポイントを解説します。
賃貸併用住宅とは、自宅部分と賃貸部分が併存する住宅のことを指します。
自宅としての居住空間と賃貸空間をしっかり分けることで、プライバシーを保ちながらも投資的な要素を取り入れることができます。賃貸併用住宅の運営によって、住宅ローンの返済資金を家賃収入から得ることが可能です。
賃貸併用住宅は将来の生活設計にも役立つ点で注目されています。ここでは、賃貸併用住宅のメリットについて解説します。
賃貸併用住宅の大きな特徴は、住宅ローンが利用できる点です。一般の住宅より低金利で融資を受けられ、経済的な負担が軽減されます。ただし住宅ローンを利用するには、自宅部分が50%以上なくてはならないという条件があるので注意しましょう。
また住宅ローンを活用できれば、長期的な返済計画が可能で毎月の返済額を抑えられるため、資金繰りの面でも余裕ができます。
賃貸併用住宅の運営では、賃貸での家賃収入がローン返済を支える重要な役割を果たします。この家賃は毎月の返済に充てられるため、経済的な負担を軽減できるでしょう。
また賃貸収入が安定している場合は、無理なく返済を続けられます。家賃保証による安定した収入源は、長期的なアパート経営や住宅ローン返済において重要です。
賃貸併用住宅は相続税対策に有効で、賃貸部分の相続税評価額が自宅部分に比べて低くなるためトータルの相続税を軽減できます。具体的には、アパート部分の相続税評価額は、建物については自宅部分よりも30%低くなり、自宅部分に対応する土地は特定居住用宅地等として評価額を80%減額できます。
また賃貸部分に対応する土地は、貸付事業用宅地等として一定の要件を満たせば評価額を50%減額でき、相続時の税金負担軽減を期待できるでしょう。
賃貸併用住宅は、固定資産税の減免効果が期待できるため、税負担を軽減するメリットがあります。特に賃貸部分の面積や建物の目的に応じて評価額が引き下げられるため、長期間にわたって経済的な余裕が生まれるでしょう。200㎡以下の住宅用地は「小規模住宅用地」といい、固定資産税評価額を6分の1にする小規模住宅用地の特例があります。
また土地の面積が一定基準を超えると、より有利な税制が適用される傾向があり、税金負担がさらに軽減されます。
賃貸併用住宅は、余った部屋や受け継いだ土地を有効活用する手段として魅力的です。たとえば親が他界した後に残った家や、子どもが独立したことで空いた部屋を賃貸として貸し出すことで、安定した収入を得ることができます。このように、ライフステージや家族構成の変化に柔軟に対応できる点が、賃貸併用住宅の大きな利点です。
賃貸併用住宅には魅力的なメリットがある一方、設計や運営の制限といったデメリットも存在します。ここでは、賃貸併用住宅のデメリットを解説します。
賃貸併用住宅の最大のデメリットは、設計に関する制約です。自宅部分の面積が50%以上でなければならず、建物全体の間取りやデザインに影響を与えます。
特に賃貸部分を広くすると自宅部分が狭くなることが多く、快適な居住空間と収益性の高い賃貸部分のバランスを取るのが難しいです。このため、理想的な住環境を実現するには、十分な時間と労力をかけて設計をおこなう必要があります。
アパート部分が住宅ローン控除の対象外であることも、デメリットの一つでしょう。アパート部分の借り入れには税制上の優遇が受けられず、管理や修繕にかかる高額な費用が経済的負担を増加させる可能性があります。結果として、賃貸経営の効率が悪化することも考えられます。
賃貸併用住宅は、売却や相続の際に手続きが複雑です。購入希望者が限られ流動性が低くなるため、特定のニーズをもつ買い手が必要なほか、相続時に自宅部分が不要な場合、遺族が困ることもあります。
賃貸併用住宅の一坪あたりの価格相場は、以下のとおりです。
木造 | 約80万~110万円 |
軽量鉄骨造 | 約90万~110万円 |
重量鉄骨造 | 約100万~120万円 |
鉄筋コンクリート造 | 約100万~130万円 |
賃貸併用住宅の価格は、上記のように建物の構造によって大きく異なります。また、地域、立地、物件の規模、築年数によっても変動します。
特に都心部では相場が高く、購入時には市場動向を把握することが重要です。相場が上昇傾向にある場合、資産価値が高まる可能性がありますが、高価格帯の物件にはリスクも伴います。一方、郊外では初期投資を抑えられますが、空室リスクが高くなることに注意が必要です。
自宅部分と賃貸部分の比率も価格に影響します。自宅部分が多い場合、住宅ローンが利用可能ですが、収益性を考慮した計画が求められます。
賃貸併用住宅を運営する際には、失敗を避けるための注意点が多く存在します。ここでは、賃貸併用住宅で失敗しないための注意点を解説します。
入居者とのトラブルには家賃の未払いがよく見られ、これは賃貸契約の不明瞭さや、入居者の経済状況の確認不足が原因です。また、騒音やルールの不遵守も問題となることがあります。
これらのトラブルを未然に防ぐためには、契約書や規則を明文化し、適切な説明をおこなうことが重要です。
賃貸併用住宅では、空室リスクが重要な課題です。空室を減らすためには、入居者のニーズを調査し賃料設定や設備の整備を実施することが効果的でしょう。また周辺の競合物件を把握し、十分なマーケティングを行うことも大切です。
賃貸併用住宅では、間取りやプランの選定が重要です。入居者の生活スタイルに合った間取りを提供することで、満足度が高まり長期契約につながります。
また、自宅部分の配置や賃貸部分へのアクセスも考慮し、居住空間の快適さと賃貸部分の機能性のバランスを取ることが大切です。
賃貸併用住宅の経営成功には、物件タイプや管理方法の検討が重要です。ここでは、賃貸併用住宅の成功ポイントについて解説します。
賃貸併用住宅を運営する際には、自主管理とサブリースの選択が重要です。自主管理を行えば管理コストが削減され、入居者と直接的なコミュニケーションが可能で迅速かつ柔軟な対応ができる利点があります。
一方、サブリースでは、安定した家賃収入の確保や入居者の募集、管理業務を委託できるため、本業が忙しい場合でも手間がかかりません。経営スタイルに合わせて適切な選択をおこなうことで、安定した運営が実現できるでしょう。
賃貸併用住宅の経営には、収支シミュレーションを徹底することが不可欠です。事前に想定される費用や収入を計算しておくことで、計画的な運営が実現します。何も準備せずに運営を始めると、想定外の支出が発生する場合も多く、経営が厳しくなるリスクがあります。
収入と支出を綿密に分析することで、無理のない資金計画が立てられ、安心して運営を続けられるでしょう。
賃貸併用住宅を運営する場合、法律や税務、建築の知識をもつ専門家からのアドバイスを受けることで、リスクを回避しやすくなります。 また専門の業者と連携して運営することでも、より効率的な管理が可能です。
賃貸併用住宅は自宅と賃貸部分を兼ね備えた住宅で、住宅ローンが利用でき、家賃収入でローン返済をサポートするメリットがあります。
相続税対策や固定資産税の軽減も期待できますが、設計に制約があり、アパート部分は住宅ローン控除対象外です。売却や相続の際に手続きが複雑になる可能性もあるため、計画的な運営と専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。
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