住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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都市部で土地探ししている際に、比較的安価である旗竿地を目にするケースがあるでしょう。 旗竿地とはその名のとおり、道路と土地が細い路地でつながれている旗のような形をした土地です。 今回は旗竿地の定義や旗竿地が生まれる理由を述べつつ、旗竿地を選ぶメリット・デメリット、購入時に注意すべきポイント、土地の活用方法を解説します。
「旗竿地(はたざおち)」という言葉を聞いたことがない方も多いのではないでしょうか。 また、名前は知っていても、具体的にどんな土地かはよく分からないという声も少なくありません。 旗竿地とは、細長い通路の先に敷地が広がる、旗のような形をした土地のことです。 本記事では、旗竿地の定義や、なぜこのような形の土地が存在するのか、その理由を分かりやすく解説します。
旗竿地は建物が建つ四角の土地(旗)と、通路や駐車場に使われるスペース(竿)がある土地です。 旗竿地は、「敷地延長」や「専用通路」とも呼ばれています。
また、国土交通省や自治体の用語では「路地状敷地」と呼ばれ、国税庁の資料では「不整形地」として分類されています。 自治体によって旗竿地の定義が異なるため、もし気になる土地が旗竿地に当てはまるのかどうか気になる場合は、自治体に確認すると安心できるでしょう。
旗竿地が生まれる主な理由は経済的なものです。 広い土地をそのまま一括で売ると価格が高額になり、購入希望者が限られてしまいます。 そこで、土地を複数の区画に分割して販売することで、一つあたりの価格を抑え、購入者の幅を広げる狙いがあります。 しかし、すべての区画を道路に面するように分割すると、間口が極端に狭い細長い土地になりやすく、建築プランに制約が出る場合もあります。
このため、区画整理の際に「道路に2m以上接する通路」を設けて、通路の先に比較的広い建築スペースを確保する形が採られます。これが旗竿地の典型的な形状です。
不整形地である旗竿地は、需要が少ないと考えられがちですが、実は正方形や長方形の整形地にはない魅力も多く持っています。 ここでは、旗竿地ならではの6つのメリットを解説しますので、土地探しの参考にしてください。
旗竿地は形状が不規則なため、整形地に比べて相場より安く購入できる点が大きなメリットです。 土地を売却する際は、不動産会社が査定した評価額をもとに価格が決まりますが、不整形地は査定額に補正がかかり、評価額が低くなる傾向があります。 その結果、旗竿地は同じエリアの整形地に比べて割安に購入できるケースが多くなります。
購入時の価格を抑えられれば、その分の予算を建築費に充てられ、理想の住まいづくりが実現しやすくなるというメリットもあります。
旗竿地は周囲をほかの土地に囲まれているため、奥まった敷地部分は外部からの視線が遮られやすい環境です。 そのため、通行人やドライバーの目を気にせずに洗濯物を干したり、庭やテラスでゆったり過ごしたりと、快適な生活が期待できます。 また、建物に入るには人目につきやすい細い路地を通る必要があるため、万が一不審者が侵入しても気づきやすく、防犯面でも優れているのが旗竿地の特徴です。
旗竿地は道路から建物が離れているため、車の音や通行人の声など外部からの騒音が届きにくい特徴があります。 その結果、静かで落ち着いた住環境を実現でき、日々のストレス軽減にもつながります。 また、小さなお子さまやペットがいる家庭では、道路から距離があることで、庭で遊んでいる際に急に道路に飛び出す危険性が低く、安全面でも安心できる点が魅力です。
建物を建てる際には、建ぺい率や容積率の上限が法律で定められており、その範囲内で設計・建築する必要があります。 建築面積や延床面積は、土地面積に建ぺい率や容積率を掛け合わせて算出されます。 旗竿地の場合、旗の部分と路地の部分を合わせた敷地面積でこれらが計算されるため、同じ価格帯の整形地と比べて建築面積や延床面積が大きくなる傾向があります。
また、高さ制限などの規制が緩やかな場合には、路地部分の面積も含めて延床面積を確保できるため、旗の部分だけの計算では難しい3階建ての建築も可能になるケースがあります。
住宅を建てる際には、敷地内に必要な駐車スペースを確保することが重要です。 整形地の場合は、まず必要な台数分の駐車スペースを確保し、残ったスペースに住宅を配置するのが一般的です。 一方、旗竿地では細長い路地部分を駐車スペースとして利用することで、奥にある敷地部分を広く活用した設計が可能となります。 これにより、限られた土地でも効率よく住宅を建てることができます。
土地を所有すると、固定資産税や都市計画税の支払い義務が生じます。これらの税金は所有し続ける限り毎年発生するため、負担を軽減したいと考える方も多いでしょう。 固定資産税や都市計画税は土地の評価額をもとに算出されますが、旗竿地は整形地に比べて評価額が約1~2割低くなる傾向があります。そのため、税額も相応に安くなる可能性が高いです。
また、旗竿地を両親から相続した場合は相続税の支払いも必要ですが、相続税も評価額を基準に計算されるため、整形地よりも税負担が軽減されるメリットがあります。
旗竿地の購入を検討する際は、メリットだけでなくデメリットも十分に理解しておくことが大切です。 ここでは、旗竿地における代表的な6つのデメリットと、それぞれの対策方法について解説します。
旗竿地は周囲をほかの建物に囲まれていることが多いため、方位によって日当たりや風通しが悪くなることがあります。 日当たりや風通しを重視する方は注意が必要です。 対策としては、2階にリビングやテラスを設けたり、天井を高くして吹き抜けや高窓を設けることで日当たりを改善できます。 また、風通しをよくするには窓の配置を工夫し、室内の荷物をできるだけ少なくすることも効果的です。
旗竿地で建物の建築や解体工事を行う際は、資材置き場や重機を設置するスペースが限られてしまうことがあります。 大型トラックや重機が使用できない場合は、小型の車両や重機を利用したり、職人の手作業で進めたりする必要があります。 そのため、通常の工事に比べて工期が長くなり、人件費も増加しやすいため、工事費用が高くなる傾向があります。
旗竿地の路地部分の間口幅が狭いと、駐車スペースを有効に活用しづらくなることがあります。 車を駐車するスペースがあっても、車のドアを十分に開けられなかったり、車の横を人やベビーカーが安全に通れなかったりすると、日常の使い勝手が悪くなってしまいます。
また、旗竿地では車を2台以上駐車する場合に縦列駐車となるケースが多く、毎回同じ順番で車を出し入れできれば問題ありませんが、もし順番が変わると、その都度車の入れ替えが必要になるなど手間がかかる場合もあります。
旗竿地は接道義務や建築基準法上の条件を満たしていない場合、建て替えができません。 建て替えが難しい旗竿地で建て替えを行うには、隣接地を購入して接道範囲を広げるか、隣地の一部を借りて接道条件を満たす方法があります。 特に土地の一部を借りる場合は、後々のトラブルを避けるために、契約期間や賃料、利用範囲などを事前にしっかり取り決めておくことが大切です。
隣家との距離が近いため、お互いの生活音が聞こえやすいことが旗竿地のデメリットの一つです。 特に、小さな子どもやペットがいる家庭、また自宅に友人を招く機会が多い方は注意が必要です。 遮音・防音対策としては、遮音性に優れた鉄板やコンクリートを使用したり、遮音ガラスや厚手のカーテンを採用したりする方法が効果的です。
正方形や長方形の土地と比べて旗竿地は特殊な形状であるため、土地の価値判断が難しく、購入後の活用イメージがつきにくいことから敬遠されがちです。 また、建物の敷地として実際に使われるのは主に旗の部分であり、竿の部分は土地面積に含まれているものの、買い手からは利用価値が低いと見なされやすく、購入希望者が少ない傾向があります。
旗竿地を購入する際、さまざまなポイントに注意を払わないと、購入後に後悔することがあります。 そこで、旗竿地の購入時に特に意識しておきたい5つのポイントを解説します。
道路に接している路地部分の幅と長さを確認することは、旗竿地を検討する際の重要なポイントです。 建築基準法では、建物を建てるためには「幅員4m以上の道路に、敷地が2m以上接している必要がある」と定められており、路地幅が2m未満では原則として建物の新築や建て替えができません。 また、軽自動車の車幅は約1.5m、普通車で約1.7mあるため、路地幅がちょうど2mでは車のドアが開けにくかったり、人の通行が難しくなったりすることがあります。
このため、実用的な駐車スペースとして考える場合、路地幅は約2.5m以上あると安心です。 加えて、前面道路の幅が約4.5m以上あると、車の出し入れがスムーズになり、敷地全体の使い勝手も向上します。
旗竿地に建物を建てる際は、建築基準法や自治体の条例によって建築制限が課されているケースがあるため、事前に確認が必要です。 例えば、再建築不可の旗竿地は注意が必要です。 土地が分筆された当時の法令では適法であっても、現在の建築基準法では接道義務を満たしていないなどの理由で、建て替えや増改築ができない場合があります。
こうした土地は資産価値が下がりやすく、売却や建て直しが難しくなるリスクがあります。 さらに、自治体によっては建ぺい率や高さ制限、日影規制など、独自の条例により建築の制限が厳しくなっていることもあります。 旗竿地を購入する前に、建築可能な条件や制限を役所や不動産会社を通じて必ず確認しておくことが大切です。
旗竿地はその特性上、周囲をほかの建物に囲まれていることが多く、隣接する住民との関係が、快適な暮らしに大きく影響します。 自分では気づかないうちに、生活音やにおいなどが周囲にとって迷惑になることもあるため、日常生活では十分な配慮が必要です。 近隣の方と良好な関係を築くためにも、隣接住宅との距離や窓の位置、生活時間帯などを意識した設計や住まい方を心がけると安心です。
旗竿地は路地状の通路部分が狭いため、大型の重機や工事車両が敷地内まで進入できない場合があります。 そのため、建築資材の搬入や基礎工事などに余計な手間やコストがかかることもあり、土地価格が安くても、結果的に建築費用が割高になってしまうケースが少なくありません。
旗竿地を購入する際には、あらかじめ敷地の幅や奥行き、接道状況を確認し、必要な工事に対応可能かどうか、また追加費用がどの程度発生するかをハウスメーカーや建築会社に相談することが大切です。
旗竿地を購入するにあたって、電気や水道がどこまで引き込まれているかを確認するのがポイントです。 土地自体の価格が安くても、敷地内まで電気や水道が引き込まれていなかったり、隣接地の方から申し出があったりする場合は引き込み工事が必要です。 電柱や電線の位置がどこにあるかで、私設電柱を設置したり地中を通したりする必要があり、かえって出費がかさむ可能性があります。
敷地内に電気や水道が引き込まれているかどうかは土地を見ても分かりづらく、広告にも書かれていないため、購入前に不動産会社へ確認しましょう。
建て替えができない旗竿地もありますが、条件によって旗竿地でも建て替え可能なケースもあります。 建て替えできる旗竿地の3つの条件を解説します。
建築基準法では、建物を建てるためには「敷地が幅員4m以上の道路に対して、2m以上接していること(接道義務)」が求められています。 旗竿地においても、竿部分の間口がこの基準を満たしていれば、既存の建物を取り壊して新しい建物を建てることが可能です。 この接道義務は、災害時に消防車や救急車などの緊急車両が進入できるようにするために設けられています。
ただし、旗竿地の中には接道義務を満たしていない「再建築不可」の土地もあるため注意が必要です。 購入前には、竿部分の幅が2m以上あるか、前面道路が建築基準法上の「道路」として認定されているかを必ず確認しましょう。
建て替えが可能かどうかは、建築基準法だけでなく、各自治体が独自に定めている建築に関する条例にも左右されます。 例えば、建物の延床面積に応じた接道長さの基準や、路地状部分(竿部分)の長さと幅員の比率に関する制限が設けられている地域もあります。
これらの基準は自治体によって異なるため、旗竿地のある地域で実際に建て替えを検討する際には、必ずその地域の公式ホームページや市区町村の窓口で詳細を確認するようにしましょう。
接道義務を満たしていない土地であっても、一定の条件を満たせば建て替えが認められる場合があります。 これは、建築基準法第43条第2項(いわゆる「但し書き許可」)に基づく例外措置です。 具体的には、以下のような条件のいずれかを満たし、かつ防災・避難・通行などに支障がないと特定行政庁が認めた場合に限り、建て替えが可能となります。
ただし、これらはあくまで例外であり、建築には特定行政庁からの許可が必要です。 また、審査基準や判断の厳しさは自治体によって異なるため、事前に自治体の建築指導課などに確認することが重要です。
「旗竿地の上手な活用方法が分からない」という相談は多いです。 旗竿地の特性を生かしてうまく活用すれば、収益が得られます。 旗竿地のおすすめの活用方法を5つ解説します。
旗竿地でも、竿部分の間口が4m以上ある場合は接道義務を十分に満たしており、大型車両や重機の出入りも比較的スムーズなため、アパート建築に適しているといえます。 旗部分にアパート1棟を建築し、竿部分を通路や駐車スペースとして活用することで、土地を有効活用できます。 アパートには、玄関が1階・2階に分かれている「共同住宅」と、各住戸が1階に並ぶ「長屋」の形式があります。 共同住宅を建てるには、建築基準法上の接道義務(2m以上)を満たすだけでなく、敷地形状や用途地域、建ぺい率・容積率の条件も確認が必要です。
一方、長屋形式であれば、接道部分が比較的狭くても建築できるケースがありますが、自治体によって判断が分かれるため、事前に行政や建築士に確認しましょう。
間口が2mから4m程度の旗竿地でも、戸建て住宅を建てることは可能です。 敷地が広ければ、庭付きの住まいを実現できる場合もあります。 アパート経営に比べると収益性は低くなることが多いため、競合は少ない傾向があります。 特に、小さな子どもやペットのいるファミリー世帯、静かな環境で暮らしたい方には戸建て賃貸が好まれます。
戸建て賃貸は入居者の入れ替わりが少なく、長期的に安定した収入を期待しやすいのも魅力の一つです。
ガレージハウスとは、1階部分がガレージになっている賃貸住宅のことを指します。 多くの場合、シャッター付きのガレージが設けられており、自動車やバイクを安全に保管しながら生活できる点が特徴です。 また、ガレージ内で車の整備や洗車ができるため、車やバイクが好きな方に特に人気があります。 旗竿地でアパート経営や戸建て賃貸を検討する際は、駐車場の確保が大きな課題となります。
旗竿地は敷地内に通路やアプローチを確保しながら駐車スペースを設けるのが難しい場合が多いからです。 その点、ガレージハウスなら1階が駐車場となるため、別途駐車スペースを確保する必要がなく、限られた土地を最大限に活用できるメリットがあります。
駐車場経営は、土地の形状や立地にあまり左右されず、比較的低コストで始められる点が魅力です。 駐車場には「月極駐車場」と「コインパーキング」の2種類があり、周辺の需要に応じて選ぶことが大切です。
住宅街やオフィス街に土地を所有している場合は、月極駐車場が適していることが多いです。 月極駐車場は初期費用が比較的抑えられるため、気軽に始めやすく、万が一経営をやめる際にもほかの活用方法へ転用しやすいのがメリットです。
トランクルーム経営とは、土地の上にコンテナや物置を設置し、それを貸し出して収益を得る方法です。 個人では自宅の物置代わりに利用されることが多く、企業においては書類や備品の保管場所として需要があります。
土地の広さや日当たり、立地の影響を受けにくいため、旗竿地のように活用に悩みやすい土地にも適しています。 また、トランクルームは利用者の出入りが少ないため、竿部分の間口が狭くても運用しやすいのもメリットです。
旗竿地は建物が建つ「旗」の部分と、通路や駐車場として使われる「竿」の部分からなる土地です。 一区画が大きい土地は価格が高額になるため、複数に分割して価格を抑える過程で旗竿地が生まれることがあります。 旗竿地は形状が不規則なため、正方形や長方形の整形地よりも安く購入できるほか、道路から距離があることで騒音を気にせず快適に暮らせるメリットがあります。
一方で日当たりや風通しが悪くなりがちですが、2階にリビングやテラスを設けたり、吹き抜けや高窓を取り入れたりすることで改善可能です。 注文住宅で旗竿地を生かした設計を検討されている方も、リフォームでより住みやすくしたいとお考えの方も、所有している旗竿地を活用したい方も、それぞれのご希望に応じたプランづくりが可能です。 ぜひお気軽にパナソニック ホームズまでご相談ください。