住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
日本の住宅では、外壁にサイディングが採用されるケースが多く見られます。 しかし、サイディングにはどのような特徴があり、どんなメリット・デメリットがあるのか、また、メンテナンスはどの程度の頻度で必要になるのかをご存じでしょうか。 この記事では、サイディングの基礎知識や種類、メリット・デメリット、そしてメンテナンスの目安について、詳しく解説します。
日本では、外壁にサイディングを使用することが一般的です。 ここでは、サイディングとは何か解説します。
サイディングとは、建物の外壁に張る仕上げの素材で、「サイディングボード」と呼ばれることもあります。 耐久性と防水性を兼ね備えており、一般的なモルタル塗料を塗る方法と比べて均一性が高いので美しい仕上がりになるのが特徴的です。 サイディングの種類によって、断熱性や耐候性などの機能性を組み合わせられます。 施工期間の短縮やコスト削減の観点から、近年の住宅建築で主流となりつつあります。
サイディングの主な役割は、外部の刺激から建物を保護することです。 雨風や紫外線などのダメージから建物の躯体部分を守るための成分を含んだ素材でできているため、表面に張りつけることで建物の寿命を延ばします。 また、断熱性や遮音性を高めるための役割を果たしており、長く快適な暮らしをするためにはサイディングが必要不可欠です。
サイディングが日本で本格的に普及し始めたのは、1970年代に遡ります。 それ以前は、職人が手作業で外壁を仕上げるモルタル工法が主流でしたが、短時間で施工でき、大量生産にも対応できるサイディングの登場により、需要が急速に高まりました。 さらに1990年代には、欧米風の建築デザインが流行し、多様な色柄や質感を楽しめるサイディングがデザイン面でも支持されるようになります。 そして1995年の阪神・淡路大震災を機に、軽量かつ耐震性に優れた外壁材として、サイディングは機能面でも高く評価されるようになりました。
一口に「サイディング」といっても窯業系や金属系のほかにも多様な種類があります。 サイディングの種類と特徴を解説します。
窯業系サイディングとは、セメントと繊維質を主原料とし、高温高圧の窯で造られた外壁材です。 日本の住宅でもっとも多く採用されており、デザインやカラーのバリエーションが豊富なため、伝統的な日本家屋から洋風まで幅広い要望に対応します。
窯業系サイディングのメリットは、デザイン性と防火性の高さです。 非常に多くのカラーやデザイン(模様)から選べるので、住宅のスタイルや街の雰囲気に合わせて自由に選択できます。 また、主原料が耐火性の高いセメントのため、山火事や地震の二次被害などさまざまな火災リスクにも安心です。 施工の手間が少なくコストを抑えられるので、費用対効果に優れているといえます。
窯業系サイディングのデメリットは、耐水性能の低さです。 雨や湿気を吸収するため、定期的に塗装の塗り直しやシーリングの打ち替えをしなければ、物件の経年劣化を早めるおそれがあります。 1回あたりのコストを抑えられたとしても、長期的な視点で見るとメンテナンス費用が高くつく可能性があるので注意が必要です。 また、雨風のほか、寒暖差や地震などのダメージでひび割れが発生するリスクも高めです。
金属系サイディングとは、アルミニウムやガルバリウム鋼板などの金属素材を主原料とする外壁材です。 スタイリッシュな外観に仕上げたいときに活躍します。
金属系サイディングのメリットは、軽量さと耐久性の高さです。 軽量で地震の影響を受けづらく、耐候性と耐水性に優れた特徴を持ち合わせているので、雨風による躯体部分の腐食リスクが少なく済みます。 モダンでシャープな印象を与えるデザインが多くあるので、現代らしいスタイリッシュな住宅に仕上げたいときに活躍します。
金属系サイディングのデメリットは、軽量である代わりに衝撃を受けるとへこみやすい点です。 台風や地震などで飛来物が外壁に当たると、へこみやひび割れなどが発生し、補修が必要になることがあります。 また、金属系サイディングの表面が劣化すると、サビの発生原因になるので外観の見た目が悪くなります。
樹脂系サイディングとは、塩化ビニル樹脂などを主原料とした外壁材です。 日本よりも北米地域で普及しているのが特徴です。
樹脂系サイディングのメリットは、耐水性の高さです。 水分や湿気に強いため躯体部分の腐食やカビの発生リスクが少なく済みます。 経年劣化による剥がれや色あせが少なく、塗装を塗り直す必要がない製品が多いため、メンテナンス費用の負担と手間がかかりません。 また、柔軟性が高くて軽量なため、地震による倒壊リスクも少ないです。
樹脂系サイディングのデメリットは、日本国内での流通量の少なさです。 機能性に魅力を感じていても素材を用意している施工会社が限られているため、必ずしも対応してもらえるとは限りません。 また、窯業系・金属系サイディングと比較すると、デザインやカラーのバリエーションが少ないので、外観にこだわりたい人には物足りない可能性があります。
木質系サイディングとは、天然木材や木材加工した素材を使用した外壁材です。 ナチュラルでぬくもりを感じられるデザインが特徴的です。
木質系サイディングのメリットは、木材特有の質感と経年変化にあります。 窯業系や金属系のサイディングでは表現しにくい、木材ならではのぬくもりを演出でき、特に天然木材の場合は経年による色の変化も楽しめます。 また、機能面では断熱性と通気性に優れているため、夏は涼しく冬は暖かく、快適な室内環境を維持することが可能です。
木質系サイディングのデメリットは、耐久性の低さです。 水や湿気に弱いので、躯体部分の腐食によるカビやシロアリなどの害虫被害に遭うリスクがあるため、対策や定期メンテナンスが欠かせません。 防腐処理・防虫処理をしていても、メンテナンス頻度が高くなります。 定期的なメンテナンスは、美観の維持と躯体部分の保護の2つの役割を持つので、維持費がかかると想定した上で選ぶことが重要です。
外壁サイディングによる美観や耐久性を維持するためには、素材ごとの耐用年数を知ることが重要です。 ここでは、サイディング、シーリング材、塗料別の耐用年数を解説します。
サイディングの耐用年数は、素材の種類によって異なります。
木質系サイディングは、ほかの素材と比べてメンテナンス頻度が多くなります。 また、素材別の耐用年数は目安であり、実際には降水量や紫外線の影響、メンテナンスの頻度によって経年劣化の速度は変わります。
外壁サイディングを張りつける際に「シーリング材」と呼ばれる樹脂を隙間に充填するのが一般的です。 このシーリング材の耐用年数が5~10年といわれています。 サイディングに問題がなくてもシーリング材が経年劣化で縮小したり、地震の振動でダメージを受けたりすることがあるため、定期的なメンテナンスが必要です。 なお、初期段階であればホームセンターで販売されているシーリング材を使って部分補修できる場合もあります。
塗料の耐用年数は、種類によって異なります。
一般的な居住用物件では、シリコン樹脂系の塗料が多く使用されています。 紫外線に対する耐久性や防水性、防汚性など機能性が十分で耐用年数が長いため、費用対効果の高さが人気の理由です。 耐用年数の長さを優先するのであれば、光触媒系やフッ素樹脂系を選んでもよいでしょう。
外壁サイディングは美観性にも優れており、和風から洋風まで多様な要望に対応します。 ここでは、外壁サイディングの主なデザインを解説します。
塗り壁調は、左官が手作業で塗り上げたような見た目に仕上がるデザインです。 ハケを使ってセメントに繊維を混ぜ込んで焼き上げた素材を外壁の表面に塗りますが、ホウキをはくような手さばきにすることでアクセントを演出できます。 和風から洋風までデザインの振れ幅が広く、経年変化を楽しめるところが魅力です。
レンガ調は、本物のレンガを積み上げたような立体感と重圧感を演出できるデザインです。 板材を張るだけで施工が完了するため、短い工期で仕上げたい人に最適です。 遠くから見れば本物のレンガとほとんど同じですが、圧倒的に軽量のため、地震による倒壊リスクや経年劣化が早くなる心配はありません。 ただし、レンガのデザインはあくまでプリントになっているだけのため、近くで見るとチープな印象を抱く人もいます。
タイル調は、本物のタイルを張り合わせたようなスタイリッシュさが魅力のデザインです。 材料費の安さと施工作業のシンプルさゆえにコストを抑えながら、木質系サイディングや金属系サイディングと比べて重厚感を演出できます。 デザインやカラーのバリエーションが豊富で、希望のイメージや周辺環境の雰囲気に合わせて選択することが可能です。
木目調は、木材特有の模様を塗装や印刷で再現するデザインです。 自然要素を盛り込むことで、ぬくもりのある見た目に仕上がります。 淡い色を選べば爽やかな印象、深い色を選べばぬくもりや重厚感のある印象、黄や赤などの色を組み合わせれば個性的な見た目になるため、選択肢の豊富さも魅力です。
石目調は、石の模様を塗装や印刷で再現するデザインです。 高級感のある印象で、周りの景観に調和することが高く評価されて人気を集めています。 雨風や紫外線などの外部の刺激に対する抵抗力が高いため、経年劣化が進みにくく、メンテナンス頻度を少なく済ませられる点も大きな魅力です。
日本国内の住宅で外壁サイディングが多く採用されているのはなぜでしょうか。 ここでは、外壁サイディングを採用するメリットを解説します。
外壁サイディングは、安価な素材で大量生産できるため費用を抑えられます。 外壁を職人が手作業で塗るとなれば人件費がかかりますが、工場で生産された外壁材を張りつけるだけであれば作業コストを大幅に削減できます。 建物を建てるには、初期費用とランニングコストの両方の側面を考慮する必要があるため、素材の費用を抑えられるのであれば、それに越したことはありません。
外壁サイディングは、すでに出来上がっている外壁材を張りつける施工になるため、従来の手作業の施工と比べて大幅に施工期間を短縮できます。 工場生産された外壁材を現場に搬送して取りつけるだけなため、天候の影響を受けにくく、遅延のリスクも避けられます。
外壁サイディングは、模様やカラーなどデザインの選択肢が豊富に用意されています。 例えば窯業系サイディングには、次のようなデザインがあります。
和風から洋風まで多種多様な仕上がりを実現できて、カラーバリエーションの組み合わせによって個性や調和の演出が可能です。 そのほかにも、シャープでモダンさを出したいのであれば金属系サイディング、ぬくもりを感じたいのであれば木質系サイディングが向いています。
外壁サイディングは軽量化が進んでおり、耐震性に優れています。 重い素材が使われていると、雨風のダメージや地震の振動によって、外壁にひび割れ(クラック)を起こす可能性が高まります。 そのため、機能性を高めつつ軽量化を進めることが、耐震性の向上につながるという仕組みです。
外壁サイディングの中でも窯業系と金属系の素材は、高い防火性が備わっているため、火事が発生しても延焼を防ぎます。 同時に耐久性(耐衝撃性や耐候性など)にも優れており、適切にメンテナンスされていれば20年以上使えます。
外壁サイディングは、工場生産された製品を外壁の表面に張りつける工法のため、どの職人が施工しても仕上がりに大きな差が出ることはありません。 モルタルのように職人が手作業で施工する場合、経験値や技術力によって完成度の差が大きくなります。
外壁サイディングは多くのメリットがある一方で、住宅の寿命を守るためには事前に知っておくべき注意点や短所もあります。 ここでは、外壁サイディングを採用するデメリットを解説します。
工場生産の既製品を外壁に張るため、施工時には複数のサイディング材をつなぎ合わせる必要があります。 そのため、外壁の面積や形状によっては、つなぎ目になるシーリング材が目立って見栄えが悪くなることが懸念されます。 特に窯業系や金属系のサイディング材は隙間を埋めるためにシーリング材を使用するため、塗り壁やタイル調などのデザインを希望する人には不向きです。
シーリング材は、サイディング材よりも経年劣化が早いのが特徴です。 雨風や紫外線によるダメージで色あせると、シーリング材が目立つため美観性を損なうことにつながります。 また、経年劣化してひび割れが起きたり防水性が機能しなくなったりすると、隙間から雨水やホコリが浸入して躯体部分の腐食や雨漏りの原因になります。
特に窯業系サイディングは、熱を吸収して蓄える性質を持つため、夏場は室温が高くなり光熱費の高騰が懸念されます。 金属系サイディングや熱を吸収しやすい暗い色のサイディング材を使用する際には、外壁表面が高温になるため、夏場の室温調整が必要です。
サイディング材そのものには防水性能がついていません。 特に窯業系サイディングは水分や湿気を吸収しやすい性質を持っているため、適切な防水処理を施さなければ、雨水の侵入から膨張や変形の原因となります。 サイディング材の施工時には、防水シートや防水性の高いシーリング材で処理が必要です。
外壁サイディングの耐用年数は素材の種類によって異なりますが、おおよそ20~40年といわれています。 降水量や紫外線が多いと耐用年数が大幅に短くなることも珍しくなく、物件の寿命を延ばすためには10年ごとのメンテナンスが理想的です。 サイディング材の隙間を埋めているシーリング材の経年劣化は早く進むため、色あせやひび割れなどの症状が見られたら放置せずに迅速に対応しましょう。
注文住宅を建てる際、外観の印象を大きく左右するのが「外壁サイディング」の選び方です。 ここでは、理想の住まいづくりを実現するために押さえておきたい、外壁サイディングの選び方について解説します。
外壁サイディングは種類によって価格帯が大きく異なるため、予算を基準に選ぶことも重要なポイントです。比較的コストを抑えたい場合は、窯業系サイディングが主流で、初期費用を抑えつつもデザイン性と耐久性を両立できるため、多くの注文住宅で採用されています。 一方で、初期費用は高めでもメンテナンスの頻度が少ない金属系サイディングや樹脂系サイディングなど、長期的なコストパフォーマンスに優れた選択肢もあります。 ライフプランやメンテナンスにかけられる将来的な費用も考慮しながら、「初期コスト重視」か「長期的なコスト重視」かを整理することが、後悔しない選び方のポイントです。
外壁サイディングを選ぶ際は、家全体のデザインコンセプトを明確にすることが重要です。ナチュラル、モダン、和風、インダストリアルなど、どんな雰囲気の家にしたいかを先に決めておくことで、サイディングの素材や色、柄の選定がしやすくなります。 例えば、自然素材を生かしたナチュラルテイストの家には木質系サイディングがよく合いますし、スタイリッシュな外観を目指すなら金属系サイディングが効果的です。 建物の外観は住まいの“顔”となるため、コンセプトに沿って外壁材を選ぶことで、統一感のある美しいデザインを実現することができます。
外壁サイディングは、美観を維持するだけではなく、雨風や紫外線から大切な建物の躯体部分を保護する重要な役割を担っています。 窯業系、金属系、樹脂系、木質系など多種多様な種類が用意されており、それぞれメリットとデメリットが異なるのが特徴的です。 パナソニック ホームズでは、外壁サイディングに関するご相談を受け付けていますので、疑問や不安があればお気軽にお問い合わせください。