住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
一生に一度の住まいづくりとなる注文住宅において、畳のある空間にも魅力を感じる方は少なくありません。
ただし、生活様式が大きく変化した現代の暮らしの中で「和室は実際の生活に生かせるのだろうか」「手入れや維持管理に手間がかかり、使われない空間になってしまうのではないか」といった不安を抱く方もいらっしゃいます。
かつて日本の住宅において一般的であった和室も、ライフスタイルの変化や敷地条件の制約などを背景に、その役割や在り方が見直されてきました。
近年では、和室が持つ機能性や、多目的に活用できる柔軟な空間特性に改めて注目が集まっています。
本記事では、現代の住まいにおける和室の魅力と畳や建具の特徴、メンテナンスについてご紹介します。注文住宅で和室を検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

和室は、現代の住まいでも使い道を限定せず、さまざまな用途に対応できる空間です。
洋室では家具によって部屋の用途が固定されやすいのに対し、和室は家具や敷物の配置を変えることで家族の団らんの場や来客の応接間、寝室、小さなお子さまの遊び場など、さまざまな使い方が可能です。限られた面積を有効に活用できる点も利点の一つです。
また、近年の住まいづくりでは、和室をリビングダイニングと一体化した「続き間」として計画することも増えています。床の段差を抑えるなどバリアフリーに配慮し、建具で空間を仕切ることで、普段はリビングの延長として使用できるでしょう。
来客時や集中したいときには、個室として活用できる可変性も備えています。このように和室は、暮らしに合わせて柔軟に使える空間として注目されています。
和室を正しく理解し、その機能美を深く味わうためには、各部材の名称とその役割を知っておくと理解が深まります。伝統的な和室は部屋という枠を超え、部材の役割が整理された構成であり、それぞれの部材には、用途に応じた工夫が見られます。
・床の間
部屋の中で一段高く作られた場所で、掛け軸や生け花を飾るための空間です。お客様へのおもてなしの場で象徴的に扱われることがあります。身分の高い人の座所という位置づけもありましたが、現代では季節の移ろいを表現するディスプレイ空間としての役割も担っています。
・床柱
床の間の脇に立つ柱です。床柱は意匠上の柱として用いられ、空間の印象に大きく影響します。
・床框
床の間の手前、畳との境界に横たわる化粧材です。漆塗りのものや、美しい木目のものが使われ、床の間の印象を整える要素として用いられます。
・鴨居
建具(障子や襖)をスライドさせるために、開口部の上部に取り付けられる横木です。建具をはめ込むための溝が掘られています。
・敷居
鴨居と対になり、開口部の下部に取り付けられる横木です。建具を滑らせるための溝があり、部屋と部屋、あるいは部屋と廊下の境界線となります。
・長押
鴨居の上部、壁面をぐるりと囲むように取り付けられる化粧材です。もともとは柱をつなぐ部材として用いられたとされますが、現在は主に装飾的な意味合いや、ハンガーや額縁を掛ける実用的な役割で用いられます。
・欄間
天井と鴨居の間に設けられた開口部で、透かし彫りや障子などがはめ込まれます。欄間は通風・採光に寄与する場合があり、装飾としても用いられます。
また、格式の高い書院造の和室に見られる「帳台構え」は、敷居を通常よりも一段高くし、鴨居を低く抑えた独特の建具構えのことです。「納戸構え」とも呼ばれ、帳台構えは、貴人の寝所まわりや納戸口で用いられたこともあります。
現代の一般住宅でそのまま採用されることは稀ですが、座敷飾りの1つとしてその意匠性が受け継がれてきた背景を知っておくと、和室づくりの考え方を理解しやすくなります。
現代の和室のルーツは、平安時代の住居である「寝殿造」にさかのぼるといわれます。当時の寝殿造は板敷きが基本で、畳は部屋全体に敷かれるものではなく、高貴な人が座る場所や寝る場所にのみ置かれる移動式の座具として使用されていました。
空間は壁が少なく開放的で、屏風や御簾、几帳などで緩やかに仕切られ、個々の生活領域が形成されていました。
畳を敷き詰めた座敷が整備されるのは、書院造の成立以降です。武家社会の到来により接客や対面の儀礼が重視され、床の間や違い棚、付書院といった「座敷飾り」が整えられました。また、この時期から玄関が設けられ、公私の空間が明確に区分されるようになりました。
安土桃山時代には、茶の湯の流行を背景に、より質素で自由な「数寄屋造」が生まれます。茶の湯の広がりに伴い、書院造とは異なる意匠として発展し、「わび・さび」の美意識とも結びつきました。江戸時代になると、畳は庶民の住宅にも普及し、和室は一般的な住空間の一部として定着します。
明治以降、西洋文化の流入により洋室が増え、和室の割合は減少しました。近年、日本文化への関心やリモートワークの普及により、和室の価値を見直す動きが見られます。畳のある空間は、仕事と生活の切り替えや多目的な利用におすすめです。
さらに、建具による空間の可変性は、現代の住まいづくりにおいても参考とされます。
畳は日本で発達してきた伝統的な床材です。高温多湿な気候に合わせた素材として、調湿性などが特徴として挙げられることがあります。
ここでは、畳の特性と、暮らしにもたらす影響をご紹介します。
畳の特徴のひとつは、その独特の触感と多機能性にあります。フローリングにはない適度な弾力性は衝撃をやわらげ、膝や腰への負担を軽減すると感じる方もいるでしょう。
また、椅子やソファを置かずに床座を基本とする生活においては、空間を広く使えるメリットがあります。ただし、床座に慣れていない方にとっては、身体的に負担を感じることもあります。
1.吸放湿性
畳表に用いられる「い草」や、伝統的な稲わらを用いた畳床や現代の住環境に適した建材を用いた畳床など、素材によっても特性が異なります。多孔質構造を持ち、湿度が高いときには水分を吸収し、乾燥時には放出します。この調湿機能により、室内の快適性を一定に保つ効果が期待できるでしょう。
2.断熱性と保温性
畳内部には多くの空気層が含まれており、断熱材としての役割が期待できます。そのため、床から感じる冷えを軽減し、温かさを保てるでしょう。
3.吸音性と遮音性
畳の多孔質構造は音を吸収するクッションの役割も期待できます。物を落とした音や子どもの足音、会話の響きなどを和らげ、快適な住環境を形づくるでしょう。
い草の香りや素材感は、
・リラックス効果
い草にはバニリンなどの香り成分が含まれています。新しい畳の香りは、古くから多くの日本人に親しまれてきました。その香りを「心地よい」「懐かしい」と感じ、気分が落ち着くという声も多く聞かれます。日々の生活の中で、ほっと一息つけるような穏やかな空間づくりに役立ちます。
・作業に馴染む和のワークスペース
畳のある空間は、特有の穏やかな香りと肌触りにより、自然と気持ちが切り替わるような「落ち着き」と「適度な緊張感」を併せ持っています。足裏から伝わる質感やい草の香りが、日々の学習や仕事に向かう環境づくりをやさしくサポートするでしょう。お子さまのスタディコーナーや大人のテレワークスペースとして、集中して物事に取り組みたい場所としての採用も広がっています。
和室を構成する要素として、畳と並んで重要な役割を担ってきたのが「建具(障子・襖)」です。日本の住まいでは、壁によって空間を固定的に区切るのではなく、建具を用いて用途や状況に応じて空間を調整する考え方が受け継がれてきました。
障子や襖は、視線をやわらかく遮りながら、光や風を取り込み、必要に応じて空間のつながりや独立性を切り替える役割を果たします。このように、建具によって空間を曖昧に仕切り、環境や暮らし方に柔軟に対応する点は、日本建築における大きな特徴です。
障子は、室内に取り込む光をやわらかく整える建具として位置づけられてきました。カーテンやブラインドは、光を「遮る」「通す」といった明確な切り替えになりやすいのが特徴です。一方、障子は直射日光を和らげながら光を拡散させ、室内全体を穏やかな明るさで包み込む特性があります。
障子紙を通過した光は、影の輪郭をぼかし、空間全体に均質でやさしい明るさをもたらします。直射日光による眩しさが抑えられることで、視覚的な快適性の向上につながるでしょう。
また、室内環境の調整にも寄与する建具です。窓ガラスと障子の間に生じる空気層が、体感温度に影響を与える場合があります。
襖は、空間を区切る機能にとどまらず、室内の意匠を構成する要素として、日本の住空間で受け継がれてきました。なかでも「本襖」は、職人の手仕事によって仕上げられる伝統的な建具としての位置づけです。
特徴的な構造として、木製の骨組みに和紙を幾重にも張り重ねる製法が挙げられます。特に「浮け張り」と呼ばれる技法では、骨組みと表面紙の間に、周囲のみを糊付けした紙を重ねることで中央に空気層を設けます。この構造がクッションのような役割を果たし、表面を均一に整え、本襖ならではの凛とした美しい仕上がりを生み出します。
また、表面の和紙が汚れたり破損したりした際も、張り替えによって繰り返し手入れができるのも本襖の利点です。骨組みを生かしながら必要な部分を更新して使い続けられる仕組みは、一つのものを長く大切に使う、現代の環境配慮の視点からも注目されています。
特に「浮け張り」と呼ばれる工程は重要で、骨組みと表面の紙の間に、周囲だけ糊付けした紙を張り、中央に空気の層を作ります。これにより、表面を整えやすい製法として説明されることがあります。浮け張りは表面をきれいに仕上げるための工程として説明されます。
表面の紙が汚れたり破れたりした場合でも、紙を張り替えることで、状態に応じた手入れをしやすい点が挙げられます。紙を張り替えて使い続けられる点は、長く使うという観点から環境配慮につながると捉えられることもあります。
どれほど優れた素材を使っても、構造計画や法規条件によっては、希望する寸法や配置が難しい場合があります。HS構法では、15cm単位で調整できる設計グリッド(マルチモジュールシステム)が紹介されています。敷地条件に応じた寸法計画の考え方として位置づけられます。ただし、構造の強さを確保するために、必要な耐力壁の量は計算により決まります。ここでは、その技術的ポイントとなる「アタックダンパー」と「マルチモジュールシステム」について紹介します。
パナソニック ホームズの制震鉄骨軸組構造(HS構法)の特徴の一つとして、制震要素があります。
従来のブレース構造では、ブレースの座屈などが設計上の考慮点として挙げられることがあります。
これに対し、アタックダンパーは、「座屈拘束技術」を住宅用に採用しています。座屈拘束の考え方により、圧縮時でも安定して耐力を発揮できる仕組みです。また、建物の変形を抑え、揺れに対する安全性を高めることを目的としています。
構造計画の範囲内で、大空間化を図る提案として説明されています。
こうした構造技術により、リビングと和室を仕切る壁を減らし、開放感のある空間を実現しやすくなります。大開口の窓と和室を組み合わせることで、庭の景色を取り込んだ趣のある空間づくりが可能になります。また、間取りの自由度が高まることで、暮らし方に合わせた和室の配置も検討しやすくなります。
HS構法では 15cm単位で計画できる「マルチモジュールシステム」 を採用しており、 敷地形状や空間寸法に合わせて細かく間取りを調整 しやすくなります。一般に住宅設計では 910mm や 1000mm を基本とするモジュール が用いられる例もありますが、15cmの細かなモジュールを使うことで、都市部の敷地条件でも柔軟な設計が可能になります。
都市部では敷地面積に制約があるケースもあるため、平面的な広さに加えて上下方向の空間を活用する考え方が紹介されることがあります。そこで提案例として紹介されているのが、多層階住宅『Vieuno(ビューノ)』です。
Vieuno(ビューノ)は、都市部の敷地を「上へ生かす」ことを目的とした多層階住宅です。最大9階建てまで対応できる構造とし、敷地条件や用途に応じて階数や仕様を変えられます。こうした設計対応力により、大きな開口や柱の少ない大空間が実現しやすく、フロア全体を見渡せる空間や、明るい和室といった多様な空間計画を検討することができます。
Vieunoは、賃貸併用住宅や二世帯住宅としても活用でき、都市部の利便性を活かしつつ、暮らし方に応じた住まいの一案として検討することができます。都市の立地条件を生かしながら、各世帯の生活スタイルや目的に合わせた柔軟なプランニングが可能で、都市型住宅としての多様な使い方に対応できることも魅力です。
本格的な和室を設けるスペースが十分でない場合や、よりカジュアルに畳を取り入れたい場合に活用しやすいのが、畳コーナー収納ユニット「畳が丘」です。「畳が丘」は、小上がり収納としての機能に加え、立ち座りのしやすさや腰掛けとしての活用など、日常の使い勝手に配慮された設計になっています。さらに、畳の下は収納スペースとして利用でき、日用品や季節用品の整理、長尺物の収納などにも対応可能です。収納量が確保できることで、片付けやすさも向上します。使用する畳には調湿性があるとされ、メンテナンス性に優れた畳材の選択肢が用意されている場合もあります。収納や段差を含めた使い勝手の観点から、設置の工夫や活用方法が紹介されることがあります。
リビングの一角に設置すれば、来客時の応接スペース、子どもの遊び場、家事スペースとしても活用でき、段差を利用してベンチのように腰掛けることも可能です。また、ダイニングテーブルと組み合わせた使い方も考えられ、多様なライフスタイルに合わせた柔軟な活用ができます。
和室を良好な状態で保つためには、畳や建具といった各素材の特性を理解し、それに配慮した扱いを心がけることが重要です。適切な手入れをすることで、傷みや劣化を抑え、快適な住環境を維持しやすくなります。
また、和室に用いられる自然素材は、使い込むほどに風合いが変化する特徴を持ちます。こうした経年変化を味わいながら、美しさを長く保つには、基本的な作法や日常的な配慮を知っておくことが役立つでしょう。
和室において受け継がれてきた作法やマナーは、形式的な礼儀作法にとどまりません。畳や建具といった素材を傷めにくくするという、実用的な意味を持っています。
・敷居や畳の縁を踏まない理由
敷居は、襖や障子といった建具の滑りに関わる部材であり、上を踏むことで摩耗や歪みが生じやすいとされています。そのため、敷居を踏まない所作が、建具を長持ちさせる配慮として大切にされてきました。
さらに、畳の縁はい草の断面を保護し、畳全体を補強する役割を担います。ただし、畳の中でも特に摩耗しやすい部分とされています。かつて家紋入りの畳縁が用いられていたことから、家や先祖への敬意と結び付けて考えられる場合もあります。畳の縁を踏まないように歩く所作は、こうした背景に加え、畳の傷みを防ぐための基本的な配慮の一つです。
・襖や障子の開閉について
襖や障子は、強い力で開閉すると枠や建具本体に負担がかかるケースがあります。日常的に丁寧に扱うことを心がけることで、歪みや破損を防ぎ、長く良好な状態を保ちやすくなります。
和室を良好な状態で保つには、日常的な手入れに加え、素材の特性を踏まえた定期的なメンテナンスを行うことが重要です。特に「湿気への配慮」と「素材に適した扱い方」は、和室の快適性を維持するうえでの基本的なポイントです。
換気と湿気対策
い草や和紙といった自然素材は、湿気の影響を受けやすい特性があります。そのため、日常的に換気を意識し、室内に湿気を溜め込まない工夫が求められます。天候の良い日には窓を開けて風を通しましょう。梅雨時など湿度が高い時期には、エアコンの除湿機能やサーキュレーターを活用して空気を循環させると効果的です。
なお、畳の上にカーペットやラグを重ねて敷くと、通気性が損なわれ、湿気がこもりやすくなる場合があります。使用環境によっては、カビなどの発生リスクが高まる可能性があるため、注意が必要です。
掃除の方法
日常の清掃では、掃除機を畳の目に沿ってゆっくりとかけることが基本とされています。畳の目に逆らって掃除機をかけると、い草を傷め、ささくれの原因となる場合があります。
プロによるメンテナンスの考え方
畳は、表面が傷んだ場合でも、内部の畳床が健全であれば再生が可能な床材とされています。状態に応じて「裏返し」「表替え」「新調」といった方法が選択されますが、その時期はあくまで目安であり、日当たりや使用頻度、湿気環境などによって大きく異なるでしょう。
・裏返し:使用していない裏面を表にして再利用します。
・表替え:畳床はそのままに、畳表と畳縁を新しいものに交換します。
・新調:畳床の弾力性が失われることや、凹みが大きくなった場合に、畳全体を新しくします。
畳のメンテナンス時期や方法は、住まいの環境や暮らし方によって適切な判断が異なるでしょう。そのため、新築時の計画段階から、将来の手入れや更新までを見据えることが重要です。
パナソニック ホームズでは、長く快適に使い続ける住空間の一部として捉え、素材選定や納まり、メンテナンス性にも配慮した住まいづくりを行っています。暮らし方や家族構成の変化を見据えながら、和室の取り入れ方や将来的なメンテナンスについても、総合的な視点で相談できる体制が整えられています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

和室は、来客用の客間に限らず、家族がくつろぐ場や家事の合間に使うスペース、来客対応の場など、暮らし方に応じて柔軟に活用しやすい空間です。用途をあらかじめ固定せず「マルチスペース」として住まいに取り入れられる点も、和室の特長の一つといえます。
畳の清々しい香りや穏やかな触感、障子を通して広がるやわらかな光、襖によって生まれる空間の可変性。こうした日本独自の住文化に根差した要素は、現代の暮らしの中に、落ち着きや心地よさをもたらす要素になるでしょう。
パナソニック ホームズでは、和の要素を住まい全体の中でどのように生かすかを大切にし、家族構成やライフスタイルの変化も見据えた住まいづくりを行っています。和室を設けるか迷っている段階からでも、暮らしに合った取り入れ方について相談できる体制が整えられており、長く快適に住み続けるための視点から提案が行われています。和室を日常に寄り添う空間として検討している方は、ぜひ、お気軽にご相談ください。