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市場動向(2021年7月号) 眠れるマーケット福祉建築の将来性

  • 高齢者住宅・介護住宅
  • 高齢者

株式会社ケアビジネスパートナーズ
代表取締役 原田 匡

このコラムの内容は、2021年(令和3年)7月現在のものです。

急速な高齢化が進行する日本において福祉介護と住まいをめぐる問題は待ったなしの状況にあります。
そんな中、これからの共生社会のあり方をさまざまな視点から提言されている福祉ビジネスコンサルタントの原田匡さんにお話しを伺いました。

政府は近年、福祉介護政策を重点的に展開。
2011年(平成23年)に改正障害者基本法、2015年(平成27年)に認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)を制定。
誰もが住み慣れた地域で自分らしい暮らしを、人生の最後まで続けることができる社会の実現をめざし、地域包括ケアを推進しています。

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イメージ図:地域包括ケアシステム

介護を必要とするような高齢者の方や、
障がいをお持ちの方向けの施設
というものは、
今後増やすべき状況なのでしょうか。

全体の人口比率から見れば不足している状況です。さらに言うと、終末期を迎えた方々は病院ではなく、生まれ育った地域や家で生涯を終えたいと望まれる方も多くいらっしゃる。そういう方々を地域で支えていけるような場所がこれからまだまだ必要となってきますね。重度の方に対応できる住宅・施設というのは、ソフト面とハード面の色々な意味合いでの融合が必要になってくることから、課題も多いですね。

2018年(平成30年)3月には
重度の障がい者向けグループホームの
日中サービス支援型が新設され、
今年の4月には高齢者向け
グループホームの要件緩和等の
改正もありました。

時代に応じて新しい形態も出てきています。障がいをお持ちの方の重度化・高齢化も進み、グループホームはますます必要とされています。ただ明らかに必要とされている東京・大阪・名古屋といった都市部の人口密集地では、そういった施設を整備するための土地が足りない、充足率という観点では都市部では非常に厳しい状況にあるのかなと思いますね。

施設を建築するためには
地域の方々の理解が必要ですが…。

ある程度の規模を持った土地が必要だということに加え、やはり「障がい者」という言葉の偏見や固定概念といったものをお持ちの方が多いのが現状です。高齢者施設への理解はかなり浸透してきましたが、「障がい者」という言葉の持つ重たさが大きなハードルになっているということはよく耳にしますね。ただ、「障がい者」への差別の解消は最近目に見えて進んできており、「障がい」ではなく個性、価値として、その方の能力をどのように発揮していくことができるのかと考えていくことは、今後の労働力不足へのひとつの答えとなるのではないかと注目されています。そういう価値観の変化を後押しするような仕組みづくりを、国としてもどんどん進めていく方向にあると思いますね。

団塊の世代が介護を必要とするような
年齢層に差し掛かってくると、
これまでとはまた違った問題が
出てくるのでしょうか。

団塊の世代が75歳以上の後期高齢者ゾーンに入るいわゆる「2025年問題」(※図1)はもう目前ですが、実はこの世代の方々は、まだまだお元気な方がたくさんいらっしゃいます。その年代の方々に必要とされる高齢者向けの施設整備を考えると、いかに社会と繋がって暮らしていくのか、社会参加ということを住宅の中にうまく組み込んでいくことができないか。そういった観点が必要になってくるのではないでしょうか。施設の量だけではなく質的な変化もこれからは求められてくる気がしています。

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グラフ:高齢者人口及び割合の推移

これからの土地活用として、
福祉建築は将来性のある
選択肢のひとつとして、
ご検討いただきたいですね。

土地オーナーの皆さまは地域に代々住まわれてきて、社会貢献とか地域貢献といった意識がとても強いと思いますが、社会の変化の中でこの地域がこれからどうあるべきなのかという延長線上で理解を深め、前向きにご検討いただくことを我々は期待していきたいですし、行政側からもぜひそういったことへの支援をどんどん打ち出していってほしいなと願っています。

(聞き手:本誌編集部)

株式会社ケアビジネスパートナーズ 代表取締役 原田 匡 はらだ ただし

株式会社
ケアビジネスパートナーズ 
代表取締役
原田 匡 はらだ ただし

京都大学法学部卒業
日本社会事業大学専門職大学院
福祉マネジメント研究科
ビジネスマネジメントコース卒業。
飲食やサービス企業、予備校、医療法人など多岐にわたり事業支援を手掛け、経営コンサルタントとしての経験、並びに自らの起業経験を融合し、現在は介護市場に特化した経営支援活動を全国で展開している。介護業界に対する深い知見と全国に幅広い事業者ネットワークを持つ。その他、介護業界向け経営セミナーの実績多数。

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