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市場動向(2021年11月号) 『賃貸併用住宅』
という選択

  • 賃貸住宅経営
  • 遺産相続

ファイナンシャルプランナーAFP
榎本 克彦

このコラムの内容は、2021年(令和3年)11月現在のものです。

いま私たちは、住まいをめぐるさまざまなニーズに向き合っています。
土地のこと、お金のこと、さらには自然災害や近い将来の家族関係と暮らし方まで、
住まいに関する課題はパーソナルでありながら、とても普遍的なテーマです。
好立地の限られた敷地を最大限に生かす『賃貸併用住宅』は、そうした課題解決策のひとつとして有効だと捉え、
今回は賃貸併用住宅のメリットや注意点を、実例を交えながらご紹介します。

土地と住まいを
複層×複合的に生かす活用法

賃貸併用住宅とは、端的に言うと賃貸住宅の家賃収入をベースに、土地と住まいを上手に生かす活用法です。負担を抑えて自宅の建て替えを実現したり、プラスアルファの収益を得て豊かな老後を送ったり、自営店舗部分の経営収支を補うなど、定期的な収入が得られる賃貸住宅部分を建物に組み入れておくことで、さまざまな目的に備えるゆとりを手に入れることができます。次世代のために相続や税金の問題をクリアにできる、価値ある資産継承が実現する、といった基本的な効果が見込めることはもちろんです。加えて、昨今の異常気象から増大する災害リスクや、ご家族のライフステージの変化、税制等の社会システムの変化に対しても、確かな物件力を持つ賃貸併用住宅が生活の基盤にあると、柔軟な対応がとりやすくなるのではないでしょうか。

広さと眺望、
開放感を得られる
上層階のくらし

いちばんのメリットは、なんといっても家賃収入を建築費の返済に充当できること。例えば以下のような具体的なポイントが挙げられます。

賃貸併用住宅のメリット

  1. 建物全体の規模が大きくなり、自宅の希望面積を優先確保できる。上階は陽あたり風通しが良く快適。
  2. 家賃収入があるため、自宅の設備機器などのグレードアップも可能。
  3. 老後も続けてうれしい生活資金を生み出してくれます。

ご自宅部分を最上階に設ける場合は、プラン的にも多くのメリットが得られます。日当たりと眺望に恵まれたリビング、空と一体になれるような開放感を味わえる吹き抜け空間、眼下の街明かりに癒される屋上アウトドアリビング・・・近隣からの視線を気にせずのびのびと過ごせるなど。多層階を生かした二世帯同居なら、近居感覚でお互いに気兼ねなく暮らすことができ、さらに上層階は空き巣などの犯罪被害が少ないことも報告されています。

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グラフ:侵入窃盗の発生場所別認知件数による割合

設計と経営、2つの側面から
慎重にご検討を

魅力が多い賃貸併用住宅ですが、建築時には大きく分けて2つの注意点があります。1つめは、ご自宅と同じ建物内に他人も暮らすことへの設計配慮が必要になってきます。間取りや動線の分け方とプライバシーの確保、遮音性、融資条件を左右する面積配分など、実績とノウハウを持つ会社・設計担当者とよくご相談ください。2つめは賃貸住宅経営の事業としての安定性・継続性です。無理のない収支計画、入居者が快適に暮らせて満室が続く工夫、メンテナンス対応が重要になる他、万一の地震や火災などの災害に強い信頼性の高い建物であること、犯罪リスク対策、相続発生時の対応ー遺産分割や用途転換への対応ー等、幅広い観点での検討が大切です。空室の発生リスクを回避する1つの手段として、一括借上げを活用することもおすすめです。

資金計画の成否は
ローンの内容次第で変わる

計画の成否を大きく左右するポイント、ローンについての概要を説明しておきます。一般的には、賃貸割合を多めにとる場合はアパートローン、ご自宅面積を大きくする場合は住宅ローンとなります。賃貸部分とご自宅部分を区分登記すると、2つのローンを併用することも可能です。それぞれ融資条件や特徴に違いがありますので、よく比較検討して有利な資金計画を組み立てましょう。

グラフ:住宅ローンとアパートローンの融資条件比較

アパートローンのポイント

  1. 1法定相続人のうち、事業継承予定者が1名以上いること。
  2. 2計画建物の収益性を確保。
  3. 3土地・建物の担保価値があること。

賃貸経営の不安を解消するために

  • 投資額が大きく心理的な負担も
    余裕ある収支計画を。
  • 空室になると増える返済額
    魅力ある設計で満室に。一括借り上げの検討。
  • オーナーさまと入居者とのプライバシー確保
    動線を分離する設計を。
  • 金利上昇リスクへの対応
    固定金利の活用、繰り上げ返済を行う。
  • 修繕リスク
    大規模修繕が少ない建物を選択。中小企業向け融資も検討。
  • 暮らしの変化への対応
    用途転換(コンバージョン)しやすい建物を選択。
  • 相続時の分割対応の難しさには
    相続後の法人化による賃貸収入の分散。
  • 犯罪リスクに対して
    オートロックや監視カメラの設置、入居者審査など。
  • 災害リスクに対して
    地震や火災など、災害に強い強固な建物を選択。

相続税対策に有効な
賃貸併用住宅への建て替え

最後に、賃貸併用住宅への建て替えを活用した相続税対策事例をご紹介しておきましょう。下記のAさんに相続が発生した場合、何も対策をしなければ相続税評価額は1億400万円。2人の子どもたちはそれぞれ420万円の相続税を負担しなければなりません。1億5,000万円のローンを組んで2世帯同居の賃貸併用住宅に建て替えると、貸家建付地評価に加え、「小規模宅地の評価減」適用で、課税遺産総額はマイナス評価となり、相続税はもちろん0円。住宅ローンは家賃収入で返済でき、新築バリアフリーの住まいで快適、かつ傍に家族もいてAさんは安心して過ごせるようになります。多層階の建築が可能な土地で、収益面など条件が整っていれば、課題を一挙に解決できるのが賃貸併用住宅のメリットです。

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図:賃貸併用住宅への建て替えによる相続税対策の事例
ファイナンシャルプランナーAFP 榎本 克彦 えのもと かつひこ

ファイナンシャルプランナー
AFP
榎本 克彦えのもと かつひこ

パナソニック ホームズ株式会社
営業推進部
特建営業企画課 主幹
35年間にわたり顧客の問題と向き合い、解決してきたことが強み。賃貸住宅や分譲住宅をはじめ、複合施設、医療・介護施設、不動産投資物件、ホテル建築など、ほぼ全ての分野の受注経験とノウハウを持つ。優秀実績表彰多数。自らも賃貸物件を保有し、賃貸経営の奥深さ、社会的意義、オーナーとしての責任ややりがいも体感。実体験をもとに行うアドバイスは地主さま・家主さまから絶大な信頼と、オーナーさま・入居者さまの立場に立った課題解決案・改善等の提案により社内外から高い評価を得る。

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