住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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2021年度(令和3年度)の税制改正では、コロナ禍できびしい家計や事業者の負担軽減が図られるとともに、
ポストコロナでの経済成長を促進させる施策が組まれています。
今回は賃貸住宅や不動産オーナーさまに関心が高いと思われるものについて解説します。
固定資産税は3年に一度評価替えが行われていますが、2021年度(令和3年度)がその年にあたります。コロナ禍前の2020年1月1日時点の高い地価が評価の基礎となるため、税負担が過重になる恐れがありました。地価上昇があった場合は2020年度(令和2年度)の税額を据え置いたまま、商業地だけでなく住宅地や農地も含めすべての土地の固定資産税が据え置かれます。地価下落で税額が下がる土地はそのまま減額されます。
住宅ローン控除については、特例措置で13年間受けられる適用期限を一定の条件のもと2年延長するほか、改正前は床面積の下限が50m2以上のところ、改正後は40m2以上に緩和され、小規模な物件でも住宅ローン控除の適用が受けられるようになります。ただし50m2未満の物件では、高所得者層が優遇をうけないように、1,000万円(通常は3,000万円)以下の所得要件が付されます。なお、ローン残高の1%が控除される仕組みについて、低金利時代では実際に支払った金利以上の控除となる場合があり、過度な優遇との指摘があり、2022年度(令和4年度)以降での見直しとなりました。
子や孫への住宅取得資金贈与については、上限1,500万円の非課税枠が2021年12月まで継続されます。受贈者の受贈年の所得が1,000万円以下であれば、床面積の下限が40m2(通常は50m2)以上に緩和されます。この改正は2021年1月1日以後の贈与から適用されます。
改正前 | 改正後 | |
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消費税等の税率10%が適用される住宅用家屋の新築等 | 1,200万円 (700万円) |
1,500万円 (1,000万円) |
上記以外の住宅用家屋の新築等下 | 800万円 (300万円) |
1,000万円 (500万円) |
※耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋にかかる非課税限度額( )内の金額は一般の住宅用家屋に係る非課税限度額
子や孫に教育資金を一括して贈与した場合に、1,500万円まで贈与税を非課税にする優遇措置について、適用期限が2年間延長されます。ただし、過度な節税対策を抑制するために、管理残額(未使用分)への課税が強化されます。贈与者の死亡で相続等により取得したものとみなされる管理残額については、贈与後3年経過後であっても、相続税が課されたうえ、子以外(たとえば孫)が取得するときは、2割加算の対象になります。ただし、贈与を受けた人が23歳未満や在学中の場合などは課税対象になりません。2021年4月1日以後の信託等について適用されます。
改正前 | 改正後 | |
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贈与者死亡時の管理残額への課税 | 贈与から3年以内なら 相続税課税あり 2割加算なし |
相続税課税あり 2割加算あり |
贈与から3年経過後なら 相続税課税なし |
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適用期限 | 2021年3月31日まで | 2023年3月31日まで |
※2割加算とは、相続・遺贈により財産を取得した者が、被相続人の一親等の血族(その代襲相続人である被相続人の直系卑属を含む)及び配偶者のいずれでもない場合に、その者の相続税額に20%が加算されるしくみ。
結婚や子育て資金を一括して贈与した場合に、1,000万円まで贈与税を非課税にする優遇措置について、受贈者の年齢要件が20歳以上から18歳以上に引き下げられ、適用期限が2年延長され、受贈者が子以外(たとえば孫)の場合、相続税の2割加算が適用されます。2021年4月1日以後の信託等について適用されます。改正前では、贈与者が死亡時の「管理残高」は、年数に関係なく相続税課税でしたが、2割加算はありませんでした。
高齢者に偏る資産の若年世代への移転が課題となっています。そこで、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化の防止等に留意しつつ、新たな税制の構築に向けて、本格的な検討が進められることが明記されています。
税理士 栗原 隆 くりはら たかし
栗原綜合税理士事務所 所長。国際会計事務所であるデロイト・ハスキンズ事務所を経て、税理士法人 四谷会計事務所にて資産税中心に従事し、2018年10月に独立。現在は高齢者が抱える課題の解消に特化したユニークなサービスを提供。相続対策の前の認知症対策を重視し、任意後見契約や家族信託などの制度を活用して、提案型でお客様に利便を提供している。著書に「知って得するやさしい税金」(鳳書院・共著)。CFP®、1級FP技能士、マンション管理士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士の資格を持つ。