住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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お役立ちコラム
【目次】
建築費用は、アパートの規模や使用する建材の種類・質によって変わります。アパート経営を始めるオーナーにとって、安全性や耐久性、機能性などをどこまで突き詰めればよいのか迷うところでしょう。そこで費用を抑えてしまうと、居住性に問題が生じたり設備が陳腐化した際に入居者が付きづらくなり、収益にも影響します。こうした経営的な目線と入居者目線でとらえた時、有効的な手段と考えられるのがさまざまな補助金制度です。
補助金を申請するためには、特定の条件を満たす必要があります。国や地方自治体が行う補助金事業に共通する、おさえておきたいポイントは3つ。1つ目が耐久性や耐震性に優れ、長期的に使用できるアパートであること。2つ目に、高齢者や子育て世代に配慮したアパート。3つ目がカーボンニュートラルとエネルギー効率を考えたアパートであることです。つまり、建物の長寿命、年齢や世代、省エネに配慮のうちいずれかもしくは複数を満たしたアパート建築であれば、補助金の対象となる可能性が高くなります。
国や地方自治体が行う補助金事業はさまざまです。その中で、国が行う補助金制度、そして国の補助金に沿った内容の東京都の助成金について紹介します。補助金や助成金は年度ごとの募集や着工期限などもあります。自治体などに確認、またはハウスメーカーや住宅販売会社などに一度相談するとよいでしょう。
子どもの事故防止や防犯などの安全対策といった子育て環境整備を汲み込んだ共同住宅の新築・改修に対して補助する事業です。転落防止柵の設置などの安全対策に対して、新築では事業費の1/10、改修工事では1/3が支給されます。ただし、上限は一戸あたり100万円。令和6年からは、子どもの防犯安心性の確保の観点から宅配ボックスの設置についても補助金が支給されることになりました。ほかにも、子育て期の親同士の交流を促す施設(キッズルーム・遊具や水遊び場など)を設置した場合にも補助金を受けることが可能です。上限は500万円。
地域の木材を活用して建築する省エネ性能などに優れた木造新築住宅に対して支援する国の事業。条件によって異なりますが、補助額は最大140万円で、対象となるのは国が指定する基準をクリアした木造住宅です。長寿命型(認定長期優良住宅)、ゼロ・エネルギー住宅型(ゼロ・エネルギー住宅/ZEH、Nearly ZEH、ZEH Oriented及び認定低炭素住宅)といったアパートを建築することで、補助金を受けることができます。
ただし、2024年度は実施予定がないため、2025年度以降に再開するか類似の事業の開始を待ちましょう。
国のゼロ・エネルギー住宅型の補助金とは別に、東京都では独自の住宅助成金制度があります。太陽光発電や蓄電池を設置し、高い断熱性能を持つ断熱材や窓を用いたり、省エネ性能の高い照明やエアコンなどを取り入れるなど、人、そして地球環境にやさしい住宅を「東京ゼロエミ住宅」と認定。集合住宅に対して一戸あたり最大170万円の助成金が受給できます(令和6年度10月までの申請分)。地域型住宅グリーン化事業でも触れたZEHと同様の意味を持ち、使うエネルギーよりつくるエネルギーが大きくなる住宅に東京都としても助成金を支給するというもの。ZEHの省エネ基準より削減率が高く設定されていることなどが特徴です。
アパートを建築する際に、補助金という形ではなく、主に税金面でのメリットを受けられるようになる方法として、長期優良住宅に認定されるという方法があります。長期優良住宅とはそのものずばり、良好な状態で長期間暮らすための設備が整った住宅。国が定めた長期優良認定制度の基準をクリアすれば、晴れて認定長期優良住宅となり、住宅ローン減税や地震保険料の割引などのメリットがあります。
国が定めたアパートなど共同住宅の認定基準の場合は10項目あります。認定基準は厳しく見えますが、認定を受けたアパートは持続資産としての価値も向上するのではないでしょうか。以下にその基準を紹介します。設計から認定まで時間を要することもあり、アパートを建築する際には事前に建築を担当するハウスメーカーなどと話しあっておくとよいでしょう。
【基準概要】
長期優良住宅の認定を受ける際、「地域型住宅グリーン化事業」の補助金申請を同時に行えるほかにもさまざまなメリットが期待できます。税制面では、所得税のほかに登録免許税、不動産取得税、固定資産税が軽減。アパート経営を考えているオーナーにとってスタートするための後押しになるかもしれません。耐震等級の基準も含まれていることから、地震保険料の割引にも対応しています。ほかにアパートローン金利などが優遇されることも。長期優良住宅の認定は新築に限らず、税制優遇などが受けられるため、すでにあるアパートをリフォームする場合にも考えておくとよいでしょう。
国による補助金制度以外に東京都のような都道府県、さらには市区町村といった地方自治体でもさまざまな補助金制度を設けています。ここでは、東京・埼玉・千葉・大阪のほか、他の都市でも実施されている共同住宅が対象に含まれる助成金を紹介します。都道府県・市区町村の補助金・助成金の交付要件には、認定長期優良住宅と明示されていない場合もありますので、確認しておきましょう。
概要/耐火・準耐火建築にするための支援
要件/一定の要件を満たした老朽建築物の解体除却前の申請、ほか
概要/耐震性が不十分な住宅の耐震改修工事や建替え工事を行う貸主に対して補助。
要件/東京ささエール住宅(セーフティネット住宅)に専用住宅として登録、ほか
概要/一定の要件を満たす老朽マンションを建て替える際、建築費の一部を補助
要件/都が指定する「重点供給地域」内でマンションを建て替える際、隣接する狭小道路の拡充などを行うこと、ほか
概要/港区の賃貸住宅の共用部分に対し、新たな防犯機器を設置する場合に要した費用の一部を助成
要件/建築基準法、その他関係法令に適合した建物、ほか
概要/地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減に向け、省エネルギー及び創エネルギー機器等を導入した区民に、設置・施工費用の一部を補助
要件/区内に集合住宅を所有し、当該住宅に太陽光発電システムなどを設置して申請
概要/宅配ボックスの設置について経費を一部助成
要件/交付決定後に購入及び設置に関する契約が行われること。業者の設置工事により移設できないように固定されていること、ほか
概要/県内の共同住宅に自家消費型太陽光発電設備及び蓄電システム等を導入する経費の一部を補助
要件/補助事業を実施する共同住宅において、新たに導入する自家消費型太陽光発電設備で発電された電力を当該共同住宅で消費すること、ほか
概要/民間建築物を対象に、耐震改修・建替への補助制度
要件/昭和56年5月31日以前に着工した、耐震診断で安全でないと判断された共同住宅、ほか
概要/有休不動産のリノベーションに係る経費の一部を補助
要件/市内特定区域に有休不動産を所有、ほか
概要/移住定住人口増加を図るため、賃貸住宅建設の費用を補助
要件/町内に民間賃貸住宅を建設、移住向けに使用、ほか
概要/耐震改修設計費、耐震改修工事費の一部を助成。
要件/昭和56年5月31日以前に着工された非木造住宅のうち、耐震診断の結果、「安全な構造でない」と判定された建築物、ほか
概要/古いアパートや長屋などを集合住宅(マンション・アパートなど)に建替える場合、設計費、解体費、共同施設整備費の一部を補助
要件/特定区域内の昭和56年5月31日以前の建築物、ほか
概要/市内居住の促進と民間賃貸住宅ストックの有効活用を図るため、子育て世帯等の入居に資する改修工事を行う民間賃貸住宅のオーナーに対して、改修工事費の一部を補助
要件/交付申請時において、空き住戸であり、入居者の募集をしていないこと。昭和56年6月1日以降に着工の建築物、ほか
概要/震災に強いまちづくりを目的に、共同住宅の耐震改修工事費の一部を助成する事業を実施
要件/昭和56年5月31日以前に建築確認を得て着工した住宅、ほか
都道府県や市区町村が実施する補助金・助成金の制度は併用可能なものもあります。まずは、国の実施する補助金事業、次に自身がアパート経営を始めようとする都道府県、その上で市区町村という流れで、補助金を確認していくとよいかもしれません。
【まとめ】
アパートの安全性や耐震・耐久を考えた場合、建築費が高くなることは容易に想像できます。そうした建築費を少しでも削減してくれるのが、国や地方自治体それぞれに設けられた補助金や助成金制度です。補助金を受けるためには、耐久性や耐震性に優れ、長期的に使用が可能で、高齢者や子育て世代に配慮し、エネルギー効率を考えたアパートであることが重要です。得られるメリットが補助金や助成金、税制面での優遇などに分かれているため、目的に合わせて活用しましょう。