住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
最初に考えておきたいことは、財産に応じた相続税の把握です。相続税は相続から10カ月以内に一括で納税しなければならないため、被相続人は速やかに納税分の現金を用意する必要があります。何も対策していなければ、相続税が高額になると手持ちの資産では払いきれず、相続のたびに不動産売却を繰り返すことになりかねません。財産の額が大きくなるほど多額の相続税を納める義務があるので、「大きな財産を残しても、三代先にはなくなってしまう」という俗説も生まれるほどです。
大切な財産を、できるだけ目減りさせることなく継承していくためには、早めに対策を講じて相続に備えることが重要になります。税制度を理解して減税を図り、納税に必要な現金を用意する算段を付けておく必要があります。相続財産と法定相続人の数が分かれば、相続税の概算をシミュレーションしてくれるサイトもあるので、あらかじめ試算しておくと具体的な対策が立てやすいでしょう。
一般的に、相続財産は現金や株式などの金融資産よりも土地や建物などの不動産で残した方が、相続税を算出するための評価額が低くなるので有利だといわれています。それが賃貸住宅であれば、評価額はさらに減額されるため大きな節税につながります。
60代で新たに賃貸住宅経営を始めるのであれば、その資産は、将来的に相続先の財産となるでしょう。財産の評価額を抑えるだけでなく、優遇措置を効果的に使って相続時の税金が減額できるという意味でも、賃貸住宅経営は有効です。アパートを新たに建てる際の住宅ローンは負債として換算され、土地部分に「小規模宅地等の特例」が適用できれば、評価額が最大8割減になるからです(相続人全員の同意を含む申告書類の用意が必要)。
これらの軽減措置は控除幅が大きいので、相続税や所得税、贈与税などを大きく節税できる可能性があります。
小規模宅地の特例を適用して、相続税の優遇措を受けるには条件があります。「相続する親族が取得し、相続税の申告期限まで所有していて、かつ貸付事業を継続していること」が条件となるため、相続対象の賃貸住宅物件は売却せず、継続して経営する必要があります。
50代から行うべき相続対策 30年後に再度建て替えで大きく節税
こちらにて、現金よりも賃貸住宅の形で財産を残すと節税になる点を解説しています。
財産が多く、土地も複数所有している場合は、法人化して、不動産を会社名義に変更し、事業用賃貸物件として扱うようにすることで、個人の所得税を減らすことができます。土地は駐車場や貸店舗物件として活用すると、消費税の還付も受けられるので、複合的な税金対策になります。
このように法人化は、相続時の節税を意識するなら効果的です。ただし、将来的にも事業として賃貸住宅経営を続けていくことが前提になります。事業計画をおろそかにして赤字経営になってしまったら意味がなくなってしまうので、法人化をするならメリットとデメリットを総合的な視点で判断することが必要でしょう。
相続を前提として賃貸住宅経営を始め、長く継続させていくには、賃貸住宅を建てるタイミングを見計らうことも重要です。
これから新しく賃貸住宅経営を始めるつもりならば、相続前に新築で賃貸住宅を建て、住宅ローンの残債と合わせて資産を継承した方が、節税効果は高くなります。
すでに既存の賃貸住宅物件がある場合は、状況によって変わります。賃貸住宅は、経年劣化や周辺状況の変化により大幅なメンテナンスや建て替えが必要な時期が来るので、相続のタイミングを見越して、建て替えを考えたいところです。
築年数の浅い賃貸住宅は財産としての評価額が高くなるので、相続してから建て替えを進めた方がいい場合もあるでしょう。贈与税を支払ってでも相続前に賃貸住宅を相続人に継承し、そこからの得られる家賃収入を納税資金とする方が、長い目でみれば得になるケースもあります。
さらに、先々を見越して建築方法を検討するのも一案です。工期が短く、ローコストな「軽量鉄骨造」の住宅は、重量鉄骨造や鉄筋コンクリート(RC)造よりも法定耐用年数が短い分、減価償却費を大きくとることができ、建て替えのタイミングも図りやすくなります。
相続の時期は計画できるものではないので、相続に強い税理士など、信頼できる相手と相談しながら自分たちにとって有利なプランを決めるのが良いでしょう。賃貸住宅経営のための資金繰りが難しい場合は、駐車場などローコストで安定的に収入を得られる手段で資金を増やしておき、その後賃貸住宅を建てるなど段階的に取り組む方法もあります。
また、三世代にわたって財産を継承していくつもりなら、親から子世代へ、子から孫世代へと段階を踏むのが一般的です。事情によっては、法定相続人である子どもを飛び越えて孫へ直接財産を継承したい場合もあるかもしれません。
こうした特殊な事情の場合に有効なのが、遺言書や生前贈与の活用です。法定相続分とは異なる形で財産の分割を行いたい場合、遺言書を活用することになります。そして相続前に、認知症の発覚など不慮の事態で資産が凍結されるリスクにも備えたいなら、家族信託を活用する手もあります。意にそぐわない継承とならないように、元気なうちから計画的に行動することをおすすめします。
【まとめ】
相続税対策は、発生してから対応するのは得策と言えません。手続きのタイムリミットに追われて、節税面などで有効な手段を取れない可能性もあるからです。せっかくの財産を相続時に分散させてしまわないようにするには、まだ元気なうちに家族で話し合って、有効な手段を考えておくことが望ましいでしょう。
相続税対策としても、安定的な収入源としても、賃貸住宅経営は有効です。軽量鉄骨造の賃貸住宅はローコストながら耐震・耐久性は高く、減価償却が大きくとれる分、効果的な資産運用ができるので、選択肢のひとつとして考えておく価値はあります。