住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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お役立ちコラム
【目次】
賃貸併用住宅は、自宅の建物の一部に賃貸住宅を組み込んだ住宅のことをいいます。アパートの最上階フロアや一室をオーナーさま宅にするパターンや、住宅ローンの活用を見込んで、オーナーさま宅の面積が全体の延べ床面積のうち50%以上を占める、専用居住区域を設けるパターンなどがあります。
たとえば以下のようなケースで、賃貸併用住宅の活用が考えられます。
相続や子世帯の独立などで、ひとりや夫婦には広すぎる土地に住むことになった場合、新しい家族構成に合わせた建て替えと相続税の節税を同時に行いながら、家賃収入を得ることができる点が賃貸併用住宅の特徴といえます。
賃貸併用住宅を建てる場合、設計と収益性を左右する要素として、オーナーさま宅と賃貸住宅の配置を考えることになります。
配置は大まかに2種類のパターンに分けることができるため、それぞれの特徴とオーナーさまにとってのメリット・デメリットについて、詳しく解説します。
この方式では、建物を階層で分け、オーナーさまと賃貸住宅の入居者が別々の階に住むことになります。1階をオーナーさま宅として2階以上を賃貸住宅にする場合と、反対に最上階にオーナーさまが住まわれ、それ以外を賃貸住宅にする場合が考えられます。
メリット:
デメリット:
この方式では、オーナーさま宅も賃貸住宅もどちらも多層階構造とし、建物を左右で使い分ける形になります。つまり、オーナーさま宅と賃貸住宅が隣り合うことになります。
オーナーさま宅が複数階にまたがるため、階段は入居者と共用するのか個別でつくるのかによって、入居者との距離感が異なってきます。また、賃貸住宅側も複数階層のメゾネットタイプにする、階ごとに分ける、といった間取りも考えられます。ただし、3階建以上になる場合は、オーナーさまの住宅部分も必然的に3階建以上になる場合もあるため、エレベーターの設置を検討することになります。
メリット:
デメリット:
縦・横の配置とは別に、オーナーさまが複数世帯で賃貸併用住宅に住む場合は、どの世帯がどこに住むかを考えておく必要があります。
例えば、オーナーさま宅も賃貸住宅もほぼ同じ間取りのいわゆる「マンションタイプ」にしてしまうと、子育て中の子世帯にとってはすぐに手狭になってしまう場合があります。
賃貸住宅部分のうち一戸を子育てしていない世帯が使い、広いオーナーさま宅に子育てをしている世帯に入ってもらい、孫が独立したらオーナーさま宅部分で一緒に暮らす……などの長期的なプランを考えておきましょう。
土地活用として、賃貸併用住宅が戸建のマイホームや賃貸住宅経営と異なる点は、「マイホームを建て、そこに住みながら家賃収入を得られる」ところです。
その他にも、経済的なメリットが多数あります。
賃貸併用住宅では、賃貸住宅部分から得られる家賃収入がローンの返済に充てられます。これにより、実質的に毎月の返済額を減らすことができます。
賃貸併用住宅のうち、自宅の延べ床面積が全体の50%以上であれば、建物全体が自宅とみなされ、事業用ローン(アパートローン)ではなく住宅ローンを利用できる場合があります。
住宅ローンはアパートローンに比べて金利が低く、返済期間も長い他、税制面でも優遇されることがあります。
ただし、土地の広さや、自宅部分の設計希望などによっては、この条件を満たすことが難しくなることがあります。オーナーさま宅の面積が拡大することによって、賃貸住宅の戸数が減り、家賃収入の収益性が極端に悪化しては元も子もないため、こだわりすぎないことも場合によっては必要になります。
賃貸住宅部分の土地や建物は、自宅部分よりも評価額が低くなります。その土地に同じ額をかけて戸建のマイホームを建てた場合に比べて、相続時の財産としては賃貸併用住宅が建っている土地のほうが低く評価されることと、建物も賃貸住宅部分が借家権割合に応じて低く評価されることで、相続税対策として有効に活用できます。
賃貸住宅部分の経費(固定資産税や修繕費など)を計上することで、会計上の不動産所得を減少させ、結果として所得税の負担を軽減することも可能です。
また、賃貸住宅の家賃収入がローンの返済額を下回って赤字が生じた場合、「損益通算」といって、他の所得がある場合はそちらと合算することで所得額を減らし、所得税の節税になる場合もあります。
賃貸併用住宅は、自宅であり賃貸用住宅でもあるため、それぞれ税制面での特例措置を受けられる場合があります。
たとえば、住宅用地の特例による、固定資産税の軽減も活用できる場合があります。特に自宅部分の土地と賃貸住宅それぞれにおいて、小規模住宅用地として評価された賃貸住宅部分について、土地の評価額が自宅部分80%、賃貸住宅部分50%それぞれ下がることで、固定資産税が減額されることになります。
また、不動産取得税の控除額が増えることも見逃せません。
不動産取得税は土地や家屋を購入したり、新築・増築した場合に発生します。取得額の一定割合が納税額になりますが、住宅一戸につき1200万円控除されるという特例があり、自宅部分と賃貸住宅部分それぞれの面積規定を満たせば、例えばオーナーさま宅+賃貸住宅4戸の賃貸併用住宅の場合、5戸が控除対象となり、6000万円が不動産取得税から控除されます。
これによって、賃貸併用住宅の建築という初期投資段階から、有利に賃貸住宅経営を進めることができます。
賃貸併用住宅は、家族構成やライフスタイルの変化に柔軟に対応できます。例えば、新築当初は子世帯に賃料住宅部分に入居してもらい、子世帯が独立した後は該当部分を貸し出して、無駄なく運用するようなことも可能です。
戸建マイホームと、アパートなどの賃貸住宅経営の良い部分を併せ持っているようにも思える賃貸併用住宅ですが、もちろんデメリットも存在します。
それは戸建住宅に比べて建築コストが高い、同じ土地面積で比較すると、アパートなどの一般的な賃貸住宅経営に比べて収益性がといった点ですが、最も気を付けたいのは入居者とのトラブルが起こるケースもあるという点です。
以下、入居者との間で起こる可能性があるトラブルです
設計段階からオーナーさまのプライバシーを確保する
設計段階からハウスメーカーなどに相談し、オーナーさまのプライバシーを考慮した設計を意識しましょう。たとえば、以下のような設計が考えられます。
出入り口の分離
オーナーさまと入居者の出入り口や階段を分けることで、互いのプライバシーを守れます。
遮音性能の高い建材の使用
壁や窓に遮音性能の高い材料を使用することで騒音トラブルを未然に防ぎます。
窓の位置
窓の位置は、オーナーさまと賃貸住宅で異なる方向に配置するなどの対策を考えてみるのもよいでしょう。室内への音の侵入を分散させる効果が生まれます。
緩衝空間の設置
オーナーさま宅と賃貸住宅の間に共用廊下や植栽スペースなどの緩衝空間を設けることで、音の伝わりを軽減し、居住空間の快適性を向上させられるケースもあります。
共用部分の使用ルールを決める
共用部分の使用に関するルールを明確にすることで、トラブルを未然に防ぐことができます。たとえば、ゴミ出しの時間や場所、駐車場の利用方法などは、必ず事前に決めて、入居者に周知しておきましょう。
【まとめ】
賃貸併用住宅は、マイホームに住みながら安定した家賃収入を得られる魅力的な土地活用のひとつです。税制面でのメリットもあり、理想的な家づくりと資産運用の両立が可能となります。
しかし、プライバシーの確保や入居者とのトラブル防止は重要な課題であり、これらを解決するためには設計段階からの慎重な計画が必要です。
専門家のアドバイスを受けながら、自分のライフスタイルや将来の計画に合わせた賃貸併用住宅を実現することで、快適な暮らしを目指しましょう。