住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
CRE(Corporate Real Estate)とは、企業(Corporate)の不動産(Real Estate)、つまり、企業が保有する不動産のことを言います。「社有地」や「社有地に建てられた工場や倉庫などの施設」などをイメージするとわかりやすいかもしれません。
自社オフィスはもちろんですが、社宅、工場、倉庫、店舗、研修施設などとして事業に活用されていることが一般的です。
CREと似ている言葉にPRE(Public Real Estate)という言葉があります。
公共(Public)の不動産(Real Estate)という言葉が示す通り、PREは国や地方自治体、公共機関などの公的機関が保有・利用する不動産のことを言います。
公共施設(学校、病院)、インフラ(道路、橋)など、公共性や社会的価値の実現のために活用されています。
CREを取り巻く環境は、2000年代に入ってから大きく変化しています。特に経済環境の変化や会計制度の変更により、CREの戦略的な活用がこれまで以上に重要になっていると言えるでしょう。
企業が事業を行うにあたって、オフィスをはじめ、工場・倉庫や研究設備、研修施設や社員寮から駐車場まで、さまざまな不動産が必要となるため、これまで各企業はCREを多数保持してきました。
しかし、近年人口減少や事業規模の見直し、製造拠点の海外移転などにより、事務所や社宅・寮などを閉鎖するケースもあります。この結果、「所有しているが、活用されていない」不動産が発生しやすい状況になっています。
とはいえ不動産は固定資産として、たとえ使用していなくても固定資産税、維持管理費、修繕費などの継続的なコストが発生します。つまり、活用できていない不動産は、企業の財務状況を悪化させる要因にもなり得るということです。
2005年から企業の会計制度に適用されることとなった「減損会計」も、CREの活用を考えるうえでの大きな転換点です。
減損会計とは、企業が長期保有している不動産などの固定資産の価値(時価)が簿価よりも下がった場合、減額分を損失として計上するという会計処理の方法です。
そのため、不動産のなかでも収益を生まないものについては「固定資産税や建物の管理費などのコストがかかるうえ、会計上マイナス要素にもなってしまう」ということになります。
一方で、この状況は、これまで見過ごされてきたCREの潜在的な価値を見直す絶好の機会とも言えます。バブルが崩壊し、減損会計が導入されたことによって、土地を活用せずに保有しているだけでは、企業の価値としてプラスになるどころかマイナスの面も多くなってきました。
適切な戦略のもとで活用することで、新たな収益源を確保し、企業の価値を向上させることはもちろん、企業の社会的責任がより厳しい目で見られるようになってきたこともあり、CRE活用によって周辺の住民や自治体に雇用や福祉を通じた利益をもたらすことによる、企業イメージ向上などの間接的な効果も注目されるようになっています。このような理由から、単なる資産の活用というよりは、経営戦略の一部としてのCRE活用が重要になっています。
では、CREには具体的に、どのような活用方法があるのでしょうか。代表的な活用方法や、それぞれのメリットと注意点について、詳しく説明します。
企業が保有する不動産を第三者に売却し、その後、売却先と賃貸借契約を結ぶことで、引き続きその不動産を利用できる仕組みです。
・メリット
売却後もそのまま施設を利用できるため、事業運営に支障が出ることなく売却益だけを得ることができます。
不動産を売却することで、短期間でまとまった資金を確保できます。売却資金は、新規事業への投資や研究開発費など、将来の収益につながる施策に活用することが可能です。
また、一定額の賃料は発生しますが、固定資産税や維持管理費が不要になります。
・注意点
売却による収入は一度きりの収益であり、継続的な収益は期待できません。
また、賃料の支払いは長期的なコストとなるため、売却で得た資金を活用して、将来的には賃料を上回る収益に結びつける意識も必要になってきます。
企業が保有する不動産を第三者に貸し出し、賃料収入を得る方法です。基本的に土地からの活用となり、アパートやマンション、オフィスビル、商業施設、介護施設などを建築して賃貸経営を行います。
・メリット
本業以外の安定した収益の確保につながり、リスクの分散になります。住宅を建築した場合、土地としてそのまま保有した場合より固定資産税や法人税などの面で有利になることも少なくありません。また、賃貸経営が軌道に乗れば土地の価値が向上する可能性があります。
・注意点
まず建築費用が必要になり、そこに追加して物件の管理や運営にはコストや手間もかかるため、専門の管理体制が必要です。また、需要が低い地域では収益が思ったように得られないリスクもあるため、市場を見極め、どのような形で活用するか慎重な判断が必要と言えるでしょう。
既存の店舗やオフィスビルなどをリノベーションし、効率化を図りながら付加価値を高めます。または、コンバージョン(用途変更)によって、社員寮や保養施設などから賃貸住宅や宿泊施設使用目的を変更し、収益を生み出さなかった不動産の収益化を可能にします。
・メリット
リノベーションの場合、設備の老朽化でかさんでいた維持管理費を低減する、時代や事業の変化に設備が追い付いていなかった部分を改善し、事業を効率化しながらコストを削減する効果が期待できます。
コンバージョンについては、事業に直結せず収益が発生しなかった施設から新たに収益が発生するようになることで、収益力の強化を狙います。
・注意点
リノベーション・コンバージョンともに、工事費や建築費がかかる点は共通しています。
リノベーションについては、事業収益に直結する施設の場合は事業計画と連動させながら慎重に検討する必要になります。また、収益に直結しない施設の場合でも、将来的には売却する可能性があるのかなど、長期的な視点が必要になります。
コンバージョンも、安定した収益を得るためには市場調査などを行い、どのような活用方法が最善なのか選択することになります。また、コンバージョン先がそれまでになかった新規の事業になる場合は、事業面での見通しも必要でしょう。
遊休地や低利用地など、事業に活用していない不動産を売却する方法です。
・メリット
売却益を得られる他、維持管理費や固定資産税の負担を軽減できます。
・注意点
セール&リースバックにおける売却同様、長期的な収益にはつながりません。
また、売却タイミングを誤ると、資産価値が十分に反映されない場合があることも注意しておきましょう。
【まとめ】
企業価値を高める重要な経営資源として、CRE(企業が保有する不動産)の活用が注目を集めています。
ただし、企業や不動産の状態によって、適切な経営戦略は異なります。長期的な経営戦略に合わせて、専門家のアドバイスを受けながら活用方法を選択することが重要と言えるでしょう。
CRE活用には、現在の不動産の保有状況から、事業の状況といった企業の現状と課題をよく把握しながら、それらを踏まえた効果的な活用方法や管理などのアフターサポートなどのプランニングを行える、経験豊富なパートナーとともに活用を検討することが重要です。
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