住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
近年、日本各地で豪雨や台風による水害が増加し、住宅への被害も深刻化しています。特に、河川や海の近くに位置する地域では浸水被害のリスクが高まっており、安全な家づくりは重要な課題です。これから家を建てるなら、水害対策を考慮した設計が欠かせません。
本記事では、水害に強い住宅の特徴や具体的な対策、設計ポイントについて詳しく解説します。適切な土地選びや建築方法を理解し、災害に強い住まいを実現しましょう。
水害に強い住まいを建てるには、リスクの高い土地を知ることが重要です。以下のような土地は特に浸水被害が発生しやすいため、慎重に検討しましょう。
海や川の近くにある土地は、台風や大雨による高潮や河川の氾濫の影響を受けやすく、浸水被害のリスクが高まります。これらの地域では地盤が弱いケースも多いため、土地購入時には地盤調査を行うことが重要です。地盤が弱いと、浸水だけでなく地盤沈下のリスクも伴うため、十分な対策が求められます。
湖や田んぼを埋め立てた土地は、地盤が緩いため水害に弱い傾向があります。特に、もともと田んぼだった場所は周囲より低い位置にあるケースが多く、大雨時は水が溜まりやすいため、注意が必要です。また、排水路が適切に整備されていない場合、雨水が適切に排水されず、浸水リスクがさらに高まります。
周辺と比べて低い土地は、大雨時に水が集まりやすく、浸水リスクが高くなります。特に、大きな道路や住宅地が近くにある場合、低地に大量の水が流れ込みやすいため、注意が必要です。土地の海抜や標高を事前に調べ、過去の浸水履歴がないかを確認しましょう。土地を購入する際は、周囲の高低差や排水環境も考慮することが大切です。
急峻な山間部を源流とする河川の下流域では、大雨時に上流で降った雨が短時間で流れ込み、洪水や氾濫のリスクが高くなります。特に、近年の気象変動により局地的な豪雨が増えており、甚大な災害となるケースも少なくありません。地域の気象データや過去の降雨量を確認し、水害が頻発している地域かどうかを把握しましょう。
水害に強い住宅を建てるためには、適切な設計や建材の選択が重要です。ここでは、水害に強い住宅の特徴を紹介します。
かさ上げとは、建物の基礎や敷地全体を周囲より高くすることで、浸水リスクを低減する対策です。特に、水害リスクの高い地域では、床上浸水を防ぐために1m以上のかさ上げを行うケースが多く見られます。また、排水性の高い土壌を使用したり、適切な排水設備を整えたりすることで、水の溜まりやすさや地盤沈下のリスクを軽減できます。自治体によっては、かさ上げ工事に対する補助金制度を設けているため、経済的な負担を軽減するためにも活用を検討しましょう。
高床式住宅は、建物の床面を地面より高く設計し、浸水リスクを低減する工法です。具体的には、1階部分をピロティ構造(柱のみで支える空間)とし、駐車場や収納スペースとして活用します。その上に居住空間を配置することで、洪水や高潮時でも生活空間への浸水を防ぎ、安全な住環境を確保できます。水害対策として有効な建築方法であるため、河川の近くや沿岸部で多く採用されている一方、都市部でも土地を有効活用できる点から採用されるケースも少なくありません。
浸水被害を避けるには、1階部分を駐車場や倉庫として利用し、主要な生活空間を2階以上に配置する設計が効果的です。生活空間をできるだけ高い位置に設けることで、万が一の浸水時にも安全性を確保できます。特に、過去に水害が発生した地域では、生活空間の高さを意識した設計が推奨されます。場合によっては、屋根裏を避難スペースや一時的な居住空間として活用する設計も検討する余地があるでしょう。水害時の被害を最小限に抑え、迅速な復旧を可能にするためには、さまざまなリスクを想定した設計が不可欠です。
浸水時の被害を最小限に抑えるには、建物の外壁や床材に防水性能の高い素材を使用することが重要です。たとえば、外壁に防水性の高い塗料を塗布することで、水の浸水を防ぎ、1階部分の壁を鉄筋コンクリート造(RC造)にすることで耐水性を強化できます。また、床材に防水・耐水性のあるタイルや防水シートを採用すると、浸水後の復旧作業がスムーズになり、早期回復が可能になります。なお、素材を選ぶ際は、防水性や耐水性だけでなく、耐久性やメンテナンス性も考慮しましょう。
水害に強い住まいを建てるには、設計段階からリスクを考慮する必要があります。以下のポイントを押さえ、より安全な住宅を実現しましょう。
水害リスクを低減するためには、適切な土地選びが最も重要です。自治体が提供するハザードマップを活用し、候補地の浸水リスクや地形を確認しましょう。あわせて、避難場所の位置も事前に確認しておくと安心です。国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」を利用すれば、インターネット上でも簡単に調査できます。
浸水リスクを避けるためには、河川や海に近い低地や埋め立て地を選ばないことが重要です。また、地名に「川」や「沼」など水に関連する文字が含まれる地域は、過去に水害が発生した可能性が高いため、土地購入前に十分な調査を行いましょう。
建物の基礎部分を高く設計することで、浸水リスクを軽減できます。敷地内の排水能力を向上させるために、排水溝や雨水ますの設置も重要です。また、基礎や外壁には防水性の高いコンクリートを使用することで、水の浸入を防ぎ、建物の耐久性を向上させることができます。
特に、1階部分が鉄筋コンクリート造(RC造)にすることで、浸水後の復旧が容易になります。さらに、床上浸水のリスクを減らすためには、敷地全体を周囲よりも高くする「盛り土(かさ上げ)」も有効な対策です。ただし、排水性の悪い土地や軟弱な地盤の場合は、家の沈下や倒壊を防ぐために地盤改良工事を検討することが必要です。
水害のリスクを軽減するためには、日常的なメンテナンスが不可欠です。以下に挙げる4つのポイントを定期的に確認し、浸水被害を未然に防ぎましょう。
雨水ますや側溝にゴミや落ち葉が詰まると、排水能力が低下し、浸水の原因となります。特に梅雨や台風シーズン前には、定期的に点検・清掃を行い、排水路を確保しましょう。
雨どいが詰まったり破損したりすると、雨水が適切に排水されず、建物の基礎部分への浸水リスクが高まります。ひび割れや歪みがないか定期的に確認し、必要に応じて修理や清掃を行いましょう。
外壁や屋根にひび割れや剥がれがあると、雨水の侵入経路となります。定期的なチェックと補修を行い、防水塗装の塗り直しなどのメンテナンスも検討しましょう。
大雨の際に、玄関や窓の前に土のうや止水板を設置することで、浸水被害を軽減できます。事前に準備しておき、必要なときにすぐ対応できるよう備えておきましょう。
水害対策を強化するためには、各種制度や補助金の活用が効果的です。以下の方法を検討しましょう。
多くの自治体では、浸水被害を防ぐための防水板や止水板の設置工事費用に対する助成金制度を設けています。たとえば、仙台市では設置工事費総額の2分の1(上限50万円)の補助が受けられます。各自治体によって条件や助成額が異なるため、最新の情報を自治体の公式ホームページで確認しましょう。
火災保険の水災補償は、台風や豪雨による洪水、土砂災害などによる損害を補償する仕組みです。補償の対象や条件は保険商品によって異なりますが、一般的に「床上浸水」や「地盤面から45cm以上の浸水」が適用基準とされています。また、建物だけでなく家財も補償の対象にすることで、被害時の経済的負担を軽減できます。水害リスクが高い地域に住んでいる場合は、現在の保険内容を見直し、適切な補償が付帯されているかを確認しましょう。
水害に強い住宅を実現するためには、土地選び・設計・建材の工夫が不可欠です。かさ上げや高床式住宅、耐水性の高い外壁材などを活用することで、浸水リスクを最小限に抑えられます。
また、自治体の助成金や火災保険の水災補償を活用することで、さらに安心できる住まいを実現できます。注文住宅で安全かつ快適な暮らしを送るために、ハウスメーカーと相談しながら水害に強い家づくりを進めていきましょう。