住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
棟上げ(むねあげ)という建築の節目に行われる儀式が、「上棟式」です。施主や家族のほか、工事関係者も出席するため、施主・家族・工事関係者との関係を深める、貴重な交流の場でもあります。昔からのしきたりに沿って進行するのが基本ですが、近年では簡略化するケースも増えており、形式にとらわれず柔軟にアレンジすることも可能です。
本記事では、施主として必要な準備や当日の流れ、挨拶・費用など、知っておきたいポイントをやさしく解説します。
上棟式は、住宅の新築工事において、骨組みがすべて完成したタイミングで行う儀式です。工事関係者にそれまでの感謝を伝えるとともに、完成までの残りの工事が順調に進むよう、神様へ祈りを捧げる意味合いがあります。
地域や世代によっては、「棟上げ(むねあげ)」「建前(たてまえ)」「建舞(たてまい)」と呼ばれることもあります。しかし「棟上げ」は工事工程を、「上棟式」は儀式を指す言葉として使い分けられることが一般的です。
上棟式は、工事関係者へ感謝を伝えることが目的の一つであり、施主と施工業者の良好な関係を築くための、交流の場としても重要です。上棟式をきっかけに、施工業者とのコミュニケーションが円滑になれば、家づくり全体の満足度も高まるでしょう。
かつての上棟式は、着工前に行う地鎮祭と並び、神事としての性格が強いものでした。このため、神主を招いて祈祷を行い、餅まきを通じて神に感謝を捧げるのが一般的でした。近年では、神主を呼ばずに棟梁を中心として執り行うなど、簡略化される傾向があります。
また、地域によって風習の違いもあるため、注意が必要です。例えば、東日本は餅まきを行う地域が多く、北陸・東北では、「おひねり」と呼ばれる小銭を一緒にまく風習のある地域も存在します。西日本は餅まきをしない家庭が多い一方、関西では、祝儀を配る文化が根付いている地域もあります。
このように、住宅のある地域や施工会社の方針によって、上棟式の内容が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
ここでは、上棟式にあたって準備すべきことやマナーなどを紹介します。なお、最近では簡略化するケースもあるため、施工会社に事前確認しておくと安心です。
上棟式では、工事関係者へ感謝の気持ちを表すため、ご祝儀を渡すのが一般的です。ただし、最近では「ご祝儀不要」とする施工会社も増えているので、あらかじめ確認しておきましょう。
ご祝儀を準備する場合、渡す相手によって相場が異なります。大まかな相場は次のとおりです。
・上棟式のご祝儀の目安
渡す相手 | 相場 |
棟梁 | 1万〜3万円 |
大工・職人 | 3,000〜1万円(1人あたり) |
ご祝儀は、作業終了後または上棟式後に、施主が直接渡すのが一般的です。また、ご祝儀を入れるのし袋の表書きは「御祝」または「上棟御祝」とし、水引は紅白の蝶結びを選ぶのが基本です。こちらも施工会社によってルールが異なるため、事前に確認しておきましょう。
上棟式では、神様に感謝し、完成までの工事安全を祈願するため、お供え物を準備するケースがあります。神事を執り行う場合は、次のような準備が必要です。
・上棟式の神事で準備する物
準備する物 | 概要 |
お供え物 | 日本酒、塩、米、乾物など |
棟札(むなふだ)・御幣 | 施工会社が用意するケースが多く、お供え物と合計で1万円前後が一般的 |
初穂料(玉串料) | 神主への謝礼に当たる費用で、2万〜5万円程度 |
なお、近年ではお供え物を含めた神事自体を省略する家庭も多く見られます。神事を行うのか、行う場合に何を準備するのかは、施工会社と事前に相談することが大切です。
上棟式当日は、作業が長時間にわたるため、現場の職人への差し入れや食事の準備をしておくと、良好な関係構築につながります。飲食の差し入れをする場合、次のようなタイミングで行うのが主流です。
・上棟式当日の差し入れ
時間帯 | 差し入れの内容 |
午前10時頃(休憩) | お茶、軽食(おにぎりやサンドイッチ、一口菓子など) |
午後3時頃(休憩) | コーヒー、お菓子(クッキー、カステラなど) |
式終了後(直会) | お弁当、飲み物(お酒を出す場合は節度を守る) |
上棟式当日に手土産を用意する場合、作業の邪魔にならないよう、個包装のお菓子や栄養ドリンク、作業中に使えるタオルなどを選ぶのがおすすめです。詳細は施工会社と相談して決め、食事や手土産は無理のない範囲で準備しましょう。
上棟式のスタイルによっては、餅まきを行う場合もあります。その場合は、餅やお菓子、小銭などをまく準備のほか、近隣住民に配る粗品や菓子折りも用意しておくと良いでしょう。
当日に出す食事、ご祝儀と一緒に渡す手土産(引出物)にかける予算の目安は次のとおりです。
・食事や手土産の予算の目安
準備する物 | 1人あたり予算の目安 |
仕出し弁当・飲み物 ※直会用 | 2,000〜3,000円程度 |
手土産(引出物) | 3,000〜5,000円程度 |
上棟式は、新築工事の節目を祝う大切な行事であるため、清潔感のある服装を心がけましょう。礼服やスーツといったフォーマルな格好をする必要はありませんが、ジーンズやTシャツ、サンダルなどのラフな服装は避け、清潔感のある服装を心がけましょう。
・上棟式に適した服装の例
男性:ジャケット、襟付きシャツ(ネクタイは不要)、チノパン
女性:カジュアルすぎないトップス、パンツまたはスカート
なお、現場は足場が悪いことも多いので、動きやすく、汚れても良い靴と服装を選ぶと安心です。
続いて、上棟式の一般的な流れを紹介します。実際の流れは、施工会社や地域の風習によって異なるものの、基本的な進行を理解しておけば柔軟に対応できるでしょう。
式の開始前、施主と家族、棟梁、職人、施工会社の関係者が現場に集合します。参列者がすべてそろったら、施主が簡単な開会の挨拶を行い、工事関係者への感謝を伝えます。
棟梁が、建物の頂上部に当たる棟木に、幣串(へいぐし)と呼ばれる飾りをつけます。幣串は、建物や工事の無事と安全を願うためのものです。祭壇には、神饌(しんせん)と呼ばれる、神様に捧げるお米、お酒、塩、水、海の幸・山の幸などをお供えし、飾り物を設えます。
次に、棟梁が建物の四隅のまわりに、水、塩、米、酒をまき、建物を清める「四方固めの儀」という儀式を行います。その後、棟梁に続いて、施主や関係者も一緒に安全を祈願し、神事は終了します。
上記は、神主を呼んで行う正式な神事の流れです。後ほど解説しますが、近年は神事を省略するケースも増えています。
神事の結びとして、施主が挨拶を行います。施工会社や関係者への感謝の言葉や、完成までの工事の安全を願う言葉などを、短くシンプルに伝えるのが基本です。
【挨拶の例文】
「本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。(中略)無事にこの日を迎えられたことに感謝しています。完成まで、引き続きよろしくお願いいたします。」
挨拶が終わったら、施主から棟梁をはじめとする工事関係者に感謝を直接伝え、ご祝儀を贈ります。その後、参列者全員で記念写真を撮影します。
先ほど紹介したように、東日本を中心に、餅まきを行う地域もあります。餅まきには「福を分け合う」という意味があり、屋根の上から、餅やお菓子、小銭などをまきます。
近隣住民を招待し、にぎやかに行う風習が広く見られましたが、現在はあまり行われません。
直会として、施主が「これからもよろしくお願いします」という気持ちを込め、参列者に、お弁当やお酒を振る舞うのが一般的です。ただ、最近ではアルコールを控え、弁当や軽食を用意するだけのケースも増えています。
最後に施工会社の担当者が挨拶を行い、上棟式は閉会となります。
近年は上棟式を簡略化する傾向にあります。特に多いのが、神主を呼んでの神事を省略し、施主が簡単に挨拶するだけというケースです。最低限の清めの儀式のみ行い、直会を含めても、短時間で終了することも増えています。
また、以前は餅まきを行っていた地域でも、施工会社によっては実施しないケースも増えており、それが一般的になりつつあります。地域の慣習によるものもあるため、事前に確認しておくことが大切です。
このように、挨拶と軽食・お弁当の配布(直会の代わり)のみ行う、シンプルな形式の上棟式も増えています。正式な流れにこだわりすぎず、自分たちに合った形式で実施するのが良いでしょう。
上棟式は家づくりの大切な節目であり、工事関係者と良好な関係を築くための貴重な機会です。最近は簡略化するケースも増えているため、施工会社や家族と相談しながら、自分たちに合った形式で実施するとよいでしょう。
上棟式を執り行う場合は、当日慌てることがないようチェックリストを確認し、余裕を持って準備を進めたいところです。準備から当日の挨拶まで、施主としての役割をしっかりと果たし、上棟式を、家づくりの良い思い出にしましょう。
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