住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
棟上げとは、家の新築工事において、柱・梁・屋根などの骨組みを組み上げる工程を指します。日本の伝統的な木造建築(在来工法)では、家の外観がはっきりと現れるタイミングであり、工事の大切な節目とされています。
本記事では、棟上げの目的や「上棟式」との違いに加え、当日の流れや費用相場などもわかりやすく紹介します。
棟上げとは、柱・梁・屋根の骨組みを、通常は一日で一気に組み立てる工程のことをいいます。最後に組み上げる頂上部の部材を「棟木(むなぎ)」と呼ぶことから、その名前がつけられました。
特に、伝統的な木造住宅においては、家の形が一気に見えてくる工程であり、施主や職人にとって重要な意味を持ちます。
なお、鉄骨造やRC造(鉄筋コンクリート造)では、木造住宅のような「棟上げ」の工程はありませんが、建物の主要構造が完成したタイミングを「上棟」と呼ぶことがあります。
上述のとおり、棟上げは建物の形が完成する節目であり、施主にとって「マイホームを建てている」と実感できる瞬間です。当日は、一日で一気に柱・梁・屋根の骨組みを組み上げなければならないため、入念な事前準備と職人同士の強い連携が求められます。
棟上げ後には、骨組みの強度が適切か、しっかり垂直に組み上がっているかなどをチェックします。施工不良があると、完成後の耐震性や居住性に影響を及ぼすため、細かくチェックすることが大切です。
棟上げと似た意味の言葉に「上棟(じょうとう)」と「建前(たてまえ)」があります。それぞれの意味をまとめたものが次の表です。
棟上げ(むねあげ) | 主に大工や職人が使う言葉。建物の骨組みを組み立てる工事そのものを指す。 |
上棟(じょうとう) | 現代の住宅業界で一般的に使われる言葉。棟上げとほぼ同じ意味を指す。 |
建前(たてまえ) | 昔からの伝統的な呼び方。棟上げ時、餅まきや直会(なおらい)などの祝宴を行う際に用いられることが多い。 |
地域によっては、「棟上げ」と「建前」が同じ意味で使われることもありますが、最近では「建前」が使われる機会は少なくなっています。
また、「上棟式」という言葉を、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。「棟上げ」が工程そのものを指すのに対し、「上棟式」は、棟上げが終わった後に行われる儀式のことを指します。工事の安全を祈願するとともに、施主から職人たちへの感謝が伝えられます。なお、地域によっては「建前」と「上棟式」が同じ意味で使われることもあります。
上記のように、多くの場合、棟上げとともに上棟式が行われますが、近年では上棟式を省略するケースもあります。ここでは、一般的な当日の流れを紹介します。細かな流れは、施工会社や地域の風習によって異なるものの、基本の進行を理解しておけば、どのような状況にも対応しやすくなるでしょう。
まず、施工会社と実施日を調整する必要があります。棟上げ当日は、一日で骨組みを組み上げる必要があるため、雨天の場合は延期になるケースが大半です。
施主が、前日までに準備しておくべきこととして、次のような項目が挙げられます。
当日の基本的なスケジュールは次のとおりです。当日は一日がかりの作業になります。
①朝の準備 | 施工会社や職人と当日の流れを確認し、差し入れを準備する |
②午前の作業 | 柱の組み立て → 梁の設置 → クレーンでの作業の順で実施 |
③昼休憩 | 施主が昼食を振る舞うケースもあるため、事前に要確認 |
④午後の作業 | 屋根の頂上部分に棟木(むなぎ)という横木を取り付け、屋根の形を完成させる |
⑤作業終了・片付け | 職人が整理整頓を行い、工事が完了 |
⑥上棟式 | 工事終了後、夕方から上棟式を行う |
棟上げ後に行われる上棟式についても、一般的な進行を紹介します。こちらも、当日の流れは、施工会社や地域の風習によって異なる点に注意が必要です。なお、近年は神事や餅まきを行わず、簡略化して実施するケースが増えています。
棟上げ終了後、施主と家族、棟梁、職人、施工会社の関係者が現場に集合します。その場で施主が簡単な挨拶を行い、自宅の新築に関わる工事関係者への感謝を伝えます。
神主を呼んで神事を行う場合、棟梁が幣串(へいぐし)と呼ばれる、建物の無事と工事の安全を願う飾りを棟木につけます。祭壇には、お米・お酒・塩・水・海の幸・山の幸などの神饌(しんせん)をお供えするとともに、飾り物を飾り、神様に感謝と祈りを捧げます。
棟梁が、建物の四隅の柱に水・塩・米・酒をまいて建物を清め、建物と工事の安全を祈願。それに続いて、施主や関係者も一緒に祈願して、神事が完了します。
施主から、施工会社や工事関係者に対する感謝の言葉や、これからの工事中の安全を願う言葉などを伝えます。挨拶の内容は、短くシンプルなもので問題ありません。
【例文】
「本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。(中略)無事にこの日を迎えられたことに感謝するとともに、今後の工事も安全に進むことを願っております。引き続き、よろしくお願いいたします。」
施主自ら、棟梁をはじめとする工事関係者に感謝を伝え、ご祝儀を直接贈ります。その後、参列者全員で記念撮影を行います。
地域によっては、上棟式の際、「福を分け合う」という意味で餅まきを行うケースがあります。屋根の上から、餅やお菓子、小銭などをまき、建築の節目を祝います。かつては、地域の方を招待してにぎやかに執り行う風習もありましたが、現在はあまり行われません。
お供えした神饌などを、参列者でいただくことを「直会(なおらい)」といいます。上棟式の直会では、施主が感謝の気持ちを込めて、参列者にお弁当やお酒を振る舞うケースが一般的です。最近では、お酒を出さずに、お弁当や軽食を用意するのみというスタイルも増えています。
直会の後、施工会社の担当者や施主が感謝の挨拶を述べて、上棟式は閉会となります。
上棟式を執り行うとなると、費用が気になるところです。以下では、項目ごとに一般的な費用相場をまとめました。
・上棟式における項目ごとの費用目安
項目 | 費用の目安 |
お供え物 | 1万円前後 |
ご祝儀 | 棟梁:1万〜3万円 現場監督:5,000〜1万円 職人:3,000〜5,000円 |
直会の飲食費 | 1人あたり2,000〜3,000円程度 |
初穂料(玉串料) | 2万〜5万円程度 |
餅まきを行う場合、上記に加えて、餅やお菓子、小銭などを準備する費用、近隣住民に配る粗品や菓子折りの費用がかかります。
これらを足し合わせると、総額で10万〜30万円程度となる場合もあります。まとまった費用が必要になるため、予算や地域の慣習に応じて、施工会社と相談しながら準備を進めましょう。
棟上げ当日、職人は長時間作業しなければなりません。施主は適切なタイミングを見計らって、差し入れを提供しましょう。ご祝儀は、作業終了後や上棟式のタイミングで、施主から棟梁や職人へ直接渡すのが一般的です。地域や施工会社によってタイミングが異なる場合があるため、事前に相談しておくと安心です。
上棟式は必ず行うものではなく、施主の判断で自由に決められます。やる場合は、事前に施工会社と協議し、準備すべきことについて相談しておくとよいでしょう。近年では簡略化して実施するケースも多く、必ずしも大がかりな式を行う必要はありません。
上棟式を行うかどうかに関わらず、職人への感謝の気持ちを伝えることが、施主として何より大切です。
棟上げは、木造住宅の形が目に見えてくる重要な工程であり、施主にとっても、職人にとっても特別な意味を持ちます。「建築工事の節目」「大工の技術が発揮される場面」「施工精度を確認する機会」という3つの意義があるため、上棟式を行ってその瞬間を祝い、祈願するのもよいでしょう。
「棟上げ」は作業工程そのもの、「上棟」は建築業界で広く使われる正式な表現、「建前」は伝統的な言い回しや儀式を指すことが多いなど、少しずつ使い方に違いがあります。せっかく家を新築するなら、場面に応じた使い分けを理解しておくのがおすすめです。
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