住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
毎年のように日本列島を襲う台風は、屋根や窓の破損、停電や断水といった被害をもたらし、時には家族の安全を脅かす深刻な存在です。「自宅でできる台風対策は何から始めれば良いのだろう?」と感じている方も多いでしょう。
実際、台風への備えは特別な設備投資だけでなく、小さな準備で被害を大きく減らせます。この記事では「台風対策は家でできることから」をテーマに、後悔しないための住まいの準備をチェックリスト形式で紹介します。

台風の強風や大雨は、住まいや生活に大きな被害を及ぼします。
こうした被害は、時に甚大なものとなります。2019年の台風19号では、東日本を中心に記録的な大雨により河川の氾濫や土砂崩れが発生し、100名を超える死者・行方不明者が出ました。
住宅被害は9万棟を超え、電気や水道などライフラインも長期にわたり途絶しています。こうした被害は特別な地域だけではなく、日本各地で繰り返し発生しているため「自分の家は大丈夫」とは言い切れません。
実際に被害を拡大させた多くの原因は、窓や雨戸の補強不足、庭やベランダの片付け忘れ、排水口の詰まりといった「家の小さな弱点」でした。事前の準備で被害を大きく減らせることが分かっています。
今から始める小さな工夫が、家族と住まいを守る大きな力になるといえるでしょう。
※参考:2019年(令和元年) 令和元年度台風第19号|内閣府

台風対策は、まず家の外回りから始まります。ここでは、台風前に「家でできること」として、外回りのチェックポイントを解説します。
台風前には、屋根や雨どいの点検で雨漏りを防ぐことが重要です。強風で瓦やスレートが飛ばされれば周囲に被害を及ぼす危険があり、雨漏りの原因になります。ひび割れやズレがあれば早めに専門業者へ修理や補修を依頼しましょう。
落ち葉や泥で詰まった雨どいは、排水不良を起こし、外壁や基礎部分への浸水を招く恐れがあります。さらに、アンテナや太陽光パネルが外れると飛散事故や漏電につながるため、固定金具の締まり具合を確認しておきましょう。
側溝や排水口にゴミが詰まっていると、大雨の際に水が逆流して床下浸水を招く恐れがあります。気象庁も台風接近前には排水設備の点検を呼びかけています。雨水がスムーズに流れるように、日頃から定期的に掃除しておくと安心です。
植木鉢や物干し竿、ガーデンチェアなどは強風で飛ばされ、窓ガラスが割れたり人がケガをしたりする原因になり得ます。伸びすぎた枝も折れて飛散すると、屋根や外壁を傷つける恐れがあります。台風対策のひとつとして、定期的な剪定と片付けを行いましょう。

窓やガラスは台風の被害が甚大になりやすい部分です。ここでは、手軽にできる応急処置から長期的な住まいの性能強化まで、窓やガラスを守る工夫を紹介します。
窓ガラスへの直撃リスクを軽減するには、雨戸やシャッターを閉めるだけでも十分な効果があります。サビや歪みがあると外れる恐れがあるため、定期点検と補修を心がけることが大切です。
特に古い木製雨戸や長期間閉めっぱなしの雨戸は開閉確認が必要です。強風によって開いてしまう可能性があるので、台風前は確実に施錠しましょう。
台風直前にできる応急処置として、ガラス面に「米字」型にテープを貼ったり、内側に段ボールを当てて補強したりする方法があります。ただし、破損を完全に防げるわけではなく「破片の飛散を抑える程度」と理解しておきましょう。
窓ガラスが割れた場合でも、カーテンやブラインドを閉めておけば破片の飛散を軽減できます。費用をかけずにできる簡単な工夫として、台風前には必ず実践しましょう。遮光カーテンや厚手の布地を選べば、飛散物をさらに抑える効果も期待できます。
長期的な対策としては、防災ガラスや耐風シャッターの導入が有効です。強化ガラスや合わせガラス(防災ガラス)は割れても破片が飛散しにくく、耐風圧性・水密性の高いサッシと組み合わせれば安全性が格段に高まります。
台風に強い住まいを実現できるため、新築やリフォーム時には積極的に検討しましょう。

台風の被害は建物の損壊だけでなく、停電や断水による生活への打撃も大きな問題です。2019年の台風15号では千葉県で延べ93万戸以上が停電し、解消までに約20日を要しました。
こうした事態に備え、電気と水をどう確保するかを事前に考えておくことが、家族の安心を守るうえで重要な工夫です。
※参考:台風15号に伴う停電復旧対応の振り返り|東京電⼒ホールディングス株式会社
懐中電灯やLEDランタンを各部屋に用意しておけば、停電時の夜間でも安心して行動できます。ろうそくに比べて火災のリスクが少なく、長時間点灯できる点も大きなメリットです。
さらに、スマートフォンの充電に欠かせないモバイルバッテリーは、家族1人につき1台を目安に準備しておくことも大切です。バッテリーの消耗を気にせず、継続的に外部とのコミュニケーションや情報収集を行えます。
また、停電時の食料を守る工夫としては、冷凍庫にラップで包んだごはんや凍らせたペットボトルを常備しておくのが有効です。保冷剤としても活用でき、解凍すれば食料や飲料として役立ちます。
停電時は冷蔵庫を開閉すると冷気が逃げて保存時間が短くなるため、家族で「停電中は冷蔵庫を極力開けない」というルールを共有しておくことも大切です。
飲料水は1人あたり1日3リットルを目安とし、最低3日分の確保が望ましいとされています。ミネラルウォーターに加えて、お茶や清涼飲料水も用意しておくと安心です。
また、飲料用だけでなく生活用水も重要です。浴槽に水を張っておけば、トイレの排水や掃除など幅広く活用できます。災害時の断水は長引く恐れもあるので、簡易トイレを備えておくのも有効です。衛生環境を保つことで、体調不良や感染症の防止にもつながります。
※参考:今日からできる食品備蓄。ローリングストックの始め方|政府広報オンライン
台風の度合いによっては、避難を余儀なくされる場合もあります。慌てず安全に行動するためには、非常用持ち出し品の準備も欠かせません。
ここでは、非常用持ち出しバッグに入れるべきもの、日常生活に取り入れやすい備蓄方法を解説します。「自宅で過ごす3日間をどう乗り切るか」をイメージしながら取り組みましょう。
非常用持ち出し袋には、水や食料をはじめ、いざという時に欠かせないものを入れておく必要があります。水や食料は乾パンやレトルト食品だけでなく、普段食べ慣れているレトルトカレーやインスタント味噌汁などを備えておくと安心です。非常食は特別なものではなく、「普段の食事を持ち出せる形で備える」意識をもちましょう。
また、停電時には電子決済が使えない場合があるため、1000円札や小銭を多めに用意すると安心です。保険証や身分証のコピーを防水袋に入れておけば、避難所での手続きにも役立ちます。
さらに、常備薬やマスク、除菌シート、簡易トイレ、生理用品などもリュックにまとめておきましょう。これらを非常用バッグにまとめて玄関や寝室に置いておけば、避難指示が出てもすぐに持ち出せます。
赤ちゃんや高齢者、ペットと暮らしている家庭では、それぞれに必要な物をあらかじめ加えておくことも重要です。
赤ちゃんには粉ミルクや哺乳瓶、おむつといった基本的な用品に加えて、調乳が難しい停電時でも使える液体ミルクやパウチ入りの離乳食を備えておくと安心です。高齢者には常備薬や補聴器の予備電池、飲み込みやすい介護食など、避難生活でも安心感を与えられる品を準備しておきましょう。
また、ペットがいる家庭では、餌や飲料水、リードやキャリーバッグの準備が必要です。避難所によってはペットの同伴が認められない場合があるため、車内避難も視野に入れ、必要な物をあらかじめ用意しておくと安心です。家族の持病や年齢、生活習慣に合わせて1〜2点加えるだけでも、避難生活の快適さが大きく変わります。
防災備蓄は難しく考える必要はありません。たとえば、普段買うカップ麺や缶詰、レトルト食品を「2つではなく3つ買う」と決めるだけで、自然と備蓄品が増えていきます。消費したらその分を補充する「ローリングストック法」を取り入れれば、常に一定量の食品が備蓄されるためおすすめです。
家族が食べ慣れている食品を中心に備えれば、避難生活中のストレスも軽減されます。賞味期限切れが気になる方は、年に2回ほど「防災チェックデー」を設けて確認すると安心です。これなら無理なく続けられ、備蓄を日常の一部として習慣化できます。
台風が接近したとき、被害を減らすために欠かせないのが正しい情報の収集と家族での避難行動の準備です。備えがあるかどうかで、緊急時の行動と安心感が変わります。
ここでは、台風による緊急時の情報と避難行動について紹介します。
台風が接近している時には、テレビやラジオ、気象庁の公式サイトや防災アプリを活用し、定期的に最新の気象情報を確認することが重要です。デマや誤報を避けるために、公的機関や信頼できる公式アプリから情報を得るのが望ましいです。
電池式ラジオやソーラー充電式ラジオを一台備えておけば、停電時かつスマートフォンが使えなくなっても情報を得られます。また、家族の人数分のモバイルバッテリーを準備しておけば、安心して情報収集を長時間続けられます。
避難の判断をスムーズに行うためには、自宅周辺の災害リスクを事前に理解しておくことも重要です。市区町村が公開しているハザードマップを確認すれば、浸水や土砂災害が起きやすい場所を把握できます。
自宅から最寄りの避難所や安全な避難経路をあらかじめ家族で共有しておけば、災害発生時に迷うことがありません。さらに、災害時に通れない恐れのある道も把握しておくと、二次的な危険を避けられます。緊急時でも冷静に行動するために、しっかりと確認しておきましょう。
災害時は通信障害が発生する可能性が高いため、事前に家族で連絡方法を話し合っておきましょう。たとえば、LINEやメールが使えなくなった場合に備えて、合言葉や集合場所を決めておくとスムーズに行動できます。
いざという時に慌てないためには、子どもや高齢者と一緒に実際に避難経路を歩いて確認しておくのも有効です。事前に避難の練習をしておけば、災害時でも迷わず行動できます。
台風対策は「家でできること」だけでなく、住宅そのものの性能強化やメンテナンスも欠かせません。ここでは、長期的に「台風に強い家」を実現する住まいづくりについて解説します。
台風時に多い被害のひとつが窓ガラスの破損です。強風で飛来物が直撃して割れるケースも多く、ケガをしたり家財が破損したりするリスクがあります。
そこで検討したいのが、割れた際にも破片が飛び散りにくい強化ガラスや防災ガラスの採用です。さらに耐風サッシと組み合わせると、防犯性の強化にもつながり、災害時だけでなく日常の安心感も向上します。
屋根や外壁は常に風雨や紫外線にさらされ、年数が経つにつれて少しずつ劣化が進みます。メンテナンスをせずに放置していると、台風時に一気に損傷が広がり、屋根瓦や雨どいが飛ばされて、隣家や道路に被害を及ぼす恐れがあるため注意が必要です。
災害時に備えて、年1回を目安に専門業者による点検を受け、必要に応じて補修を行うことが大切です。外壁のひび割れやシーリング材の劣化なども早めに対処しておくと、雨漏りや浸水被害の予防につながります。
台風に強い住まいを実現するためには、一時的な補強だけでは不十分です。新築時の設計段階で耐風性能や防水性能を重視すれば、将来の災害に対して強い住まいを実現できます。
たとえば、屋根の形状や窓の配置を工夫すると、台風の影響を最小限に抑えられます。また、リフォームの際には既存の弱点を補強し、耐風性や耐水性を高める工事を行えば、災害リスクを低減できるでしょう。

台風対策は、家でできる小さな準備の積み重ねが大きな安心につながります。ここまで紹介したポイントをチェックリストにして振り返り「わが家でできること」をひとつずつ実践してみてください。
大切なのは「後でやろう」ではなく、今すぐにひとつでも行動に移すことです。小さな準備が、いざという時に家族と住まいを守る力になるはずです。
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