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新春対談
(2020年)

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新春対談

不動産保有会社という
選択肢を考える

当社の体感型ショウルーム「住まいとくらしの情報館 千里」(大阪府豊中市)にて

賃貸経営の規模や家賃収入が一定以上になると、所得税対策や相続税対策を目的に法人化を検討される方が多くなります。
しかし、中途半端な知識や安易な考えで会社をつくると、思わぬリスクが生じることもあります。
そこで、2020年の新春対談では、不動産有効活用・相続税対策に精通されている税理士として豊富な実績をお持ちの
今仲先生をお招きし、近年主流となっている「不動産保有会社」の設立について教えていただきました。
これまで多くの不動産オーナーさまのコンサルティングに携わって来た当社の榎本が、
オーナーさまの視点でお話をうかがいました。

かつては不動産の「管理会社」今は「保有会社」が主流

私が土地活用の営業を始めた約30年前の当時から、賃貸経営の規模が大きくなると法人を立ち上げるというオーナーさまが少なくありませんでした。先生は多くの不動産オーナーの相続対策や資産継承を手掛けておられますが、最近はどのような傾向が見られますか?

【図表A】 不動産保有会社と管理会社の違い

不動産保有会社と管理会社の違いイメージ

昔は賃貸物件の一括借上げが一般的ではなかったので、不動産オーナーが自分の物件を管理する管理会社を設立して管理料を支払うことで、個人の不動産所得から経費に落とすという形が多かったんです。オーナーの所得税対策ですね。

収入が入る会社には税金がかかるわけですが、配偶者や子などが役員や従業員として報酬や給与を取れば、会社に所得が出ないという形がつくれます。結果として、会社を通じて親族に収入を移転することもできるわけです。

しかし、業務内容に対して過大な管理料を支払うと、税務調査で否認されるそうですが?

その通りで、過大管理料として否認されている例が相当あります。一般的には賃料収入の8%から15%程度が目安とされています。仮に、管理会社を設立して個人に入る収入の15%を会社に払ったとしても、収入の移転効果はそれほど大きくありません。そこで、所得分散と相続税対策としての法人活用は、不動産保有会社が最近の主流になっています。

高所得の不動産オーナーにメリットの大きい所得分散効果

不動産保有会社というのは、収益物件そのものを会社が所有するので、賃料収入がすべて会社に入るわけですね。それにより、具体的にどんなメリットがありますか?

個人の所得税は累進課税ですから、所得が増えれば税率が上がります。一方、中小企業の法人税は【図表B】のように2種類で、しかも税率が非常に低くなっています。なぜかというと、自国の経済を活性化するために各国が法人税率の引き下げ競争をしている。今どの国も大体20%台なんです。日本もそれに応じて低くしているので、今後も上がることはちょっと考えにくい。

また、個人の場合は不動産の収入から直接かかる経費を差し引いた所得に課税されますが、会社の場合はそこから役員報酬や従業員の給与を支払います。仮に1,000万円の所得から2名に500万円ずつ給与を支払ったとすると、会社の所得はゼロになります。さらに、役員報酬や給与に対する課税には「給与所得控除」が認められています。例えば500万円の給与収入の場合は、自動的に154万円の給与所得控除があり、課税される給与所得金額は346万円になります。親族への所得分散による節税効果はここにあります。

【図表B】 個人の所得税と法人税の実効税率

課税所得金額個人の実効税率
195万円以下15%
195万円超~330万円以下17%
330万円超~695万円以下23.9%
695万円超~900万円以下25.9%
900万円超~1,800万円以下34.4%
1,800万円超~4,000万円以下43.0%
4,000万円超43.0%~55%
課税所得金額法人の実効税率
中小企業 800万円以下23.2%
中小企業 800万円超33.58%

個人事業から法人に切り替える目安はどれくらいでしょう?

節税メリットが出る目安としては、所得で800万円以上でしょう。1,000万円を超える方には「必ず法人にすべき」とアドバイスしています。

親族を役員や従業員にする場合に、注意すべきことはありますか?

所得を分散することによって所得税・住民税の税率を低くして、トータルで所得税を少なくするのが目的ですから、「所得の少ない人に分散する」というのが節税のポイントです。すでに所得がたくさんある親族に報酬や給与を支払うと、累進税率が上がって税金が高くなります。

そこで注意してほしいのは、経営や経理といった勤務実態がなければ、報酬や給与は支払えないということです。大学生の子や遠方に住む親族に高額な役員報酬を払っていて、勤務実態の面から否認されたという例があります。

個人財産の蓄積を防いで「たまり」の相続税課税を回避

相続税の節税効果という面ではどうでしょう。不動産保有会社によるメリットは?

最大のメリットは、本来不動産オーナーに入る収入が会社に入ることで、個人財産の蓄積を防ぐことができる点にあります。

例えば、財産がたくさんある人の名義で収益物件を建てて、年間500万円の不動産所得があるとしましょう。生活資金が別にある場合、相続税の課税対象となる個人財産が10年間で5,000万円、20年間で1億円たまることになります。不動産保有会社を設立することにより、この将来的な財産の「たまり」に対する相続税課税を回避できるわけです。

つまり、財産が残る場所が、個人から会社に変わるということですね。

そうです。そこでポイントとなるのが、会社を設立する時に誰を出資者にするかです。

会社の場合は、出資した人が所有する株式の評価が相続財産になります。ですから、会社の出資者を子どもなどにしておけば、会社にお金を残したとしても相続税の課税対象にはなりません。

先ほど、所得税の節税メリットを考えると800万円が法人化の目安になると言いましたが、それより所得が低くても長期的な相続税対策を考えると、会社を設立して会社に財産を残した方が有利になるケースもあります。

よくあるケースですが、子どもが複数人いて、有効活用できる土地をそれぞれに相続させたいという場合、不動産保有会社はどういう形にするのがいいんでしょうか?

例えば1つの会社で長男が社長、次男が専務という形にすると、仲のいい兄弟の代はいいですが、その子どもの代、孫の代とどんどん枝分かれしていきます。そうなると揉め事が出てくる可能性がある。ですから、ご質問のケースでは、土地を相続させたい相続人ごとに不動産保有会社をつくるようにアドバイスしています。そうすると、建物は会社名義ですから相続財産ではなくなります。下の土地はお父さん名義の相続財産ですので、遺言書で長男・次男それぞれに遺贈するようにしておくといいですね。

メリットが多い反面、会社設立にはデメリットやリスクもある

それ以外のメリットとして、会社にすると経費に計上できる幅が広がりますね?

そうですね。役員報酬や給与については先ほどお話ししましたが、その他の代表的なものに生命保険があります。会社契約で役員や従業員の生命保険に加入すると、掛け捨てであれば保険料の全額を経費に計上できます。その保険金を原資にして、役員や従業員に退職金を支給することができるんです。

一方で会社にすると、個人事業の時と比べてさまざまなコストや手数がかかるというデメリットもあります。

具体的にはどのようなデメリットですか?

主なものを【図表C】にまとめましたが、特に留意していただきたいのが2の社会保険(厚生年金と健康保険)の加入義務です。個人の場合は自分の国民年金と国民健康保険料を負担するだけでいいですが、会社になると役員や従業員全員分の社会保険料の半分を会社で負担することになります。これは結構大きなコストです。税理士費用などもかかりますから、下手をすると所得税の節税金額よりも、かかる費用のほうが多いということもあり得るんです。

中途半端な知識で安易に会社を設立すべきではないんですね。いったん会社をつくると解散するのは非常に難しいと聞いたこともあります。

不動産保有会社にすると、建物は会社のものですから、会社名義で登記するわけです。ところが、会社というのはすべての資産と負債がなくなるから解散できるので、不動産を持っている状態では解散のしようがないんです。言い方を変えると、会社を解散するためには、個人が建物を買い取るか会社が寄付をするということをして、何もない状態にしなければならない。そういうことを指して「難しい」ということです。

【図表C】 留意したい会社設立のデメリット

1会社設立時の費用が30~50万円程度かかる

2社会保険の加入義務があり、会社負担分の社会保険料が余分にかかる

3経理を個人と分離してしっかり記帳しなければならず、手数がかかる

4決算・申告のための税理士費用が必要となる

5会社が赤字であっても法人住民税の均等割(7万円)がかかる

関心の高い法人の活用十分に理解した上で最善の選択を

2006年に新会社法が施行され、資本金1円から会社を設立できるようになりました。法人を活用しやすくなったのはいいことですが、一方できちんと検討しないまま不動産保有会社をつくっておられるケースも多く見受けられます。

会社設立によるメリットやデメリット、設立のタイミングや会社のつくり方は、人によって正解が違います。今回の対談を参考に、ご自分の財産の総額や不動産所得の状態、親族関係などをトータルに把握・検討された上で、プロのアドバイスを利用しながら、将来に向けた最善の選択をしていただければと思います。

ありがとうございました。不動産オーナーや資産家の方々にとって、非常に有益なお話をうかがいました。法人を活用した所得税・相続税対策は関心の高いテーマだと思いますので、当社のセミナーなどでも取り上げていきたいですね。

対談の会場は、大阪府豊中市のパナソニック ホームズ本社。1階には「住まいとくらしの情報館 千里」や、当社の賃貸住宅のコンセプトをご提案する「ラシーネ・テーマスタジオ」を併設。基礎や構造から内外装材や設備、賃貸住宅のモデルプランやインテリアまで、実物でご確認いただける体感型ショウルームです。

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