住まいづくり・住まい探しの情報ガイド
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【目次】
2019年に「老後2,000万円問題」が大きな話題となりました。これは金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書にあった試算がもとになっており、「65歳以降、30年間生きるにはおよそ2,000万円が必要」というのがその趣旨です。ただし、老後に必要となるお金は人それぞれで、必ずしもすべての人に当てはまる金額ではありません。
しかし、私たち日本人の寿命は年々延びています。厚生労働省が令和5年(2023年)に発表した「令和4年簡易生命表の概況」によると、平均寿命は男性で81.05年、女性で87.09年。90歳を迎える人の割合は男性25.5%、女性49.8%にもなります。男性は4人に1人、女性は2人に1人が90年以上生きる日本では、「65歳以降、30年間生きる」ということが非常に現実的なのです。
また、これまでは蓄えが少ないまま老後を迎えても、退職金で老後の生活を支えることができました。しかし、その退職金も近年は下落傾向に。厚生労働省(中央労働委員会)が公表している「退職金、年金及び定年制事情調査」によると、大学卒業後、定年まで大企業に勤務した男性の平均退職金支給額は、平成17年(2005年)は2,738万1,000円でしたが、令和3年(2021年)は2,230万4,000円と、500万円以上減少しています。
今後もこの傾向が続くと、現役世代が受け取る退職金はさらに減少するかもしれません。加えて、退職後、年金受給まで無収入でいると、老後資金である退職金がこの期間の生活費として消えてしまう恐れもあります。
「老後2,000万円問題」の根拠となったのは、高齢夫婦無職世帯の1カ月あたりの平均的な年金収入と平均的な支出(生活費)の差額が5万円強というデータです。毎月5万円ずつ30年にわたって貯蓄を取り崩すには1,800万円が必要という計算から、予備費を加えた2,000万円という金額が登場しました。
物価高の昨今、食料品の価格や光熱費などが軒並み上昇し、以前より生活費が増えている家庭も多いことでしょう。将来的には、貯蓄の取り崩し額が月5万円では足りない可能性もあります。
以上のように、老後の金銭的な現状は非常にシビア。老後のゆとりのある暮らしのためには、年金以外の収入があると安心です。もちろん「働く」という選択肢もありますが、健康面や体力面でままならない場合も。自ら築いたり両親から引き継いだりした資産があれば、老後はそれらに「働いてもらう」のが得策といえるでしょう。
退職後もゆとりのある暮らしを送るための肝となる、年金以外の収入。アパート経営は、所有する資産を生かし、老後の収入を確保する手段として人気です。ここではアパート経営が老後の収入確保に向いている理由を紹介します。
アパート経営の大きな魅力は、毎月家賃を受け取れることです。アパートを建築したり入居者を募集したりする“初期投資”は必要ですが、安定的な収入を期待できます。年金は2カ月に1回の振り込みのため、毎月、家賃収入を受け取れることがゆとりにつながるというオーナーさまの声も聞かれます。
現役時代にバリバリ仕事をこなしていた人は、リタイア後の自由時間を持て余したり、物足りなさを感じたりするかもしれません。時間的なゆとりがあると、アパート経営の管理業務や事務作業などに時間を割くこともできるため、仕事をリタイアしたオーナーさまに向いているとも言えます。入居者に満足してもらうための施策を練ったり、入居者と交流したりすることが生活のハリになるケースもあるでしょう。
株式や暗号資産(仮想通貨)などの投資では、1日で価値が半分になることもあり得ますが、アパート経営の場合、アパートの資産価値が急激に半分に下がることはありません。建物が老朽化しても改修によって再び価値を高めることができ、建物を取り壊すことになっても、土地の価値は残り続けます。まだまだ働いて収入を得られ、リスクを取れる現役世代と違い、人生後半戦の投資は安全性を重視したいもの。立地などにも左右されますが、堅実な経営計画を立てることで、アパート経営を安全性の高い投資にすることも期待できるでしょう。
物価が上昇して以前は1万円だったものが1万2,000円になると、同じものを手に入れるためにより多くの現金が必要になることから、現金の価値が下がったと見なされます。現金を定期預金などで保有していると、将来、相対的な価値が下がってしまう恐れがある一方、アパートの家賃は物価上昇の局面では値上げが許容されやすく、物価に連動させることが可能です。アパート経営はインフレに強い投資といえ、現金で一定額を受け取る年金と比べて、時勢に即した金額(家賃)を収入として受け取ることができます。
リタイアが視野に入る年齢になると、将来の相続について頭をよぎることがあるかもしれません。アパート経営は長年、相続税対策になると言われてきました。そのポイントは、現金と不動産の相続税評価額の違いです。1億円の現金よりも、1億円分の不動産(土地+アパート)のほうが評価額が低いため、納めるべき相続税を抑えることができます。すなわち、残された家族にはより多くの資産を残すことができ、アパートを残すことで、家族が今後も家賃収入を得られるというメリットがあります。
老後の収入確保の手段としてメリットの多いアパート経営。しかし、大きな金額を投資することでもあるため、慎重に進めることが大切です。アパート経営を老後の安心のために選択する場合は、以下の点に注意が必要です。
リタイア後のアパート経営は、ゆとりある老後の暮らしのための手段です。アパート経営にまつわる業務で疲弊してしまったり、ストレスを抱えてしまったりしては本末転倒。管理業務の一部または全部を賃貸管理会社に委託するなどして無理のない範囲で関わり、得られた収入でより豊かな暮らしを楽しむことを優先しましょう。
大金を投資する前には、十分な情報収集が必須です。リタイア直後から急いで情報収集を始めるのではなく、先を見据え、働きながら情報収集を行いましょう。アパート経営の場合は、どのハウスメーカーで建てるか、どれくらいの戸数でどんな間取りのアパートにするか、ローンを組む場合に借入金はいくらにするかなど、検討するべき重要事項がたくさんあります。リタイア後、無収入の期間はできるだけ短いほうが理想的なため、現役時代から情報収集を始め、準備を進めておくと安心です。
給与やボーナスなどの収入のある現役時代と比べて、リタイア後はできるだけ金銭的なリスクをとらないことが大切です。アパートの建築費用は自己資金の比率を多めにして、高額なローンは契約しないほうが良いでしょう。
リタイア前後にアパート経営を始める場合は、次世代への引き継ぎ方を早めに検討しておいたほうが良いかもしれません。誰が引き継ぐのか、または引き継がずに売却して現金化するのかなどを事前に相談しておくと、オーナーさまに万一のことがあった場合も相続手続きをスムーズに運ぶことができるので、相続時の家族間トラブルを防げます。
アパートの建築実績が豊富なハウスメーカーや建築会社では、リタイア世代の顧客の施工事例が豊富にあります。30代や40代で取り組むアパート経営とは違い、リタイア後のライフサイクルに寄り添った有益なアドバイスも期待できるため、建築面と経営面をトータルで相談できる会社を探しましょう。
【まとめ】
「老後2,000万円問題」を機に多くの世代で将来への不安が広がり、老後のことを早めに考える人が増えてきました。ゆとりある老後を過ごすには、年金以外の収入を持てると安心です。その手段として、老後でも取り組みやすいのがアパート経営。しっかりと情報収集をして、堅実な経営計画に沿って進めることで、豊かなセカンドライフを後押ししてくれるでしょう。